科学技術会議の活動を中心とした科学技術政策の変遷に関する調査[第214号]

(委託先:社団法人科学技術と経済の会)

‐第214号‐
平成12年12月14日

調査の概要

 本調査は、科学技術振興調整費により、平成11年度から平成12年度にかけて実施したものである。

目的:これまで約40年にわたり科学技術会議が果たしてきた役割等について、同会議の答申、意見具申等の政策が形成された際の社会的・経済的な背景や他分野の政策への影響等から調査を行い、将来の科学技術政策の検討に反映させることのできる教訓及び知見を把握、整理し、新たに設置される予定の総合科学技術会議の活動に資する基礎資料を得ることを目的に実施した。

調査結果

1.科学技術政策の変遷調査

 科学技術を取り巻く社会情勢などの文献調査、及びヒアリング調査・懇談会の論点整理等により、科学技術会議の活動を中心とした科学技術政策の変遷について、取りまとめた。
 序章として、科学技術会議の任務及び法律上の位置づけを明確化。第1章として、科学技術会議関連年表を整理。第2章として、科学技術政策の変遷を3つの期間に分けて整理。

  1. 科学技術会議設置から第5号答申(1971年)まで
  2. 第5号答申以降から「科学技術基本法」成立(1995年)まで
  3. 「科学技術基本法」成立以降

 第3章として、1)キーワードによる分析(研究費、科学技術人材、制度)、2)有識者ヒアリング・懇談会結果の論点整理、3)わが国経済社会の発展と科学技術会議の役割について、取りまとめた。

2.科学技術会議の活動と科学技術振興

 科学技術会議が設置され、以降約40年間の科学技術政策の変遷にみられる同会議の活動を振り返り、得られる教訓及び知見を科学技術振興のために貢献した事項及び必ずしも十分とは言えなかった事項として整理した。

1)科学技術振興のために貢献した事項

  1. 科学技術の振興を国の重要政策へと先導してきたこと
  2. 理工系人材の養成
  3. 基礎研究の重視
  4. 研究投資の目標の提示
  5. ライフサイエンスの推進
  6. 地球・環境科学技術の推進
  7. 国の研究開発の評価に関する大綱的指針の策定
  8. 国立試験研究機関の研究の推進

2)必ずしも十分とは言えなかった事項

  1. 科学技術会議本会議による審議が十分に行えなかったこと
  2. 各省庁の施策を追認する傾向が強かったこと
  3. 答申に示した基本政策の実施状況のフォローアップの不足
  4. 科学技術会議の構成メンバーの偏り
  5. 科学技術会議における分析・調査機能の不足
  6. 事務局機能・体制の問題
  7. 科学技術に関連する教育への取り組みの遅れ
  8. 産学官連携における技術移転等の成果の活用の観点の希薄さ

3.今後の科学技術政策立案の視点

 科学技術会議のミッションである「科学技術振興」の目的は、科学技術による国民の福祉の向上であり、国際競争力の強化・維持しつつ経済の発展に努めることである。この観点から科学技術会議40年にわたる活動を振り返り、今後、総合科学技術会議が、科学技術政策を展開する上で留意しておくことが望ましい視点として、5つの「総合」という観点を示した。

  1. 民間部門と公的部門の総合
  2. 地方と中央の総合
  3. 社会と科学技術コミュニティーの総合
  4. 縦割りの総合
  5. 日本と世界の総合

お問合せ先

科学技術庁科学技術政策局政策課企画室

田中
電話番号:03‐5157‐0703(直通)

(科学技術庁科学技術政策局政策課企画室)

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