生物遺伝資源などの知的基盤整備に関する調査 (1)生物遺伝資源導入促進のための国際環境に関する調査(要旨)[第188号]

(農林水産省農林水産技術会議事務局連絡調整課 委託先:株式会社三菱総合研究所)

‐第188号‐
平成11年7月8日

調査の概要

 本調査は、科学技術振興調整費により、平成10年度から11年度にかけて実施しているものであり、今回は平成10年度の調査結果について報告するものである。
 生物遺伝資源を豊富に有するとされる開発途上国を中心に、当該国の遺伝資源にアクセスする際の手続きを定めた法制度の制定状況、その具体的な内容及び運用事例等の調査を行うものである。今後、我が国の生物遺伝資源政策策定に資するものと期待される。

1.生物遺伝資源へのアクセスに関する法制度の制定状況

(1)単独の遺伝資源アクセス法として整備

 フィリピン:1995年、大統領令第247号が制定された。また、これに基づく省庁行政命令第96‐20号が1996年に制定。
 ペルー:1997年にアンデス協定に基づき法案が国会に提出されている。
 ブラジル:遺伝資源アクセスに関する法案として、オスマル代案、政府案、Joequs Wagner下院議員提案の3法案が別々に審議中。ブラジルでは、遺伝資源アクセスに関する法案の審議は重要課題として認識されている。

(2)生物多様性のフレームの中で整備(関連法の中で遺伝資源アクセスを取り扱う事例)

 コスタリカ:1998年5月に法律が制定されているが、内容の一部がリコール中。

(3)地域的取組み(地域全体として取り組む事例)

 アンデス協定:アンデス協定(1996年)のDecision 391は、生物遺伝資源アクセス規制に関する全ての参加国(ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー、ベネズエラ)の最低有するべきルールを定めたもので、参加国はこれに基づき、法制度を整備中である。

 インド等その他の国々でも、検討が開始されたとの情報があり、今後数年内に生物遺伝資源アクセスに関する国内法の整備が世界的な勢いで進む可能性がある。

2.生物遺伝資源をめぐる課題

  • (1)海外の遺伝資源アクセス規制法に対する国内情報の不足
  • (2)先進国の動向に関する国内情報の不足
  • (3)遺伝資源アクセス規制法の整備による我が国への影響
  • (4)マルチラテラルな枠組みへの対応

3.生物遺伝資源導入促進のために今後取り組むべき課題

  • (1)継続的な情報収集
  • (2)先進国を中心とした対応についての調査

お問合せ先

農林水産省農林水産技術会議事務局連絡調整課

大川雅央
電話番号:03‐3502‐8111(内線5078)

(農林水産省農林水産技術会議事務局連絡調整課)

-- 登録:平成21年以前 --