平成16年6月
平成14~15年度
科学技術政策提言
報告書要旨
研究代表者:木村 英紀(東京大学)
中核機関:社団法人 計測自動制御学会
調査研究の目的 |
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わが国科学技術の持つ弱点と長所を、政策、組織、枠組みにおける「横断型基幹科学技術の役割とその推進」という立場で実証的に、また、研究開発の現場における具体的な事実の積み重ねにもとづいて解明し、それをもとに、再びわが国の科学技術が世界をリードするようになるための、基盤つくりの現実的で具体的な科学技術政策を提言する。 |
本調査研究は、83名の委員が参加して6つの分科会と4つのワーキンググループに分かれて活動し、合計で延べ60回の研究会を行った。また産官学の延べ76人の方々からヒアリングを行うとともに、3回のアンケートを行い、計1,310人の現場の科学者技術者から回答を得た。加えて2回の公開シンポジウムを開催して、広い範囲の意見の聴取に努め、3回の海外調査を行った。
本研究調査のテーマは、科学技術の新しい動向の分析に関わるきわめて広範で焦点の掴みにくい抽象的なものであったが、これだけ多くの研究者を動員して組織的な調査研究を行った例は少ない。その意味で、本調査研究活動は、まさに、科学技術政策の策定のための新しい試みと言える。
本調査研究の活動自体がすでにもたらした成果の最大のものは、平成15年4月に発足した「横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)」である。この組織は、41学会が参加し延べ会員数6万人の規模に成長している。本調査研究の参加者が、この連合組織の活動を中核として担っている。本調査研究の終了後もこのような形での連携の鎖が確固としてでき上がったことは、このプロジェクトの大きな成果といえよう。
また「横断型科学技術」と題する異分野交流フォーラムがJSTの主催で開催された。このフォーラムを通して、より広い範囲の人々の意見を知り、本提言に生かすことができた。
本調査研究には実に多くの研究者技術者の参加を得たが、その活動の過程で、「横断型」の言葉と概念が次第に広い範囲の企業や、研究機関のさまざまのコミュニティに浸透して来たと思われる。この成果を無にすることなく、知の統合を目指す動きがますます強まることを期待している。
成果報告書は、提言本文と資料編で3分冊からなり、上記のあらましに沿って、1)本調査研究の背景としての、細分化という科学技術の自然傾向に対して、それに拮抗する統合が必要である理由、2)知の統合を推進するための核となる「横断型基幹科学技術」の概念を定義し、その性質を述べる、3)わが国の科学技術の伝統的なタテ志向によって、「横」がそのままの形では伸びにくいこと、それがわが国の科学技術の弱さとなっていることを、具体的に示し、4)上記の政策提言をヒアリング、アンケート調査、海外調査などの調査研究の結果にもとづいて具体的な形で解説している。
電話番号:03‐6734‐4017(直通)
-- 登録:平成21年以前 --