生命倫理に関する諸問題に関する研究開発動向及び社会的合意形成に関する調査 ヒト胚性幹細胞及びクローン技術等の研究開発動向及び取扱いに関する調査[第224号]

(委託先:株式会社野村総合研究所)

‐第224号‐
平成13年11月21日

1.調査の概要

 本調査は、科学技術振興調整費により、平成11年度から平成12年度にかけて実施されたものであり、今回は平成12年度の調査結果について報告するものである。

 目的:ヒト胚性幹細胞及びクローン技術について、科学技術会議の生命倫理委員会等で議論がなされてきた。本調査では、政策審議に資する資料を得ることを目的として、内外の研究開発動向、規制動向に関する情報収集を実施した。

2.調査の結果

 平成12年度調査では、(1)諸外国・諸機関におけるヒト胚取り扱い施策について平成11年度調査のフォローアップと、(2)関連する生命倫理諸問題について、アンケートと聞き取り調査による、各界有識者等からの意見聴取を行った。

(1)諸外国・諸機関におけるヒト胚取り扱い施策について平成11年度調査のフォローアップ

 英米独仏を中心としたヒト胚関連施策のその後の変化、政策スタンスの変化について、確認を行った。その結果、各国とも基本的な政策スタンスに変化はないものの、近年の周辺研究の急速な進展により、1990年代前半に整備した胚使用に関する規制が古くなりつつあるとの認識があり、法改正に向けて準備を開始している国があり、特にES(胚性幹)細胞研究については、これまでの規制の有無に関わらず、英保健省諮問委員会報告書(Stem Cell Research: Medical Progress with Responsibility)のように条件付きで許可する方向の規制の準備を行っている国がみられた。なお、英独仏におけるヒト胚の保管年限などの要件、現在保管している胚の管理状況、各国の国内諸機関の胚やその研究に対する考え方等を調査した。あわせて米国等の研究の盛んな国においてES細胞の提供を目的とする団体が設立されたことなどの研究開発・事業化動向の概要調査も実施した。

(2)関連する生命倫理諸問題について、アンケートと聞き取り調査による、各界有識者等からの意見聴取

 人クローン個体産生、余剰胚・中絶胎児の研究使用、ES細胞研究についての考え方等のトピックについて、国内有識者の意見を調査し、その意見構造を把握した。人クローン個体産生について、積極的に賛成する意見はなかった。余剰胚の研究利用については、単に賛成、反対のほか、「胚を管理する機関があれば研究は可」とする意見や、「本来余剰胚をつくらない努力をすることが先であり余剰胚の研究利用は不可」といった意見などがあった。その他の調査した項目についても、国内有識者の意見は極めて多様であることが示された。また、生命倫理諸問題に対する議論について関心が高いことがわかった。

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