ここからサイトの主なメニューです

科学技術振興調整費による研究実施課題の評価結果について


平成10年4月9日
科学技術庁

 科学技術振興調整費により実施した研究課題については、科学技術会議政策委員会の下に置かれた各小委員会により評価が実施されているところ。
 この度、下記の3つの委員会により平成9年度の評価結果が取りまとめられ、本日開催された政策委員会に報告された。

(1) 研究評価小委員会(主査:田中郁三学位授与機構長)では、総合研究のうち平成9年度に第1期を終了した6課題(中間評価)及び平成8年度に第2期を終了した8課題(事後評価)、省際基礎研究のうち平成8年度に研究を終了した8課題(事後評価)、生活・地域流動研究のうち平成8年度に研究を終了した5課題(事後評価)、国際共同研究総合推進制度(多国間型)のうち平成9年度に第1期を終了した1課題(中間評価)の計28課題について評価を実施した。

本件に関する問合せ先:科学技術政策局調整課
西田(内線321)

(2) 中核的研究拠点(COE)育成委員会(主査:森亘科学技術会議議員)では、平成7年度より中核的研究拠点(COE)育成の対象機関となっている2機関について、研究課題の中間評価を実施した。

本件に関する問合せ先:科学技術振興局研究振興課
木下(内線551)

(3) 研究情報高度化小委員会(主査:猪瀬博学術情報センター所長)では、研究情報整備・省際ネットワーク推進制度(平成9年度より総合研究に移行)により、平成7年度に研究を開始し、平成9年度に第1期を終了した1課題について中間評価を実施した。

本件に関する問合せ先:科学技術振興局科学技術情報課
大野(内線554)

 各委員会による評価結果は、別冊のとおりである。



研究評価小委員会報告書における評価結果の概要

総合研究

(平成8年度に終了した課題)

  1. 特性発現モデルに基づく先端材料の特性解析技術開発に関する国際共同研究

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果は評価できる。
     第2期は、前期に引き続いて同一課題に対して発展的に研究が推進され、ほぼ所期の成果が得られた。取り上げたきわめて広範、多岐にわたる課題に対し、そのいくつかのものは、国際協力制度(あるいはそれをにらんだ国内準備作業)を通して研究を推進した点は高く評価できるのが、本総合研究の特色である。この種の国際協力が、今後とも実施できる方策が望まれる

  2. 短時間微小重力場を利用した材料生成に関する基盤技術開発

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果は高く評価できる。
     第2期では、第1期で確立した実験手法・装置をさらに発展させ、落下塔及び航空機を利用した微小重力実験を数多く実施し技術の確立が図られた。
     その結果、結晶成長その場観察技術、物性計測技術、急速加熱炉、電解重合技術、電磁浮遊技術、細胞実験技術遺伝子発現等、微小重力環境を利用した各種技術を実用化の域にまで到達させることに成功したことは評価できる。本研究で開発された技術は、落下塔及び航空機での実験のみならず、一般地上研究及び宇宙ステーション等を利用した研究にとって重要な技術であり、今後、これら他の研究等へ移転されるような方策が望まれる。

  3. 原子・分子の協調作用を用いたインテリジェント材料創製のための基盤技術開発

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果はたいへん高く評価できる。
     この研究は、1)原子の協調作用、2)分子の協調作用、3)生体および高分子の協調作用を用いることにより、インテリジェント材料創製のための基盤技術を開発することを目標として行われたものである。本研究の成果は前記1)~3)に相当する研究グループの間で若干の差異はあるが、総体として高く評価することのできる優れたものであると判定する。

  4. 糖鎖の構造・機能解析のための共通基盤技術の開発に関する研究

     本研究は、所期の目標に鑑み極めて優れた研究であり、その成果はたいへん高く評価できる。
     第2期は、全般的に良好に推移し、実質に優れた成果がいくつか上がっている。特に、第1班の目標については十分以上の成績を収めたといって良い。
     今後については、ここまで進んできた糖鎖工学の成果が国際的にも高く評価されるに至った現状を踏まえ、研究を加速させ、国際的なリーダーシップを確保することが望まれる。

  5. 新しい動物実験系開発のための基盤技術の開発

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果は高く評価できる。
     各班ごとに当初予想したよりも多くの成果が得られている。一部目標達成のなされていない課題がみられるが、最終目標が予期したよりも困難なものであったということであって、研究の進め方が誤っていたというものではない。特に循環器研究に必要な大動物実験が本研究発足時よりもはるかに困難になっているという外的条件の変化を考えるならば、本研究の重要性は増加こそすれ決して減少するものではないであろう。さらなる研究推進を期待したい。

  6. 知的生産活動における創造性支援に関する基盤的研究

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果は高く評価できる。
     本研究は、人間-コンピュータ間の密接で親密な協力を手段とする創造的開発研究の進展に寄与したと評価できる。また、研究開発の組織過程分析、研究開発資産管理、研究開発マネジメント支援システムの体系的データベース化についても成果をあげていると評価できる。
     さらに、本研究で実施した研究開発における創造性を支援する数値シミュレーション手法に関する研究の意義は高く、その成果として汎用並列プログラミング言語、並列プログラム開発支援システム、計算格子生成、数値シミュレーション後処理システム、形状変更支援ツールに関するソフトウエアを開発したこと等は評価できる。

  7. 縁辺海における物質循環機構の解明に関する国際共同研究

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果は高く評価できる。
     第2期においては一部に解析中のものもあり、成果の公表がやや遅れているものの、東シナ海陸棚域が大気中の二酸化炭素の吸収域として機能していることを様々な手法で示すなど重要な知見が得られており、12期を通じて概ね目標とした成果が得られたと考えられる。
     今後の成果の公表については、国内外の代表的雑誌への速やかな発表を行うことと、取りまとめの際に有機的総合的に他の観測データを十分消化した上で解析を行うことが必要である。

  8. マイクロ波センサデータ利用等によるリモートセンシング高度化のための基盤技術開発

     本研究は所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果は評価できる。
     本研究は、我が国最初の体系的なマイクロ波リモートセンシング利用を試みたプロジェクトである。本プロジェクトがマイクロ波リモートセンシングの研究者の増加及び事例解析の蓄積に大いに貢献したことが研究成果から窺え、個々の研究間にやや差はあるものの、概ね目標は達成されたと判断される。しかし、当初予定していたデータの入手が不可能になり、研究内容の変更・削除を行ったテーマがあった。多くの場合、予想し得なかった事情にする研究であるので、データが出てこない場合のバックアップの進め方を当初から考慮しておくべきである。
     今後はマイクロ波の計測物理の専門家と協力し普遍的なデータ利用の確立を目指してほしい。

    (平成9年度に第1期を終了する課題)

  9. フロンティアセラミックスの設計・創製に関する研究

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果は高く評価できる。
     本プロジェクトの対象とした物質は多種にわたるが、形態としては微粒子、薄膜、単粒界の三つに大別され、これらにおける界面を理論、評価、合成の三つの方向から総合的に研究したものである。その結果、界面に関する理論、材料設計、合成手法に関して、多くの研究成果が得られた。
     その研究成果は全体として、世界的に見て高い水準にあると評価できる。各研究者は、独創的、精力的に研究を進めて、ほとんどが当初の目標を達成するとともに、想定していなかった新しい成果が得られており、第2期への移行によってさらなる研究成果が期待できる。第2期移行に当たっては、第1期の研究評価を踏まえ、研究内容の一部を再編成することが必要である。

  10. 物質・材料設計のための仮想実験技術に関する研究

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果は評価できる。
     第2期移行に当たっては、第1期の研究評価を踏まえ、研究内容の一部を再編成することが必要である。すなわち、2期移行に当たっては閉じたグループによる学術研究だけではなく、仮想実験技術の利用者の拡大、さらには広範な利用者が参加した物質・材料設計を目指すとともに、また、そのために利用者の興味を引くだけのコンテンツを用意することに重点を置くことが適当と考えられる。

  11. 臓器・組織再生システムのための基盤技術の開発

     再生過程においては基本的に正常発生時における分子機構が少しモディファイされた形で再利用されることが確認され、また正常発生時における各種の分子機序が多面的に解明された点で、本研究は所期の目標に鑑み極めて優れた研究であり、その成果は極めて高く評価できる。国際的に高い評価の成果も多い。研究班員による成果にはばらつきが認められるものの、研究課題全体としては研究目標の設定、研究推進委員長と班長を中心とする研究推進が適切であり、着実に成果が上がっている。次期の研究展開の萌芽もすでに生まれており、さらなる発展が期待される。以上のことから、研究内容の一部変更をして、全体としては第2期への移行が適当である。

  12. 海底ケーブルを用いた地震等多目的地球環境モニターネットワークの開発に関する研究

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果は高く評価できる。
     本研究は、観測ケーブルシステムの技術の流れを先取りした基盤技術で、既存技術から見て極めて挑戦的・意欲的であると言える。そのため、開発に成功した場合のインパクトは非常に大きい。
    2期においては、第1期で開発した観測機器、海中接続技術を、技術目標を具体的定量的に設定した上でより発展させると共に、観測データの処理・管理・配布技術の開発にも重点を置く必要がある。その上で、観測機器の開発については、世界的レベルで価値のある機器を優先的に取り上げることが望ましい。
     以上のとおり、第2期の研究内容については研究の進め方及び重点項目の設定等にさらに検討を行う必要があることから、第2期移行に当たっては、第1期の評価を踏まえ、研究内容の一部を再編成することが必要である。

  13. バイカル湖の湖底泥を用いる長期環境変動の解析に関する国際共同研究

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果は高く評価できる。
     本研究は、大陸内部では世界で最も長期間の環境変動を記録していると言われているバイカル湖において、過去500万年間の周期的な寒暖の変遷史を明らかにするなど、今後の大きな成果につながる可能性を示す重要なデータが取得されている。その中には国際的にも評価されうる成果がいくつも含まれており、高く評価できる。
     問題点としては、コアの分析に関連して、一部の新しい手法等につめきれていない点があることと、一部の分析に遅れがみられ、そのために相互間の討論や融合が充分でない点が指摘できる。
    以上のとおり、成果は今後の更なる分析・解析を通して初めて達成されることと、全体の統合が行われるような体制を作る必要があることから、第2期移行に当たっては、第1期の研究評価を踏まえ、研究内容の一部を再編成することが必要である。

  14. 成層圏の変動とその気候に及ぼす影響に関する国際共同研究

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果は高く評価できる。
     各研究項目の間でばらつきはあるものの、全体としては、当初に意図した成層圏の変動の研究のための道具立てが揃いつつあり、今後の研究の発展に向けて着実に成果があがりつつある。
     今後は、第1期で開発された観測と解析の道具を活用し、これまでの研究の枠組みを基本的に踏襲しつつ、さらに各研究を高度化し、成層圏変動の実態把握とその物理的・化学的プロセスの解明、そして対流圏との相互作用の解明に向けて研究を進めることが重要と考えられる。
     以上から、第2期移行にあたっては第1期の研究成果を踏まえ、研究内容の一部を再編することが必要である。

国際共同研究総合推進制度(多国間型国際共同研究)

(平成9年度に第1期を終了する課題)

  1. アジア地域の微生物研究ネットワークに関する研究

     本研究は、所期の目標に鑑み極めて優れた研究であり、その成果はたいへん高く評価できる。
     本研究は探索とその基礎となる微生物菌株の収集保存を東南アジアを中心とする諸国の研究者との国際的共同研究として推進しようとするものである。これまでの研究成果として、既に生物生産、環境保全に関わる、幾つかの極めて興味深い活性を有する微生物の発見がなされている。また、生理活性物質の探索等の領域では効率的な探索系の構築がほぼ完成しており、これからの成果が大いに期待できる。本研究のもう一つの柱である菌株保存事業においては、国際的ネットワークの構築、系統分類に関する学問的業績等の高い成果が得られている。
     第2期移行に当たっては、第1期の研究評価を踏まえ、研究内容の一部を再編成することが必要である。

省際基礎研究

(平成8年度に終了した課題)

  1. 先進ブロンズ法による高機能複相構造材料の創製に関する研究

     本研究は、所期の目標に鑑み極めて優れた研究であり、その成果はたいへん高く評価できる。
     本研究における手法は、マグネットへの応用を意識した細線の製法としては画期的であるが、高強度高導電性Cu合金は、需要の圧倒的に多いバルク材または板材としての開発が待たれていることを考えると、本手法のスケールアップをいかに行うかが今後の課題である。

  2. 光誘導電子移動の解明と制御に関する研究

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果はたいへん高く評価できる。
     本研究では、溶液中の光誘起電子移動速度の電子供与体と電子受容体間の距離による効果を明らかにし、またそれに伴い電子移動に関与する物質および溶媒等により、その反応距離の分布が異なることを示し、また光合成系のモデルとして、電荷分離能のきわめて高い系の構築に成功するなどの顕著な成果が得られている。
     今後は、本研究の成果を活用し、溶液中の電子移動の距離依存性のより広範な一般化、より効率の高い光合成系の構築を進めるとともに、成果をさらに一般的にまた広く発信することを期待する。

  3. 超伝導と高エネルギー粒子の量子相互作用に関する基礎研究

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果はたいへん高く評価できる。
     本研究は理論的基礎がほぼ15年前に提案され地道な実験後、最近、実用のきざしが見えて来たため、世界的に激しい競争となっている分野である。当該グループは、世界の目だった研究グループを考慮してベスト3に入る成果が得られたと言えよう。
     今後は本研究の成果を土台に実用化に向け安定した素子製作技術を先駆けて確立することが望まれるところである。

  4. 環境保全に対応した陸上移動媒体(エコビークル)に関する基礎研究

     本研究は、所期の目標に鑑み研究を実施した意義は認められるが、目標設定が必ずしも適切でなく、その成果はあまり高くは評価できない。
     本研究は、具体的に新しい概念による省エネ、低公害の電気自動車を試作し、今後の大都市交通における一つの代替手段を提示するなど具体的成果を得ている。特に、国立の研究機関で具体的な試作まで進んだ例は極めてまれであって、本制度による研究効果が認められる。
     しかし、社会的要請が予想以上に早まったことを反映して研究対象としては時期が遅すぎた感がある。今後は既に試作された実験車を実際の使用条件において厳密なテストを行ってその性能を評価し、今後の課題を抽出、かつ解決すべき技術の開発を行うことが望ましい。

  5. 慢性疾患を引き起こす持続性ウィルス感染症に果たすウィルス異変の意義解明と特異的なウィルス排除法に関する研究

     本研究は、所期の目標に鑑み極めて優れた研究であり、その成果は極めて高く評価できる。
     本研究は、C型肝炎を中心にして分子生物学的な研究を展開し、その治療用ワクチンの開発に向けての第一歩ともなるべき成果を上げ、加えて我が国におけるE型肝炎の不顕性感染の予想外の広がりを見いだすなど、肝炎対策上重要な成果を上げており、国際的にも高く評価された極めて優れた研究であった。
     今後は、本研究の成果を更に発展させ、まず第一にC型肝炎、E型肝炎などの治療法の確立の方向へと研究を進展させることが重要である。次いでエイズウイルス感染症、クロイツフェルトヤコブ病などの慢性感染症の治療法の確立の方向への研究の展開を大いに期待したい。

  6. レオウィルスの構成分子の構造と機能の解明に関する研究

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果はたいへん高く評価できる。
     本研究は、植物レオウイルスを代表するイネ萎縮ウイルスについてその構造タンパク質の粒子内配置、生化学的機能、生物学的機能の解明に成果が上がっている。
     今後は、本研究の成果を活かし、昆虫と植物の両宿主の感染に必要なタンパク質の機能解析の研究を進展させることが良いと考える。

  7. fMRIを中心とした非侵襲的計測によるヒトの視覚情報処理メカニズムに関する研究

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果は評価できる。
    本研究は、一般の臨床検査に使用されているMRI装置(核磁気共鳴画像装置、静磁場強度1.5テスラ)を用いて、脳機能の動態を血流の変化として捕らえるための機能的MRI(fMRI)として利用可能にする創意工夫を凝らし、実際に正常被験者に応用して、視覚情報の脳における処理機構などの実験成果を示したものである。今回得られた成果は、今後同様の研究を志向する研究施設に有用な助言と示唆を与えると評価できる。

  8. コントラスト散乱法による複合高分子の機能発現過程の解明に関する研究

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果は評価できる。
     本研究では、世界で初めての多角度同時測定が出来る偏光特性の解析が可能な光散乱装置、生体試料の中性子散乱測定のための恒温装置、X線散乱用の温度ジャンプ装置等の製作に成功している。さらに、それらを用いた測定も種々の系で開始されており、すでに有意義な結果が得られている。
     本研究の成果に基づいた今後の展開としては、まず、異方性光散乱装置の検出器の変更により周波数領域での動的情報を得るよう改良することが考えられる。また、温度ジャンプ装置の不感時間(deadtime)をさらに短くすることも重要である。そして、当然のことながら、これら諸装置を駆使した研究の展開が望まれる。

生活・地域流動研究

(平成8年度に終了した課題)

  1. バーチャル・リアリティー利用による地域産業の高度化に関する研究

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果は評価できる。
     本研究では、VRの基礎技術、応用技術の発展に貢献するのみならず、地域産業の発展に大きく貢献する意義がある。全体を通して、概ね計画は順調に遂行され目標が達成できているように見受けられる。内容は、独創性よりも地域産業への貢献という意味合いが強く感じられ、大きな成果もあがっているところが評価できる。
     今後は、本研究成果を活かし、具体的なシステム酔いの解決法を探るとともに、医療分野等の社会的に意義の大きい分野への応用を期待する。

  2. 環境適応型自律作業知能視覚ロボットに関する基礎研究

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果は高く評価できる。
     本研究は、熊本県の特産品のスイカを、収穫するシステムを自動機械を用いて実現するための基礎研究を行ったもので、地域の特色を生かした研究を行っている。
     全体としては所期の目的を達成し、本研究の成果は高く評価されるものと考える。農家の動力の供給に太陽電池を利用するためにここで開発されたインバータの使用が期待される。ロボットに関する研究は、ここでの成果に、最新の研究成果を取り入れ、双腕ロボットの実用化が期待される。

  3. スギを中心とした木材の品質改良・高度化に関する研究

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果は評価できる。
     研究期間3年で、地域の木材の生産から加工・利用まで、現時点で想定できる技術的課題の大半について研究を行った例は全国的にも少なく、全体としては大きな成果が上がったものと判断される。
     今後は、ベイマツ材との比較研究や派生研究からもう一歩踏み込んだ理論考察を深めると共に、例えば接合にあっては、断面欠損の少ない接合方法及びその金具開発など、スギ材の特性を生かす方向に研究を進展させることが必要であると考える。そのことが、スギ材活用のための技術開発や新たな用途開発につながるものと考える。

  4. 次世代型医用画像管理・診断ネットワークシステムの開発と地域医療への応用に関する研究

     本研究は、所期の目標に鑑み優れた研究であり、その成果は評価できる。これまで、個々には存在していた技術を統合して「次世代型医用画像管理・診断ネットワークシステム」という名称の下に一つのシステムを開発し、これが地域医療の向上に役に立つことを実証しようとした研究である。
     全体としての評価は、個々の要素開発の成果は優れたものがあるが、最初に目指した「統合化」し、それを「地域医療への応用を図る」という点では、目標を十分に達し得なかった感がある。しかし、医療の世界では、「実地に応用する」ことには、技術以外の多くの困難があるから、短期間の研究期間内にこのシステムが実地ですぐ用いられなかったとしても、やむを得ないであろう。次世代型のシステムのイメージを提示する点では成果があり、また、その技術的フィージビリティも一応は示されたと考えられる。

  5. 心臓血管(循環器)系の医用工学的計測制御に関する基礎研究

     本研究は、所期の目標に鑑み極めて優れた研究であり、その成果は極めて高く評価できる。特に1)のア、2)のイ、3)のア等における成果は、国際的にも高く評価される優れた医学・生物学的内容を含むものと考えられる。ただ欲を言えば、各研究計画の実施に、もう少し横の連携があれば、より効果的な研究成果があげられたと予想される点もある。参加機関のそれぞれの立場も分かるが、国立試験研究機関に関しては、協調性をもって臨むべきであったし、参加企業も、研究を支援する姿勢が必要であろう。同一地域内での学術レベルと、地域産業レベルの違いをどのように克服し、全体をコーディネイトするかが事業そのものの課題としてあげられる。



COE中核的研究拠点(COE)育成中間評価報告書における評価結果の概要


  1. 中間評価の実施状況

     中核的研究拠点(COE)対象機関の評価に当たっては、対象研究機関に設置された、外国人を含む第3者の学識経験者による機関評価委員会による評価を実施し、その上で、科学技術会議政策委員会中核的研究拠点(COE)育成委員会において、機関評価委員会からは評価結果について、各機関からはCOE化の取り組み及び研究成果について、各機関所管省庁からは機関に対する支援措置についてヒアリングを行い、評価を行った。評価結果の概要は以下のとおりである。

  2. 評価結果の概要

    (1)科学技術庁金属材料技術研究所

     金属材料技術研究所においては、COEを目指し意欲的な取り組みが行われており、非常に高く評価される。したがって、4年目以降も科学技術振興調整費による支援を行うことが妥当と認められる。なお、本研究所が真にCOEとなるよう、機関評価委員会の指摘を踏まえ、今後とも精力的な取り組みを行うことが必要である。
     その際、次の事項に特に留意することが必要である。
    ア サブグループ間の協力を推進すること
    イ 支援技術者を十分配置すること
    ウ 材料関係のインパクトファクターの高い雑誌へ投稿すること

    (2)厚生省国立精神・神経センター神経研究所

     国立精神・神経センター神経研究所においては、COEを目指し意欲的な取り組みが行われており極めて高く評価される。したがって、4年目以降も科学技術振興調整費による支援を行うことが妥当と認められる。
     なお、本研究所が真にCOEとなるよう、機関評価委員会の指摘を踏まえ、今後とも精力的な取り組みを行うことが必要である。
     その際、次の事項に特に留意することが必要である。
    ア筋バンク等の研究基盤について、所管省庁の支援を含めて、さらに充実強化すること



研究情報整備・省際ネットワーク推進中間評価報告書における評価結果の概要


  1. 省際ネットワークを利用した医療研究支援アプリケーションの調査研究

    (1)評価結果の概要

     本研究では、研究者、医療関係者間の情報交流を支援するアプリケーション、医療分野にとって特徴的な情報を対象とする医療研究を支援するいくつかのアプリケーション、及びそれらアプリケーションに共通的に利用されるネットワーク/ソフトウエア技術の調査研究を実施することにより、医療研究支援に必要な総合的なアプリケーションに関する技術・知識、ソフトウェア等の蓄積を図ることを目的としている。
     第1期の研究担当機関における多様な内容の研究と、研究のインフラストラクチャーとしてのIMnetの利用により、医療研究を支援する応用技術について幅広い技術を蓄積することができたことから、優れた研究であったと言える。

    (2)2期移行に当たっての考えかた

     最近のインターネットの爆発的な普及は、ネットワークを利用した応用技術の研究にも拍車をかけている。当課題が開始されたころは、世間ではインターネット環境の整備が重要視されており、ネットワークを利用した医療支援アプリケーションについての研究は先進的であった。その後3年が経過した現在においては、インターネットを用いたテレビカンファレンスシステムや、静止画像の伝送システム等は既に製品として世間に発表されてきている。それらの技術を高度に統合し応用したアプリケーションに関する研究については、これからの研究に期待するところが大きいが、各々の要素技術については、急速な市場の拡大に伴って産業界による開発努力が益々増すものと考えられる。
     したがって第2期における研究方針としては、第1期で得られた技術を高度に統合・応用したアプリケーションの研究とそれを通してシステム技術の高度化を図りつつも、むしろネットワークを利用した医療研究支援アプリケーションの高度化に資する研究に特化ないしは重点を置くことが望ましい。また対象となるアプリケーションは、民間だけでは実施困難であり、かつ学術的にも研究対象として意味のある分野であることが望ましい。幸い今回の研究において、立体視、触感を伴う仮想現実技術の医用分野における応用の可能性が示されており、この分野は上記の方針を満たすと思われ、ネットワークを利用した今後の医療研究支援アプリケーションにおける新分野の先駆け的研究であると言える。
     以上整理してみると、本研究のインフラの整備やテレビ会議のネットワークに関する研究成果を踏まえて、医療データの蓄積とその利用に関する研究が今後残された課題と考えられる。特に第2期移行に当たっては、医療データの中で必要とされる臓器データを標示する上で必要な3次元形状データやその弾性データの提示に関する研究は世界でも例をみない斬新な研究として必要であると考えられる。上記のことから、第2期移行にあたっては、第1期の研究成果を踏まえ、研究内容の一部を再編成することが必要である。


 

-- 登録:平成21年以前 --