民間企業における研究開発成功事例に関する調査[第197号]

(委託先:株式会社日本総合研究所)

‐第197号‐
平成11年10月27日

調査の概要

 本調査は、科学技術振興調整費により、平成9年度から平成10年度にかけて実施しているものであり、今回は平成10年度の調査結果について報告するものである。

目的

 民間企業の研究開発活動における成功事例を、テーマの選定方法、評価方法、成功要因などの視点から分析し、国の研究活動の評価およびマネジメントに反映すべき事項を抽出することを目的とした。昨年度は素材、材料、製品などハードウェアを対象としたが、今年度はソフトウェア(コンピュータソフトウェアおよびシステム製品)41件のヒアリング調査を実施した。

コンピュータソフトウェアの成功事例の特徴

  • 1)研究開発開始の契機としては、「トップダウン」で開始されたテーマが多い。
  • 2)ニーズを明確に意識して開始された研究が多い。
  • 3)研究開発環境としては、「開発期間が短い」、「研究段階のプロジェクトメンバーの数が非常に少ない」などが特徴的。
  • 4)現業部門に近い部署で研究が開始されるケースが多く、基礎研究所のように現業から離れた部署で開始されるケースは少ない。
  • 5)国がソフトウェア関連の研究開発を実施する場合、「研究員の知的能力に強く依存しつつも、トップの強力なリーダーシップが不可欠」の認識が不可欠。

システム製品の成功事例の特徴

  • 1)全般的には「ニーズ先行」、「トップダウン」で開始されるケースが多い。
  • 2)その他の面では、ハードウェアの成功事例に類似した傾向。

国の研究評価に反映すべきポイント(ハードウェア、ソフトウェアを含めて)

  • 1)ビジョン、ミッションの明確化(研究評価の原点は組織のビジョン、ミッションとの整合性)
  • 2)シーズの魅力から見た事前評価と事業性から見た開発移行時の評価(画一的な評価項目は機能しにくい。特に着手時にはシーズの魅力の評価を)
  • 3)長期的なテーマへの対応(目標やスケジュールをフレキシブルに変えることができる評価を)
  • 4)自由度の確保(国、民間を問わず、研究者に実質的な裁量を与えることは効果的。評価によって自由度が大幅に減少していると感じさせないことが重要)

国の研究開発マネジメントに反映すべきポイント(ハードウェア、ソフトウェアを含めて)

  • 1)困難なテーマへの挑戦を可能とするマネジメント(挑戦的なテーマを支援し、安易なテーマを排除する仕組みが重要)
  • 2)研究開発体制のフレキシビリティの確保(必要に応じて、組織および資金の面で大胆な支援を)
  • 3)優秀な研究者の確保及びマネジメントの権限と責任の明確化(優れた研究には、高いポテンシャルを持つ研究者と権限、責任を負うマネジメントが不可欠)

お問合せ先

科学技術庁科学技術政策局計画・評価課

松原利生
電話番号:03‐3581‐5271(内線343)

(科学技術庁科学技術政策局計画・評価課)

-- 登録:平成21年以前 --