平成10年度研究評価小委員会報告書について 1.総論


1  総 論

 本小委員会は、科学技術会議政策委員会から、「政策委員会における重要政策課題等の審議の進め方について」(平成9年3月27日科学技術会議政策委員会決定)に基づき、科学技術振興調整費により実施された研究について、中間及び事後評価に係る調査検討を付託されている。

 平成10年度において、本小委員会は、科学技術振興調整費を有効かつ適切に活用し、効率的な研究開発を推進する観点から、総合研究12課題、省際基礎研究8課題、国際共同研究総合推進制度(多国間型国際共同研究)2課題の計22課題を対象として、研究目標の達成度、研究成果の価値、第2期への移行の適否等について慎重に調査検討を行った。

 調査検討に当たっては、「研究評価小委員会における評価の進め方について」(平成9年11月21日科学技術会議政策委員会研究評価小委員会決定)に基づき、本小委員会の下に、研究課題ごとに研究評価ワーキンググループを設けて専門的な見地からの調査検討を行い、その結果を踏まえ、本小委員会で総合的な検討を行った。

 調査検討の結果を総括すれば、以下のとおりである。

  1. 総合研究
     平成9年度に研究を終了した6課題及び平成10年度に第I 期の研究を終了する6課題、合計12課題について評価を行った。
     平成9年度に研究を終了した各課題については、概ね所期の目標を達成しているものと認められる。平成10年度に第1期の研究を終了する各課題については、概ね所期の目標を達成しているものと認められる。また、これらの第2期への移行については、一部に第1期をもって研究項目を終了、整理統合することが必要なものも認められるが、いずれの課題も研究内容の一部を修正・再編することにより、第2期計画へ移行することが妥当であると認められる。

  2. 国際共同研究総合推進制度(多国間型)
     平成9年度に研究を終了した1課題及び平成10年度に準備研究を実施した1課題について評価を行った。
     平成9年度に研究を終了した課題については、概ね所期の目標を達成しているものと認められる。平成10年度に準備研究を実施した課題については、概ね所期の目標を達成しているが、本格研究への移行に当たっては、研究内容の一部を修正・再編することにより、本格研究へ移行することが妥当であると認められる。

  3. 省際基礎研究
     平成9年度に研究を終了した8課題について評価を行った。これらの課題については、概ね所期の目標を達成しているものと認められる。




平成10年度研究評価小委員会評価一覧



(1)-1 総合研究(平成9年度に研究を終了した課題)
研 究 課 題 名 評価
材料のエコマテリアル化のための評価・設計技術の確立に関する研究
傾斜構造形成によるエネルギー変換材料の開発に関する研究
生体ナノ機構の解明のための基盤技術の開発に関する研究
システムと人間との調和のための人間特性に関する基礎的・基盤的研究
極限量子センシング技術の開発及びその利用のための基盤的技術開発
世界海洋観測システム構築に資する革新的ブイシステムの基盤技術開発研究


(1)-2 総合研究(平成10年度に第1期の研究を終了した課題)
研 究 課 題 名 評価
物質・材料の自己組織化機構の解析と制御に関する研究 -b
がん細胞の標的治療のための先端的基盤技術の開発に関する研究 a-b
広域高速ネットワークを利用した生活工学アプリケーションの調査研究 c-c
極限環境下におけるマイクロトライボロジーに関する基盤的研究 b-b
全地球ダイナミクス:中心核にいたる地球システムの変動原理の解明に関する国際共同研究 a-b
南海トラフにおける海溝型巨大地震災害軽減のための地震発生機構のモデル化・システムの高度化に関する総合研究 -b
評価は(総合評価-2期移行評価)

(2)-1 国際共同研究総合推進制度【多国間型国際共同研究】(平成9年度に研究を終了した課題)
研 究 課 題 名 評価
地球科学技術研究のための基礎的データセット作成研究


(2)-2 国際共同研究総合推進制度【多国間型国際共同研究】(平成10年度に準備研究を実施した課題)
研 究 課 題 名 評価
アジア・太平洋地域に適した地震・津波災害軽減技術の開発とその体系化に関する準備研究


(3) 省際基礎研究(平成9年度に研究を終了した課題)
研 究 課 題 名 評価
結晶微細構造を利用した新規物質予知技術の開発
ワイドギャップ窒化物半導体エレクトロニクス材料の研究
並列計算技術を用いた太陽地球系プラズマ環境シミュレーションの研究
ヒトヘルペスウイルスによるリンパ球系の機能障害機序の解明
植物細胞における自己・非自己認識機構の解明
昆虫化学交信の高度制御技術の開発
超高磁場NMRと分子シミュレーションによる生体超分子の動的構造-機能相関の研究
新規なプロテアーゼによる,タンパク質の大量蓄積系の制御機構とその遺伝子発現に関する研究



(参考)

評価に係る表現について


(研究の総合評価:中間評価及び事後評価)
 平成10年度研究評価小委員会報告書では、評価に係る表現ぶりを下記のように統一した。

本研究は,所期の目標に鑑み極めて優れた研究であり、その成果は極めて高く評価できる。
本研究は,所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果はたいへん高く評価できる。
+ 本研究は,所期の目標に適した研究であり、その成果はたいへん高く評価できる。
本研究は,所期の目標に適した研究であり、その成果は高く評価できる。
- 本研究は,所期の目標に適した研究であり、その成果は評価できる。
本研究は,所期の目標に鑑み研究を実施した意義は認められるが、その成果はあまり高くは評価できない。
本研究は,所期の目標に鑑み研究を実施した意義は認められるが、その成果はあまり評価できない。



(移行の考え方:中間評価)

1期の内容のまま第2期に移行することが妥当である。
2期移行に当たっては第1期の研究評価を踏まえ,研究内容の一部を再編成することが必要である。
2期移行に当たっては,抜本的な(大幅な)計画の見直しが必要である。
1期で研究を終了すべきである。


 

-- 登録:平成21年以前 --