第1章 基本理念 4.政府研究開発投資

 第1期及び第2期基本計画期間中を通じて政府と民間を合わせた我が国全体の研究開発投資は増加傾向で推移してきており、その総額の対GDP比率は主要先進国を凌いでいる。また、我が国の政府研究開発投資については、近年の厳しい財政事情下にあって他の政策経費が抑制される中でも高い伸びを示してきており、欧米主要国にほぼ遜色のない水準に達しつつある。一方、主要諸国が、近年研究開発投資を強化しつつあるなかで、知の大競争時代に国際競争に勝ち抜くためには、官民を挙げて引き続きその強化に向けた努力を行っていくことが必要である。
 今後、我が国としては、官民の適切な役割分担を踏まえ、研究開発投資を着実に措置していくとともに、官民の連携強化等により、その投資を有効に活かして国際競争力を強化し、またその成果を社会・国民に還元することが一層求められる。

 他方、第2期基本計画期間中の我が国の財政事情は、第1期基本計画期間と比べても一層悪化し、主要先進国中で最悪の状況となっており、歳出・歳入一体の財政構造改革を推進することは、活力ある経済社会を実現し、持続的な成長を図る上で不可欠の課題となっている。

 こうした状況の下で、第2期基本計画期間までの科学技術振興の努力を継続していくとの観点から、政府研究開発投資について、第3期基本計画期間中も対GDP比率で欧米主要国の水準を確保することが求められている。この場合、平成18年度より22年度までの政府研究開発投資の総額の規模を約25兆円とすることが必要である。
(注)上記は、第3期基本計画期間中に政府研究開発投資の対GDP比率が1パーセント、上記期間中におけるGDPの名目成長率が平均3.1パーセントを前提としているものである。

 以上のような観点を踏まえ、毎年度の予算編成に当たっては、政府全体として財政構造改革に取り組んでいかなければならない中で、今後の社会・経済動向、科学技術の振興の必要性等を勘案するとともに、第2期基本計画期間中に比べて更に厳しさを増している財政事情を踏まえ、基本計画における科学技術システム改革の着実な実施により政府研究開発投資の投資効果を最大限発揮させることを前提として、基本計画に掲げる施策の推進に必要な経費の確保を図っていくものとする。

 その際、特に国民に対してもたらされる成果に着目した目標設定と評価の仕組みを確立し、投資効果を検証することにより、研究開発の質の向上を図る。また、科学技術システムの抜本的改革を推進する中で、人材の育成、イノベーションの創出のために必要な資金を重点的に拡充するとともに、研究費配分における無駄の徹底排除・審査体制の強化、評価システムの改革、円滑な科学技術活動と成果の還元に向けた制度・運用上の隘路の解消、研究・教育機関の科学技術活動の把握などの取組を一層強化する。さらに、民間資金の導入、資産の売却など、一層の財源確保に努める。

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