1.カドミウムの国際食品基準に対応するための緊急調査研究
課題名
「カドミウムの国際基準に対応するための緊急調査研究」
研究代表者
「池田正之」
中核機関名
「財団法人京都工場保健会」
実施期間
平成13年度
研究の目標・概要 |
- 目標
国際的なカドミウムのリスク評価を行うFAO/WHO合同食品添加物専門家会合 (JECFA)に対し、カドミウムの週間耐容許容量の設定に資する疫学調査研究結果を提出し、現在の暫定的週間耐容許容量を基にしたFAO/WHO合同食 品規格委員会(コーデックス委員会)で検討されている各種食品中のカドミウム基準値の適正な設定に資することを目標とする。
- 内容
- 大規模疫学調査研究
1万人を対象とした尿中カドミウム、腎機能障害の指標となる項目等の分析
- 精密調査研究
- 一般住民千人における生涯にわたるカドミウム暴露量の疫学調査
- 一般住民百人における疾患の有無を考慮したカドミウム摂取による健康影響調査
- 食品の加工・調理工程におけるカドミウムの動態解明
米、小麦、大豆の加工・調理工程におけるカドミウムの動態の解明
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緊急性・重要性 |
- 緊急性
本年3月のコーデックス委員会の食品添加物・汚染物質部会において、以下の3点が合意された。
- 米、小麦等の基準値案を0.2ppmとして審議を進めること
- JECFAにおいてカドミウムのリスク評価を平成15年6月に実施すること
- 我が国の疫学調査研究結果を含む科学的データを踏まえて基準値案を見直すこと
この決定を基に、JECFA事務局より平成14年10月までに疫学調査研究の結果を提出するよう依頼された。
- 重要性
この疫学調査研究の結果によっては、国際基準との整合性を図りつつ、現行の食品衛 生法における米のカドミウム基準値の見直しに資するものとなり、この基準値は、農用地の土壌汚染防止等に関する法律に基づく農用地土壌汚染対策地域の指定 要件にも関係することから、極めて重要な調査研究である。
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研究進展・成果がもたらす利点 |
我が国には、火山による影響や歴史的な鉱山開発等により、農産物のカドミウム濃度が比較的高くなる地域が偏在するという特徴があり、従来よりカドミウムの健康影響に関する知見の集積に努めるとともにコーデックス委員会に積極的に参画してきている。 本調査研究を実施することにより、国際基準策定に向けた更なる貢献が可能であり、以下のような成果を得ることが期待できる。
- カドミウムのリスク評価の確立
- 十分なリスク評価に基づいたカドミウムの国際基準の設定
- リスク評価を踏まえた食品の安全性に関する消費者への情報提供
- 安全な農産物の安定的な供給
- 農用地土壌汚染対策の適切な推進
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「カドミウムの国際食品基準に対応するための緊急調査研究」の研究体制