別紙2 平成14年度に継続して実施するプログラム

1 優れた成果の創出・活用のための科学技術システム改革

 基本方針において、調整費の活用の考え方として示した「優れた成果の創出・活用のための科学技術システム改革」に係るプログラムとして、「戦略的研究拠点育成」、「若手任期付研究員支援」及び「科学技術政策提言」を実施する。

1‐1 戦略的研究拠点育成

(1)内容

 優れた成果を生み出し、新しい時代を拓く研究開発システムを実現するため、組織の長の優れた構想とリーダーシップにより、研究開発機関の組織改革を進め、国際的に魅力のある卓越した研究拠点の創出を図る。

(2)平成14年度充当見込額

 40億円(うち新規選定分20億円)

(3)対象機関・組織

 大学及び国立試験研究機関等(独立行政法人・特殊法人等の研究開発機関を含む)における学部、大学院研究科、研究所等の一定の規模の組織を対象とする。ただし、学部、大学院研究科、研究所等の組織の構造・規模等が戦略的組織の単位としては不適切な場合は、組織の長の権限に基づく組織改革が実質的に可能な範囲において、より小さな規模の組織を対象とする。

(4)対象分野

 自然科学全般並びに自然科学と人文・社会科学との融合領域を対象とする。

(5) 選定方法

 公募により選定する。なお、申請は、大学及び国立試験研究機関等の長、又は学部長、研究科長、研究所長等が行うものとする。

(6)選定に当たっての留意点

  • (a)組織の長のイニシアチブの下に提案される組織改革構想が、当該組織の将来の発展の方向を明確に見据えつつ、組織の経営改革を行い、戦略的な研究の推進を指向するものを重視する。
  • (b)当該組織改革構想が優れた成果を生み出す研究開発システムの実現とともに、先見性をもって新しい領域の開拓を目指すものを重視する。
  • (c)当該組織改革構想の内容が独創的でブレークスルーが期待できるものを重視する。
  • (d)新組織として予定するものの研究ポテンシャルの高さを重視する。
  • (e)本プログラムによる育成の後においても、引き続き研究拠点としての発展を図る計画を有していることを重視する。

(7) その他

  • (a)施設の整備も含め、必要となる経費を幅広く対象とする。
  • (b)組織の長に異動があったときは、当該組織の長の組織改革構想が引き継がれる場合に限り、継続して実施できるものとする。

1‐2 若手任期付研究員支援

(1)内容

 研究員の任期制の広範な定着を目指し、若手の任期付研究員が任期中に自立的研究に専念できるよう、特に優秀な任期付研究員に対して任期中における研究を支援する。

(2)平成14年度充当見込額

 15億円(うち新規選定分5億円)

(3)対象者

 大学及び国立試験研究機関等(独立行政法人研究機関を含む)に所属する、以下の法律の規定に基づく任期付研究員のうち、選定時に35歳以下の者を対象とする。

  1. 一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律(平成9年6月4日法律第65号)第3条第1項第2号
  2. 大学の教員等の任期に関する法律(平成9年6月13日法律第82号)第3条、第4条、第5条、第6条及び第7条

(4)対象分野

 自然科学全般並びに自然科学と人文・社会科学との融合領域を対象とする。

(5) 選定方法

 公募により選定する。

(6)選定に当たっての留意点

  • (a) 対象者の研究の内容・必要性、研究計画の妥当性及び研究者としての自立性等を重視する。
  • (b) 対象者が所属する研究機関が、若手研究者の創造性・自立性の向上について、計画的かつ積極的な取組を行っていることを重視する。

1‐3 科学技術政策提言

(1)内容

 国家的・社会的な重要課題に対する科学技術政策立案機能を強化するため、科学技術と社会とのかかわりに目を向け、自然科学、人文・社会科学の専門家のみならず、広く一般の意見をも糾合した俯瞰的視点に立った分析に基づく政策提言の充実を図る。

(2)平成14年度充当見込額

 4億円(うち新規選定分2億円)

(3)課題

  1. 社会と科学技術の関わり方(科学技術がもたらすリスクの評価とそのマネジメント、社会と科学技術をめぐる合意形成の在り方等)
  2. 競争的環境整備における行政の役割(競争的資金の在り方等)
  3. 科学技術の推進に当たっての倫理の在り方(生命倫理等)
  4. 地域における科学技術の推進方策(成功要因の分析等を踏まえたもの)
  5. 若手研究者の自立性・流動性の促進方策
  6. 合理的な研究開発評価手法の開発(研究開発の費用対効果分析を含む)
  7. 融合領域・境界領域における科学技術の推進方策

(4)実施者

 自然科学、人文・社会科学の専門家のみならず、広く一般の意見をも糾合することが可能な調査研究組織等に実施させる。

(5) 選定方法

 公募により選定する。

(6)選定に当たっての留意点

  • (a) 科学技術と社会とのかかわりに取り組むものを選定する。
  • (b) 自然科学及び人文・社会科学におけるそれぞれの専門的知識を融合して取り組む必要がある課題を重視する。
  • (c) 広く社会から科学技術の側への意見や要望を的確にくみ取るものを重視する。

2 将来性の見込まれる分野・領域への戦略的対応等

 基本方針において、調整費の活用の考え方として示した「将来性の見込まれる分野・領域への戦略的対応等」に係るプログラムとして、「先導的研究等の推進」及び「新興分野人材養成」を実施する。

2‐1 先導的研究等の推進

(1)内容

 科学技術の急速な発展に先見性と機動性をもって対応するため、境界を越えた融合により新たな領域の創成が期待される先導的な研究開発を推進する。また、科学技術が社会に与える影響の広がりと深まりに先見性をもって対応するため、自然科学と人文・社会科学とを総合した研究開発を先導的に進める。さらに、緊急に対応を必要とする研究開発等を機動的に推進する。

(2)平成14年度充当見込額

 63億円(うち新規選定分20億円)

(3)対象機関

 研究開発機関全般を対象とする。

(4)対象とする研究等

  1. 新たな領域の創成が期待される先導的な研究開発、
  2. 自然科学と人文・社会科学とを総合した研究開発及び
  3. 緊急に対応を必要とする研究開発等を対象とする。

(5) 対象分野等

  1. 新たな領域の創成が期待される先導的な研究開発
    • 複数の分野に係る境界的又は融合的な研究開発を行う必要がある領域を対象とする。
  2. 自然科学と人文・社会科学とを総合した研究開発
    • 自然科学及び人文・社会科学におけるそれぞれの専門的知識を融合して研究開発を行う必要がある領域を対象とする。
  3. 緊急に対応を必要とする研究開発等
    • 緊急に対応を必要とする課題等に応じて対象を決定する。

(6)選定方法

 公募により選定する。ただし、(4)の3緊急に対応を必要とする研究開発等は、原則として総合科学技術会議の指定により選定する。

(7) 選定に当たっての留意点

  1. 新たな領域の創成が期待される先導的な研究開発
    • (a) 将来著しい成長が予想され、境界を越えた融合により新たな領域の創成が期待される先導的な研究開発を選定する。
    • (b) 国家的な重要課題に取り組むものを重視する。
    • (c) 研究開発の内容・必要性及び計画の妥当性並びに研究成果の波及性及び社会経済の活性化に対する寄与を重視する。
    • (d) 複数機関との境界的又は融合的協力関係を有することを重視する。
    • (e) 対象分野間に著しい偏りが生じないよう留意する。
  2. 自然科学と人文・社会科学とを総合した研究開発
    • (a) 科学技術と社会との関係にかかわる研究開発を選定する。
    • (b) 国家的な重要課題に取り組む俯瞰的な研究開発を重視する。
    • (c) 人文・社会科学の視点から分野間の壁を取り払い、領域の融合を促すものを重視する。
  3. 緊急に対応を必要とする研究開発等
    • 年度途中に発生する科学技術を巡る状況の変化や自然災害、社会問題等に対応するため、緊急に必要となる研究開発等を選定する。

2‐2 新興分野人材養成

(1)内容

 科学技術の振興にとって重要領域ではあるが人材が不足しており、戦略的な人材養成により、世界における我が国の地位を確保する必要がある新興の研究分野や、産業競争力の強化の観点から人材の養成・拡充が不可欠な研究分野において、プロフェッショナルを早期に育成するための人材養成ユニットを機動的に設置する。

(2)平成14年度充当見込額

 19.1億円(うち新規選定分10億円)

(3)対象機関

 大学及び国立試験研究機関等(独立行政法人・特殊法人等の研究開発機関を含む)であって、大学院修士課程以上のレベルの実務者・研究者の養成を行うことが可能な研究開発機関を対象とする。

(4)対象分野

  1. バイオインフォマティクス(システム生物学を含む)及びバイオスタティスティクス
  2. 基盤的ソフトウェア
  3. 計算機を活用した物質・材料・プロセス開発
  4. 知的財産(保護・活用に関する、社会科学と科学技術との両面にまたがる領域)

(5) 選定方法

 公募により選定する。

(6)選定に当たっての留意点

  • (a)大学院修士課程以上のレベルの実務者・研究者の養成を行うことが可能なものを選定する。
  • (b)研究開発機関から提案される人材養成計画の妥当性及び効率性を重視する。
  • (c)民間の協力が得られるものを重視する。
  • (d)本プログラムによる人材養成の後においても、引き続き当該分野の人材養成を継続する計画を有していることを重視する。
  • (e)当該研究開発機関の研究開発実績を重視する。

3 科学技術活動の国際化の推進

 基本方針において、調整費の活用の考え方として示した「科学技術活動の国際化の推進」に係るプログラムとして、「我が国の国際的リーダーシップの確保」を実施する。

3‐1 我が国の国際的リーダーシップの確保

(1)内容

 我が国が国際的な科学技術活動におけるリーダーシップを発揮し、国際社会における持続的な協力関係を作り上げるため、特にアジア諸国とのパートナーシップの強化を念頭に置きつつ、国として積極的な対応が必要な国際会議、国際的なフォーラムの開催や、それに伴う国際的な調査研究等の活動を推進する。

(2)平成14年度充当見込額

 5億円(うち新規選定分2億円)

(3)課題

 国として積極的な対応が必要な国際的な課題とする。なお、課題例として、以下のものが考えられる。また、ナノテクノロジーに代表される異分野間の融合が重要な分野においては、研究者が国籍、分野にとらわれることなく参集し、集中的な議論を行う場の提供が重要であると考えられる。

 〔課題例〕

  1. 生命倫理
  2. モバイルネットワーク
  3. 国際的なコミュニケーション向上のための基盤整備(自動翻訳、文字コードの標準化等)
  4. 地球規模問題(地球環境問題、感染症対策、食糧問題、淡水管理等)への取組
  5. 安心・安全な国際社会の実現に資するもの(テロ対策等)

(4)実施者

 国際的に質の高い研究成果をあげ、豊富な実績を持ち、かつ国際交流に積極的な研究開発機関等に実施させる。

(5) 選定方法

 公募により選定する。

(6)選定に当たっての留意点

  • (a)我が国がリーダーシップを発揮することが適当であり、国際社会における持続的な協力関係を作り上げていく必要がある国際的な重要課題を選定する。
  • (b)アジア諸国とのパートナーシップの強化に資する課題を重視する。
  • (c)諸外国と比べて我が国が優位にある分野を重視する。

お問合せ先

科学技術・学術政策局調査調整課

(科学技術・学術政策局調査調整課)

-- 登録:平成21年以前 --