2.公募要領 (3)戦略的研究拠点育成の公募要領

科学技術・学術政策局

1 目的

 優れた成果や人材を生み出し、新しい時代を拓く研究開発システムを実現するため、組織の長の優れた構想とリーダーシップにより、研究開発機関の組織改革を進め、国際的に魅力のある卓越した人材創出・研究拠点の育成を図る。
 なお、本プログラムは、新たな研究開発システムの構築、組織運営の改革等の独創的かつ先導的な試みで、他の研究機関に波及する効果の高い取り組みに対する支援を目的とするものであり、単に研究開発の推進を主な目的とするものは対象とならない。

2 対象分野及び組織運営構想の内容

 自然科学全般並びに自然科学と人文・社会科学との融合領域を対象とする。組織改革の内容としては、以下の3点をいずれも満たすものとする。

  1. 科学技術システムの改革に資する斬新な計画によって国際的に通用する人材創出・研究開発拠点を目指すもの。
  2. 既存の枠組みを越え新たな組織の構築を目指すもの(産学官連携、複数機関や組織内複数部門の枠を越えた連携等)。
  3. 人材の流動化・国際化に取り組むもの(任期付研究員、在外研究者の活用等)

3 対象機関

 2で示した対象分野の研究を行っており、具体的な組織改革の構想を有している機関であって、以下の1から3の機関を育成の対象とする。

  1. 大学及び大学共同利用機関
  2. 国立試験研究機関
  3. 独立行政法人、特殊法人及び認可法人

4 育成期間

 原則として5年間とする。ただし、育成開始後3年目に中間評価を行い、中間評価の結果に応じて、計画の変更、中止等の見直しを行う。

5 組織運営構想の策定

 本プログラムにより、国際的に魅力のある卓越した人材創出・研究拠点の育成を図る機関(以下、「育成機関」とする。)となることを希望する機関・組織は、本要領に定める様式に従い組織運営構想を策定する。また、育成機関は、組織運営構想において示した研究開発等を含む組織運営に係る事項のうち、調整費の充当が適当と考える事項についての具体的な計画(以下「調整費充当計画」という。)についても、組織運営構想とあわせて策定する。

6 費用

 (1)調整費充当計画の実現に必要な経費については、文部科学省から(他府省の組織(国立試験研究機関)については所管府省を経由して)支給する。
 本プログラムにおいて使用できる費目の種類は、原則として別表3に示すものとする。

 (2)調整費により充当する1育成機関当たりの経費は、原則、年間5億円~10億円とする(ただし、できるだけ多くの拠点整備を推進する観点から、少額で効率的に組織運営改革を行う構想を重視する。)。

7 提案書類等

 提案書類は、様式3-1から3-13によるものとし、育成機関の長(学長等)が、組織運営総括責任者として提案を行うこととする。(昨年度までと異なり、例えば大学の場合においては、学長、総長等の機関の長とし、学部長、研究科長等の提案は認めないものとする。)
 なお、提案に当たっては、機関として厳選し、同一機関からの提案は原則として1つに限ることとする。
 また、育成機関が国立試験研究機関(文部科学省の組織を除く。)の場合は、所管府省を通じて、その他の場合は直接、提出書類等を科学技術振興機構に提出することとする。

8 育成機関の選定

 (1)選定に係る審査は、科学技術振興機構に設置する外部有識者からなるWGにおいて、提出された提案書類による書類審査及び組織運営総括責任者からのヒアリングの二段階審査により行い、その結果をもとに、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会科学技術振興調整費審査部会(以下「審査部会」という)における審議を経て選定する。

 (2)選定に係る評価項目及び審査基準は、以下のとおりとする。

  1. 組織運営構想
    • ア システム改革の内容
      • 組織運営構想が「国際的に通用する人材創出・研究開発拠点を目指す」、「既存の枠組みを越え新たな組織の構築を目指す」及び「人材の流動化・国際化に取り組む」といった内容をいずれも満たしているものであるか
      • 優れた成果を生み出すシステム改革であるか
      • 独創的でブレークスルーが期待できるか
      • 目指すシステムの改革点が明確であるか、また、改革目標と現状の間を克服するための方策が具体的であるか
      • 単なる研究費の支援になっていないか
      • 人材の活用策は適切か(単なる研究者等の雇用策にとどまっていないか。
        在外の研究者、任期付の研究者の積極的な活用が図られているか)
    • イ 本プログラムによる中間時(3年目)及び育成期間終了後(5年後)の目標及び構想
      • 目標及び構想が育成機関の現状に鑑みて実現可能なものであるか
      • 育成期間終了後、構築したシステムを自立的に維持、運営、発展できるか
    • ウ 波及効果
      • 提案されたシステム改革が他の研究機関におけるシステム改革に資するような先導的なものであるか
    • エ 資金計画
      • 資金(自己資金、科学技術振興調整費等の外部資金をあわせた全て)の戦略的配分等、システム改革に資する工夫が見られるか
  2. 組織運営総括責任者
    • 組織運営構想実現のために必要な権限と責任を有し、リーダーシップを十分に発揮できる体制となっているか
    • 研究部門のみでなく、管理部門、研究支援部門等が責任者の指揮のもとに十分に機能する体制となっているか
  3. 調整費充当計画
    • 調整費充当計画は組織運営構想の実現に資するものであるか
    • 組織運営構想全体の中で、調整費充当計画が合理的に位置づけられているか
  4. 新組織の有する研究ポテンシャル
    • 育成機関がシステム改革を行うことにより、育成期間終了後、さらに優れた研究成果等を生み出すことのできる十分な研究ポテンシャルを有しているか

 (3)選定に当たっては、審査部会等の意見を踏まえ、計画の修正を求めることがある。

 (4)審査結果は、審査終了後、提案書類に記された事務連絡先に通知する。なお、ヒアリングを実施する育成機関に対しては、ヒアリングの日時、場所等を通知する。

9 実施

 (1)選定された育成機関は、提案書類の組織運営構想及び調整費充当計画に即した年次計画並びにこれに対応した経費の積算(以下「計画書等」という。)を作成し、科学技術振興機構を通じて文部科学省に提出する。なお、これらについては、調整の結果、修正されることが有り得る。

 (2)育成機関は、中間時、育成期間終了時に目指す具体的なシステム改革の内容と改革により生み出される成果の目標(以下、「ミッションステートメント」という。)を作成し、科学技術振興機構を通じて文部科学省に提出する。なお、本プログラムを開始するまでの間、選定時における審査部会等の意見を踏まえ、修正を求めることがある。

 (3)文部科学省は、提出された計画書等について所要の調整を行い、財務省の承認を得た後、国の機関については示達(文部科学省以外の府省が所管する機関については所管府省に移替えの上、示達)、その他の場合は委託により業務の実施に必要となる経費を配分する。
 なお、委託については、「科学技術振興調整費委託業務事務処理要領」に基づき委託契約を行うものとする。

 (4)育成機関は、組織運営構想及び調整費充当計画の実現状況についての評価を行うため、外部有識者から構成される戦略的研究拠点育成評価委員会を設置するとともに、育成開始後3年目及び終了予定年度には必ず当該委員会を開催し、評価結果のとりまとめを行うこととする。その際、科学技術振興機構(科学技術振興調整費プログラムオフィサー等)が、必要に応じこれに参画するとともに、現地調査等の実施などにより進捗状況を把握し、必要に応じ助言を行う。

 (5)育成機関は、計画書等に基づき業務を実施するほか、毎年度、調整費充当計画の進捗状況及び経費の使用実績の報告書を作成し、科学技術振興機構を通じて文部科学省に提出する。

 (6)育成機関は、戦略的研究拠点育成評価委員会の評価結果を科学技術振興機構を通じて文部科学省に提出する。文部科学省は、育成機関から提出された評価結果を科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会研究評価部会(以下「評価部会」という。)に報告する。評価部会は、提出された評価結果を参考に、育成開始後3年目に中間評価、育成期間終了後には事後評価を実施する。評価に当たっては、育成機関が本プログラムの開始前に作成するミッションステートメントを活用するとともに、組織運営統括責任者、戦略的研究拠点育成評価委員会の代表者等からのヒアリングを行うものとする。
 なお、戦略的研究拠点育成評価委員会の評価結果及び評価部会における評価結果は文部科学省が公表するとともに、文部科学省から総合科学技術会議に報告する。

 (7)組織運営総括責任者に人事異動があったときは、組織運営構想が後任者に確実に引き継がれることについて戦略的研究拠点育成評価委員会の確認を得た上で、文部科学省に報告する。

お問合せ先

科学技術・学術政策局調査調整課

(科学技術・学術政策局調査調整課)

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