科学技術の戦略的な推進に関する調査 1)海外主要国の科学技術政策形成実施体制の動向調査(要旨)[第183号]

(科学技術庁科学技術政策研究所 委託先:財団法人政策科学研究所)

‐第183号‐
平成10年12月10日

調査の概要

 今後の我が国の戦略的な科学技術政策策定に資するため、米、英、独、仏、蘭、端典及びEUの科学技術政策形成及び実施機関(120部署、176人)を調査し、それらの組織構造と組織運営の特徴を類型化して整理した。また、それら諸類型を評価するための視点を論理化した。

調査の結果:我が国の科学技術行政体制に参考にすべき点

  • 意思決定者に対する補佐機能と情報集約機能の充実
     米国の科学技術担当大統領補佐官は、大統領と毎週会う機会を持ち補佐機能を果たすと共に、彼が長を務める科学技術政策局(OSTP)がメンバーの共有メカニズムを介して情報集約機能を担っている。
  • 戦略形成のための行政機関内外の支援体制の充実
     米国には、科学技術政策研究所(STPI)や議会研究サービス局(CRS)のような調査・分析を担う専属の支援機関のほか、アカデミー、学会、シンクタンク等が多様な支援機能を提供している。
  • 政策立案を担うテクノクラートや専門的アドバイザーの養成
     米国では学会から行政機関や議会に人材を派遣するフェローシップ制度やアドバイザーの集積を助けるグラント等が充実している。
  • 行政組織と研究組織の中間に位置する組織(政策執行中間機構)の充実
     独国のドイツ研究共同体(DFG)、プロジェクト・エイジェンシー、マックスプランク学術振興協会のような、行政と研究現場の円滑な関係を維持するために、固有の政策執行機能をもった多様な組織が欧州諸国では発達している。
  • 多元的チェック体制と循環的評価制度の充実
     米国では、議会・行政・アカデミー相互間、さらには議会内部、行政内部等の各レベルで相互チェックが行われ多元的な意思決定システムが実現している。また、欧州諸国では、社会を構成する各界からの代表者(市民を含む場合もある)から成るパネルが同様の機能を担い、政策の客観性の向上及び多様な意見の反映に効果を発揮している。そして、このような体制のもとで、米国の政府業績成果法(GPRA)のような事後の業績評価を中心とした循環型の評価システムに移行してきている。

お問合せ先

科学技術庁科学技術政策研究所第2研究グループ

総括主任研究官 平澤 冷
電話番号:03‐3581‐0968

(科学技術庁科学技術政策研究所第2研究グループ)

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