‐第218号‐
平成13年6月12日
科学技術振興調整費「陸域震源断層の深部すべり過程のモデル化に関する総合研究(第1期 平成11~13年度)」の一環として、長町‐利府断層の深部構造を人工震源を用いて、3次元的に解明します。探査は東北大学、産業技術総合研究所(旧地質調査所)、東京大学地震研究所によって行われます。
長町‐利府断層では、その上盤側に当たる仙台市愛子の深さ約12キロメートルを震源として、マグニチュード5.0の逆断層型の地震が、1998年9月15日に発生しました。長町‐利府断層の地表位置との関係から、この地震は同断層最深部で発生したと推定されました。1998年マグニチュード5.0の地震の発生の意味を理解する上で、真に断層最深部でのすべりであったのか否かを含めて、この地震の震源断層と長町‐利府断層の深部構造との関係を知ることは極めて重要です。本探査では、長町‐利府断層を調査研究対象として、人工震源を用いた稠密観測により、反射法・屈折法・散乱法を併用した断層深部の構造調査を行います。
詳細については、別紙のようになっております。
平成13年6月12日
科学技術振興調整費総合研究「陸域震源断層の深部すべり過程のモデル化に関する総合研究」の一環として、長町‐利府断層の深部構造を人工震源を用いて、3次元的に解明します。探査は東北大学、産業技術総合研究所(旧地質調査所)、東京大学地震研究所によって行われます。
長町‐利府断層では、その上盤側に当たる仙台市愛子の深さ約12キロメートルを震源として、マグニチュード5.0の逆断層型の地震が、1998年9月15日に発生しました。長町‐利府断層の地表位置との関係から、この地震は同断層最深部で発生したと推定されました。1998年マグニチュード5.0の地震の発生の意味を理解する上で、真に断層最深部でのすべりであったのか否かを含めて、この地震の震源断層と長町‐利府断層の深部構造との関係を知ることは極めて重要です。
本探査では、長町‐利府断層を調査研究対象として、人工震源を用いた稠密観測により、反射法・屈折法・散乱法を併用した断層深部の構造調査を行います(添付図1)。
平成13年5月14日~7月10日
宮城県仙台市(青葉区・泉区・太白区)
山形県山形市
宮城県大和町
調査に先立って、道路の路肩に木杭を打ち、地震計を設置する場所(添付図2の赤・青の線上)を表示しておきます。その後、杭がある地点に、地震計・記録機・ケーブルなどを、交通の支障にならないように道路の端に設置します。地震計を設置する間隔は10~50メートルです。設置後、以下の二つの方法を用いて人工的な振動を発生させ、地震計でその振動を観測し、記録をとります。地球の中を通ってきた振動の波形を解析することで、地下の断層の形状や物性を明らかにすることができます。
バイブレーター車4台で、添付図2の黒色の線上(A(22キロメートル)、B(14キロメートル)合計36キロメートル)を移動しながら振動を発生させます。1地点あたり、約20秒間の振動を20回程度発生させた後、200メートル移動して同様な発震をします。
添付図2の星印の地点15ヶ所で火薬を爆発させ、爆発による地面の震動を地震計で観測します。発破点は人家から離れた場所を選びます。また、この調査は、人工的なノイズ(車、電車などの振動)を避けるため、深夜に行います。振動は人間が感じることができないほど微弱で、建造物にも全く影響を及ぼしません。
バイブレーター・ダイナマイト震源による3次元的調査:産業技術総合研究所との契約により株式会社地球科学総合研究所が行います。
東北大学・産業技術総合研究所・東京大学地震研究所:独立型地震計等による付帯観測
陸域震源断層の深部すべり過程のモデル化のためには、断層面の位置や形状・性質、断層の下部地殻への延長部あるいはデタッチメントフォールト・地殻内流体層(ブライトスポット)など、断層の深部構造に関わる情報が不可欠である。他の大多数の活断層と同様に、長町‐利府線断層帯の場合も断層深部構造に関する情報は皆無に等しい。
長町‐利府線断層帯はいくつかの逆断層の集合で、主要な断層は長町‐利府線と坪沼‐円田断層である。我々は断層としての実態を簡潔に表現するために、長町‐利府線を長町‐利府断層と呼ぶことにする。
長町‐利府断層と坪沼‐円田断層が連動して活動するか、といったことを含め両断層の関係については長町‐利府線断層帯の評価にとって重要であるが、本研究では長町‐利府断層の深部構造について研究を進めている。
長町‐利府断層では、その上盤側に当たる仙台市愛子の深さ約12キロメートルを震源として、マグニチュード5.0の逆断層型の地震が、1998年9月15日に発生した。長町‐利府断層の地表位置との関係から、この地震は同断層最深部で発生したと推定された(Umino et al.,2001)。1998年マグニチュード5.0の地震の発生の意味を理解する上で、真に断層最深部でのすべりであったのか否かを含めて、この地震の震源断層と長町‐利府断層の深部構造との関係を知ることは極めて重要である。
本総合研究では、長町‐利府断層を調査研究対象のひとつとして、制御震源を用いた稠密観測により、反射法・屈折法・散乱法を併用した断層深部の構造調査を行う。
すでに平成12年度に、計画されている構造探査に向けて、調査仕様策定の基礎資料を取得することを目的として、予備実験を実施した。実験では、50メートル間隔に受振点を計106点設置し、バイブレータ4台を用いて種々のテストや発振を行った。この予備実験により、バイブレータ震源の発震パラメータのテストや、震源エネルギーの到達度の評価など、仕様策定のための基礎的資料が得られた。また、実験の際には、上記の受振点の他に、L字型アレイを2個所に設置して観測が行われた。さらに、東北大学の定常観測点あるいは臨時観測点データを用いて、1998年9月15日のマグニチュード5.0の地震の余震記録を系統的に調査することにより、SxS波を検出することができた。検出されたSxS波の到達時刻データから、S波反射面(ブライトスポット)の位置を推定した。その結果、長町‐利府断層の深部延長あるいはその直下の下部地殻に、複数のブライトスポットが分布していることが明らかにされた。
なお、15地点で爆破点のための孔井の掘削はすでに平成12年度に終了している。
図1に示す36キロメートルの区間(測線A:22キロメートル、測線B:14キロメートルの直交する2測線)において、50メートル毎に受振器を設置し、デジタルテレメトリシステムを用いて合計720チャネルのデータを同時に取得する。震源としては大型バイブレータ4台を標準として使用する。
平成12年度に既に掘削した15地点での30メートル坑井内(図1参照)で、標準薬量100キログラムのダイナマイト発震を実施し、バイブレーター実施時と同じ地震計の展開でデータを取得する。なお、原則として、バイブレーターと同様に、観測車からの無線信号により発震を行うものとする。
但し、測線A,Bの交点付近において、L時型に50メートル間隔、合計80点(2 40ch)の3成分地震計を追加設置する。この結果総チャネル数は、96となる。
研究開発局地震調査研究課
-- 登録:平成21年以前 --