「雲仙火山:科学掘削による噴火機構とマグマ活動解明のための国際共同研究」[第216号]

‐第216号‐
平成13年3月1日

(研究代表者:経済産業省地質調査所 宇都浩三室長)

「火道掘削の予備調査掘削を開始」「今年度山体掘削を終了~成果速報」

 科学技術振興調整費による総合研究「雲仙科学掘削」は、雲仙火山の噴火メカニズムと50万年間の成長史を明らかにするため、いまだ高温を保つ噴火火道や火山体への科学掘削を行い試料を採取・分析すると共に、地質学・地球物理学・地球化学などの各種手法を用いて総合的に雲仙火山の研究を行う、平成11年度を初年度とする6カ年計画のプロジェクトである。

 平成14年度からの第2期での火道掘削の準備を進める火道掘削計画策定分科会(主査:中田節也東大地震研究所教授)では、昨年10月のICDP(国際陸上掘削計画)共催の国際掘削技術ワークショップなどの成果を受けて、火道掘削の候補地点を雲仙岳北斜面(図1)に決定した。これにより同地点付近の地盤調査の必要性が生じたため、文部科学省では緊急に予算措置を行い、400メートルのパイロット掘削(図2)を財団法人地震予知総合研究振興会、日本重化学工業株式会社、東北大学大学院工学研究科が実施することとなった。2月中旬までに林道の整備、資機材の搬入を終え、2月24日より掘削を開始している。

 また、雲仙火山の50万年間の噴火活動の歴史を解明するため、経済産業省産業技術総合研究所地質調査所は、島原市南千本木(平成11年度、深度750メートル)、深江町上大野木場(平成12~13年度、深度1400メートルを予定)の2箇所の山体科学掘削を実施しており、2月までに今年度分の掘削を終了した。採取したコアについては、火山学・岩石学・年代分析学の専門家からなる掘削試料解析分科会(主査:宇都浩三地質調査所室長)が中心になり検討を実施し、1792年の島原大変(死者15,000名)に相当するような山体崩壊が3回確認されるなど、過去の火山活動に関する新しい情報が得られつつある。今後は各研究担当者が試料を研究室に持ち帰りより詳細な分析を行う。平成13年度にはさらに500メートル増掘し、雲仙火山の全歴史を明らかにする。

添付資料

問い合わせ先

 研究開発局海洋地球課 電話:03‐3580‐6561(直通)
 地球科学技術係長 菅野 智之 03‐3581‐5271(内5648)

(予備調査掘削研究主担当者)
 日本重化学工業株式会社 東京本社地熱事業部
 マネージャー 佐久間 澄夫 電話:03‐3667‐6534

(山体掘削研究主担当者)
 経済産業省地質調査所 電話:0298‐61‐3557(直通)
 主任研究官 星住 英夫

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