平成11年度研究評価小委員会研究評価報告書について 2.各論 (2)流動促進研究 (b)


侵入帰化植物による植物多様性に対する遺伝子汚染の

リスク評価のための基礎的研究

(研究期間:平成9年度~13年度)

 

 

任期付研究者名:芝池 博幸(農林水産省農業環境技術研究所)

 

 

(1) 総 評

本研究は、侵入帰化植物が我が国の植物多様性に及ぼす影響を遺伝子レベルで評価し、植物多様性の保全に貢献することを目的とした基礎研究である。これまで、侵入帰化植物の侵入・定着・拡散パターン及び定着・分散機構の解明に不可欠なツールとなる種特異的遺伝子マーカーの開発系を構築し、また、実際に遺伝子汚染が生起している野外集団も見出していることから、計画はほぼ順調に進捗している。しかし、本研究で対象としている代表的なモデル植物は、遺伝的な研究実績が豊富であり、基礎研究を進める上でのモデルとして有用であるということは認められるものの、本研究の成果を実際の農業生態系における遺伝子汚染の防止にどう応用していくかが明確にされていないことから、目的・目標は一部見直しが必要である。

他方、任期制の活用の効果に関しては、想定したとおりの効果が得られており、任期付研究員に対する必要な支援もなされていると判断される。従って、4年目以降も研究内容を一部変更して継続するべきであると判断される。

 

(2) 4年目以降の研究実施に際しての留意事項

成果の波及効果をよく考慮して進め方を検討すべきである。具体的には、基礎研究であることに留意しつつ、例えば、除草剤に強い雑草のように侵入帰化種として遺伝子汚染の影響が大きいものへの応用を視野に入れる等目標の明確化を図るべきである。また、パーマネント職員ではなく任期付きの研究員を活用している点も念頭に農業環境技術研究所としての課題と本研究の課題をきちんと整理することが必要。
 

 




 

-- 登録:平成21年以前 --