生命倫理に関する諸問題に関する研究開発動向及び社会的合意形成に関する調査 1)ヒト胚性幹細胞及びクローン技術などの研究開発動向及び取扱いに関する調査

(委託先:株式会社野村総合研究所)

‐第202号‐
平成12年7月13日

調査の概要

 本調査は、科学技術振興調整費により、平成11年度から12年度にかけて実施しているものであり、今回は平成11年度の調査結果について報告するものである。

目的

 ヒト胚性幹細胞およびクローン技術について、科学技術会議の生命倫理委員会等で議論がなされている。本調査では、政策審議に資する資料を得ることを目的として、内外の研究開発動向等に関する情報収集を実施した。

調査結果

 若手専門家を中心とする調査検討委員会を設置し、基礎資料作成のための議論を行った。また、1)米英独仏におけるヒト胚、ヒト胚性幹細胞等の取扱状況とその背景思想の把握、2)国内有識者の意見把握、3)関連技術動向の把握と整理、4)一般国民へのアンケートを実施した。
 英独仏では、90年代前半にヒト胚の研究利用についての一般法が制定され、ヒト胚性幹細胞の取扱についても、原則としてこれらの法律中で解釈され、該当しない部分について個別に議論がなされている。しかし、既存法をヒト胚性幹細胞研究に適用した場合、研究の進展を阻害すると考えられる場合が多く、各国で新たにヒト胚性幹細胞の使用・作製を許可しようという動きが顕在化しつつある。特に、不妊治療後に使用されなくなった胚を用いた研究については、各国とも国の管理下において許可する方向にある。一方、米国では、この問題について社会全体のコンセンサスは得られないと考え、「連邦資金援助の可否」という形で国の態度を示している。

今後の課題

 関連技術とその倫理的問題点の一般国民への周知を徹底し、社会の意見を継続的に吸収する仕組みを構築する必要がある。このため、最新の技術的動向、各国の規制の動向をフォローしつつ、わが国でも議論を重ねていくことが重要である。

お問合せ先

科学技術庁研究開発局ライフサイエンス課

小郷 克幸
電話番号:03‐3581‐5271(内線422)

(科学技術庁研究開発局ライフサイエンス課)

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