(委託先:財団法人バイオインダストリー協会)
‐第212号‐
平成12年10月12日
本調査は、科学技術振興調整費により、平成10年度から平成11年度にかけて実施しているものであり、今回は平成11年度の調査結果について報告するものである。
我が国における生物遺伝資源等の知的基盤整備状況の調査を行うことにより、生物遺伝資源の活用の促進を図り、また、生物遺伝資源情報等に対する企業のニーズを把握し、生物遺伝資源の既存整備分を含めた総合的な整備や生物遺伝資源情報のネットワーク化の在り方について政策立案に資する基礎的データを得ることを目的とした。
昨年度の民間企業、大学・研究機関等に対してアンケート調査によって4つの検討課題が明らかになり、今年度は検討課題について具体的な調査を行いとりまとめた。概要については以下のとおり。
生物遺伝資源保存機関が他国と素材移転協定を結ぶ場合、1)第三者への分譲を禁止、2)研究の範囲、3)研究の分担、4)設備の整備、拡充などに配慮、5)研究の範囲から得られた成果の配分等が論点として考えられる。今後の権利処理を含む取引規程については、これを基に充分な実例を積み重ねていくことが重要である。
材評価の基準として考えられていない。欧州のマイスター制度のように学会、企業の協力の下、称号を与える制度を創設し、有効な人材評価制度としていくべきである。
個々の機関の情報管理、発信能力を高めていくためには、カタログの電子化は必須であり、情報の電子化に必要な項目の抽出、検索機能などについて検討を行う必要ある。情報のデータ化や品質向上、生きた情報ネットワークの維持には、学術雑誌の編集者ともいえる情報科学者、生物学者から構成される専門家集団「curators」を置く必要がある。
わが国の公的機関は分散しており、欧米に比べると脆弱である。1)大学の教授の退官等や特許微生物の取下げなどによって廃棄される既知の生物資源を受け入れる機能、2)最近の生物多様性条約に絡む諸問題や知的財産権の問題に対するコンサルテーション機能、3)人材育成のためのトレーニング機能などを有する中核的な機関を設置し、わが国の能力を結集することが必要である。
上記の内容は、いずれも省庁横断的な課題であり、実現のためには関係省庁が連携して生物種毎の特性や各機関の特長を踏まえ、中核的な機関の整備を進めることが必要である。
渡辺、長田
電話番号:03‐3501‐1511(内線3185)
-- 登録:平成21年以前 --