2.公募要領 (2)産学官共同研究の効果的な推進の公募要領

科学技術・学術政策局

1 目的

 社会経済ニーズに対応した産学官の共同研究を効果的に促進するため、民間企業が自らの研究資金を活用し、大学、独立行政法人等の研究開発機関と共同研究を行う場合に、当該研究開発機関に対してその分担に応じた経費を助成する仕組みを導入し、大学、独立行政法人等の研究開発機関の研究シーズと民間企業の研究ニーズの積極的なマッチングを推進する。

2 対象となる研究分野

 自然科学全般並びに自然科学と人文・社会科学との融合領域を対象とする。

3 対象機関

 本プログラムによる共同研究に係る経費の支給対象となる機関は、民間等※と共同で研究開発を実施しようとする以下の1から4の機関(以下「大学、独立行政法人等」という。)とする。

  1. 大学、大学共同利用機関及び高等専門学校
  2. 国公立試験研究機関
  3. 独立行政法人、特殊法人及び認可法人
  4. 民法第34条により設立された法人(以下「民法第34条法人」という。)

 ※ 民間等とは、商法等に基づき設立された株式会社等の民間企業及び複数の民間企業による組織体をいう。特殊法人、認可法人、地方公共団体及び民法第34条法人は除く。
 なお、申請に当たっては、共同研究を行う大学、独立行政法人等と民間等との共同(連名)提案とし、大学、独立行政法人等が自らの研究シーズをもとに主体的に共同研究に取り組むものであって、かつ、民間等においても積極的に共同研究を実施する意志を有するものであることを要件とする。

4 実施期間

 3年間を限度とする。

5 費用

 (1)共同研究の実施に必要な経費のうち、大学、独立行政法人等が必要とする経費は、文部科学省から(他府省の組織(国立試験研究機関)については所管府省を経由して)支給する。
なお、共同研究の相手先である民間等(以下、「共同研究機関」という。)が必要とする経費(共同研究機関から大学、独立行政法人等への支払経費を含む。)は共同研究機関自らの負担とする。また、本プログラムにおいて大学、独立行政法人等に支給する費目の種類は、原則として別表2に示すものとする。

 (2)大学、独立行政法人等に支給する経費は1課題当たり、原則年間2千万円~1億円程度(間接経費を除いた額)とする。

 (3)経費の支給に当たっては、共同研究の実施期間の各年度において共同研究機関の負担する経費の総額が、調整費により大学、独立行政法人等に対して支給する経費の総額以上(ただし、共同研究機関が中小企業者※の場合は支給する経費の2分の1以上※※)であることを条件とする。

 (共同研究機関の経費負担額の例)

  • 共同研究機関が中小企業者以外の民間等
    (例)大学、独立行政法人等への調整費の支給額が6千万円の場合、共同研究機関は6千万円以上の経費負担が必要
  • 共同研究機関が中小企業者
    (例)大学、独立行政法人等への調整費の支給額が6千万円の場合、共同研究機関は3千万円以上の経費負担が必要

 なお、共同研究機関の負担する経費には、以下の経費は含めない。

  1. 研究実施者等※※※の人件費(この共同研究の実施に伴い追加的に必要となる新規採用者の人件費は除く。)
  2. 公的機関からの補助金等の助成金(公的機関には国、地方公共団体のほか、独立行政法人、特殊法人、認可法人及び民法第34条法人を含む。)
    ※ 中小企業者とは、「中小企業基本法」(昭和38年法律第154号)第2条に定める範囲に該当する者をいう。
    ※※ 複数の共同研究機関と共同研究を実施する場合、ただし書きの規定は該当する中小企業者にのみ適用される。
    ※※※ この研究に専属で従事する者を対象とする。

6 共同研究実施計画の策定及び実施体制

 (1)本プログラムによる共同研究に係る経費の支給を希望する大学、独立行政法人等(以下「経費受給機関」という。)及び共同研究機関は、共に実施しようとする研究(以下「共同研究」という。)の趣旨、概要、目標、年次計画、実施体制等を定めた共同研究実施計画を策定する。
 なお、この共同研究実施計画は、提案が採択された場合、経費受給機関と共同研究機関が締結する共同研究実施契約書により実施することとなる。

 (2)共同研究の実施体制は、1課題につき、経費受給機関1機関と1機関以上の共同研究機関とする。なお、共同研究機関が複数の場合には、共同研究実施計画及び7に定める提案書類において、経費受給機関と各共同研究機関の役割分担及び各機関個別の所要経費額を明確にすることが必要である。

 (3)経費受給機関が実施する研究に必要な場合に限り、共同研究に関連する研究を行う大学、独立行政法人等(以下「関連研究機関」という。)についても経費を支給することができることとする。この場合、共同研究実施計画及び7に定める提案書類において、経費受給機関と関連研究機関との役割分担及び各機関の所要経費額を明確にすることが必要である。

7 提案書類

 (1)経費受給機関は共同研究機関と協議し、共同研究実施計画に基づき、経費受給機関における研究に責任を有する者(以下「経費受給機関代表者」という。)及び共同研究機関における研究に責任を有する者(以下「共同研究機関代表者」という。)の中から責任を有する者(以下「責任代表者」という。)を決めた上、様式2-1から2-9に必要事項を記載することとする。また、様式2-9の共同研究機関の費用負担に係る確認書について、作成者は提案書類に記載した共同研究機関の負担する費用の支出に権限を有する者とし、印は職印(会社名、役職名を表示したもの)を押印することとする。職印がない場合は支出に権限を有する者の記名押印のほか、必ず社判を押印することとする。
 作成した書類は、国立試験研究機関(文部科学省の組織を除く)にあっては所管府省を通じて、その他の場合は直接科学技術振興機構に提出する。

 (2)共同研究機関が中小企業者であるとして5費用の(3)に定める特例を適用して提案書類を提出する場合、中小企業者であることを証明するため、以下の1及び2の書類を添付することとする。ただし、☆印の書類を添付する場合、原本の発行もしくは受理(受付)日から6ヶ月以内のものに限る。

  1. ☆法人登記簿謄本又は☆現在事項証明書(資本金額の記載のあるもの)
    ※ 鮮明なコピーでも可能とする。(この場合、原本の提示を求めることがある。)
  2. 公的機関(社会保険事務所、税務署等)に提出した従業員数を記載した書類でかつ、提出先公的機関の受理(受付)印のあるものの鮮明なコピーを下記のいずれかから一点

 <書類の例>

  1. ☆労働保険関係成立届
  2. ☆雇用保険適用事業所設置届
  3. 労働保険概算保険料申告書
  4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
  5. 給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書
  6. 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表

 ※ 例示のもの以外でも条件を満たす書類であれば可とする。また、書類の名称、会社所在地、会社名、代表者役職氏名、従業員数の記載部分、受理(受付)印以外の記載(保険金額、税額等)は記載内容がわからないよう墨塗りをしたものでも可とする。

8 経費の支給対象機関の選定

 (1)共同研究に係る経費の支給対象機関の選定に係る審査は、科学技術振興機構に設置する外部有識者からなるWGにおいて、提出された提案書類による書類審査並びに経費受給機関代表者及び共同研究機関代表者からのヒアリングの二段階審査により行い、その結果をもとに、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会科学技術振興調整費審査部会(以下「審査部会」という。)における審議を経て選定する。

 (2)選定に係る評価項目及び審査基準は、以下のとおりとする。

  1. 研究等の内容
    • 新規性のある内容か
    • 内容、手法等の独創性は強いか。また、その水準は世界的に見て高いか。
    • 大学、独立行政法人等が自らの研究シーズをもとに主体的に共同研究に取り組むものであって、かつ、共同研究機関においても積極的に共同研究を実施するなど、大学、独立行政法人等と民間等が対等な関係で意欲的に取り組む内容であるか。
    • 大学・独立行政法人等における基礎的・基盤的技術を核としたものとなっているか。
    • 科学技術的、社会経済的波及効果が高いか
  2. 研究の必要性
    • 研究進展による社会・経済への発展への寄与度は高いか
  3. 計画の妥当性
    • 研究目標の設定は適正か
    • 研究計画等から見て、目標達成の可能性は高いか
    • 共同研究により期待される成果及び目標が具体的かつ明確であるか
  4. 共同研究の妥当性(研究体制)
    • 経費受給機関(大学、独立行政法人等)と共同研究機関(民間等)の責任体制・役割分担が明確であるか(経費受給機関、共同研究機関がそれぞれ明確な責任・役割の下にそれぞれの機関で研究を行う体制となっているか)。また、機関間での十分な連携体制が図られているか。
    • 研究開発の遂行に必要な進行管理の方策(技術的・人的・経理的資源の確保)を有しているか
    • 研究成果の活用に関して十分な配慮がなされているか

   なお、複数の共同研究機関、関連研究機関が参画する場合には、以下の視点についても審査基準とする。

  • 複数の共同研究機関が参画する場合、それぞれの共同研究機関間の責任分担が明確であるか
  • 関連研究機関が参画する場合は、経費受給機関との役割が明確となっているか。(経費受給機関が主体的に共同研究に取り組み、関連研究機関は共同研究に関連する研究を行う体制となっているか。)

 (3)次に該当すると判断されるものは本プログラムによる選定の対象としないものとする。

  1. 経費受給機関における実験装置等の導入を主な目的とするもの
  2. 経費受給機関に支給する経費の大部分を他の機関に委託するもの
  3. 共同研究機関に対する技術指導等であって共同研究と認められないもの

 (4)選定に当たっては、審査部会等の意見を踏まえ、計画の修正を求めることがある。

 (5)審査結果は、審査終了後、提案書類に記載された事務連絡先に通知する。
 なお、ヒアリングを実施する場合は、ヒアリングの日時、場所等を通知する。

9 共同研究の実施

 (1)選定された経費受給機関は、共同研究の実施に当たり、共同研究実施計画に基づき目的、経費の負担等を規定した共同研究基本契約及び研究内容、責任分担、知的財産権の取扱い等を規定した共同研究実施契約を共同研究機関と締結する。

 (2)経費受給機関及び共同研究機関は、共同研究実施計画及び共同研究基本契約並びに共同研究実施契約に即し、年次計画及びこれに対応した経費の積算(以下「計画書等」という。)を作成し、共同研究基本契約及び共同研究実施契約の写しとともに科学技術振興機構を通じて文部科学省に提出する。
 なお、計画書等について、省内での調整の結果、修正を求めることがある。

 (3)文部科学省は、提出された計画書等について所要の調整を行い、財務省の承認を得た後、国の機関については示達(文部科学省以外の府省が所管する機関については所管府省に移替えの上、示達)、その他の場合は委託により、当該経費受給機関に必要となる経費を配分する。
 また、文部科学省は、当該経費受給機関に対し、研究費等の直接経費の30%に相当する額を間接経費として配分する。
 なお、この間接経費は5の(3)に定める「調整費により大学、独立行政法人等に対して支給する経費」には含めないものとする。
 委託については、「科学技術振興調整費委託業務事務処理要領」に基づき委託契約を行うものとする。

 (4)経費受給機関及び共同研究機関は、計画書等に基づき、共同研究を実施する。
 共同研究に必要な経費の執行管理は、経費受給機関と共同研究機関のそれぞれにおいて、契約条項、共同研究の実施に係る内部規則等に沿って適切に行う。
 また実施に際し、科学技術振興機構(科学技術振興調整費プログラムオフィサー等)が、現地調査等の実施などにより進捗状況を把握し、必要に応じ助言を行う。

 (5)それぞれの機関は毎年度、共同研究に要した経費について決算書を作成し、共同研究実施契約に定めた期日までに、相手機関の確認を得ることとする。

 (6)このほか、経費受給機関は毎年度、共同研究機関と協議した上で、研究の進捗状況及び経費の使用実績報告書を作成し、科学技術振興機構を通じて文部科学省に提出する。また、共同研究終了後については、共同研究機関と協議した上で、共同研究実施契約に定める期日までに成果報告書を作成し、科学技術振興機構を通じて文部科学省に提出する。提出された成果報告書は、文部科学省から科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会研究評価部会(以下「評価部会」という。)に報告する。

 (7)評価部会は、成果報告書を基に事後評価を行う。評価に当たっては、必要に応じて責任代表者等からのヒアリングを行うものとする。
 また、成果報告書及び評価部会の評価結果は文部科学省が公表するとともに、文部科学省から総合科学技術会議に報告する。

(参考資料)「中小企業基本法」(昭和38年法律第154号)(抄)

(中小企業者の範囲及び用語の定義)

  • 第2条 (略)
    • 一 資本の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
    • 二 資本の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの
    • 三 資本の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの
    • 四 資本の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であつて、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの

中小企業者の定義早見表(中小企業基本法より作成)

業種 資本金の額 従業員数
製造業、建設業、運輸業その他の業種   3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5千万円以下 100人以下
小売業 5千万円以下 50人以下

 ※ 中小企業者の業種は日本標準産業分類(総務省統計局 平成14年3月第11回改訂)による

日本標準産業分類に基づいた中小企業者の範囲の表示

卸売業 大分類J (卸売・小売業)の中分類49から54まで
小売業 大分類J (卸売・小売業)の中分類55から60まで
大分類M (飲食店、宿泊業)の中分類70(一般飲食店)及び71(遊興飲食店)
サービス業 大分類H (情報通信業)の中分類38(放送業)及び39(情報サービス業)並びに小分類411(映像情報制作・配給業)、412(音声情報制作業)及び415(映像・音声・文字情報制作に附帯するサービス業)
大分類L (不動産業)の小分類693(駐車場業)
大分類M (飲食店、宿泊業)の中分類72(宿泊業)
大分類N (医療、福祉)
大分類O (教育、学習支援業)
大分類P (複合サービス事業)
大分類Q (サービス業〈他に分類されないもの〉。ただし、小分類831〈旅行業〉を除く。)
製造業その他 上記以外の全て

お問合せ先

科学技術・学術政策局調査調整課

(科学技術・学術政策局調査調整課)

-- 登録:平成21年以前 --