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科学技術と社会・国民との間に生ずる諸問題に対応するための方策等に関する調査 2)生命倫理に関わる諸問題に関する国民の意識及び国外の動向に関する調査[第196号]

(委託先:株式会社野村総合研究所)

‐第196号‐
平成11年9月9日

調査の概要

 本調査は、科学技術振興調整費により、平成10年度に実施されたものである。

目的

 国内の各界有識者を対象に、クローン問題に関する意識の調査・分析を行うとともに、諸外国・諸機関のクローン問題に対する取り組み状況について把握する。

1.国内有識者の意見にみるクローン問題に対する意識

  • クローン技術による人個体の産生については、すべての意見が禁止すべきであるというものである。
  • 人個体を産生しない場合については、研究目的や臨床目的なら容認されるという意見が多いが、全面的に禁止すべきという意見もみられる。
  • 規制の対象として、人工的に胚を操作することをあげた意見が多くみられる。
  • 規制根拠としては、安全性と倫理性を根拠にあげる声が多数を占める。但し、「安全性も倫理観も、いずれ解決されたり、時代と共に変化するものであるから根拠として不十分である」という意見もある。
  • 規制の方法としては、法的規制を求める声が全般的に強い。ガイドラインの実効性を疑問視していると見られる。但し、一方では研究の自由と促進の観点から法による規制方法を懸念する意見も確実に存在し、専門家ほどその傾向が強いように見受けられる。

2.諸外国のクローン問題に対する取り組み状況

  • 体細胞クローンに関する規制方法について、特徴的な4つのケースが抽出された。・第一は英国の事例である。法律によって子細に禁止事項、許可事項を定めることで、逆に必要な研究を推進させる立場である。・第二はドイツの事例。憲法にうたわれた人間の尊厳の尊重の精神に立脚して、法律で全面的に禁止している。・第三はオーストラリアの事例である。十分に実効性があるとして、ガイドラインによる規制を採用。研究規制への懸念から法規制は否定している。・第四が米国の事例である。複数の法案が提出されているにもかかわらず立法化には至っていない。胚の作成を禁止する案と産生を禁止する案、またはその両者の禁止案などがある。○規制の根拠については、各国とも実はそれほど明確ではない。いずれの国も安全性と倫理性を根拠としてあげている点で共通している。敢えて特徴をあげるとすれば、米国が安全性の面を強調している点と、フランスでは個の唯一性を重視している点が指摘できる。

3.結論

 ヒト体細胞クローンについて、何らかの規制が社会的に求められていることに疑問の声を差し挟む余地はない。その方法論については、国民の意見レベルでは法的規制を望む声が大勢を占めるが、専門家筋からは法規制を否定する声も根強い。諸外国に目を転じれば、規制方法について多様なモデルが存在しており、一意的な解が存在しないことは明らかであり、わが国としての思想を明確にした上で、各国の事例を参考に、モデルの選択を行うことが必要である。

※ なお、本調査結果は、科学技術会議生命倫理委員会における審議等わが国のクローン問題に対する政策のあり方を検討する際の基礎資料となる。

お問合せ先

科学技術庁研究開発局ライフサイエンス課

小郷 克幸
電話番号:03‐3581‐5271(内線422)

(科学技術庁研究開発局ライフサイエンス課)

-- 登録:平成21年以前 --