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1.先進医工学研究拠点形成(東北大学)

(事後評価)

(実施期間:平成15~19年度)

機関名:東北大学(組織運営統括責任者:玉井 信)

組織運営計画の概要

 本構想では、最先端のナノ・材料・情報通信の先進科学技術と医学系の生命・健康科学との融合により新たな医工学を創成し、医療の質の向上と先進医療の開発に寄与して、21世紀の日本を少子高齢化に耐えうる「生命の活力に溢れた社会」とし、かつ世界に貢献する研究拠点を形成する。この為に既存の組織を改革し、医歯薬系研究科・研究所と工学・情報系研究科・研究所の学内連携による先進医工学研究機構(Tohoku University Biomedical Engineering Research Organization (TUBERO))を立ち上げる。本機構はトップダウンかつ機動的に研究プロジェクトを展開させる権限を有し、学内外からの公募により最も活力の高い研究者を任期制で採用し、研究課題別に研究者によるタスクチームを編成する。トップダウンおよびボトムアップの双方向性戦略構想に基づいて設定される研究課題が、医学、工学に限定されない関連分野の知識と技術を機動的に連結できるよう、フラットな組織形態を実現する。公募・任期制メンバーによるタスクチームは、本振興調整費の支援により次世代の医工学を目指した戦略的研究を展開する。研究組織全体としては、国際的かつ歴史的に研究の方向と課題を設定できる機構ボードと日常的管理組織を分離し、技術シーズ移転に係る産学官連携を総合的に支援する等、真に研究を担うべき若手研究者から管理業務の負担をなくす。

(1)総合評価(所期の計画以上の取組である)

 境界領域における研究、特に基礎研究の成果を臨床に用いることを目指す橋渡し研究において、組織改革を進めるには通常多くの困難が生じるが、本プロジェクトではこの課題に対し、医工連携を基軸に正面から取組み、成果を上げている。患者、研究者、医療従事者の新たな関わり方を模索し、また医工両分野等の異なる分野の研究者が協働する体制を築いたことは高く評価できる。また、総長のリーダーシップのもと全学的に組織改革に取組み、大学院医工学研究科、未来医工学治療開発センター(The Innovation of New Biomedical Engineering Center (TR Center))を発足させたことは、実施期間終了後の継続性を担保する成果といえる。
 なお、今後は国際的研究拠点形成のための施策も取り入れることが期待される。また、当初の数値的研究目標の達成度については未達事項がある。しかし、組織改革における高い評価はこれらを補って余りあり、臨床を目指す実学的医工学を今後さらに発展・推進することにより、医学と工学を隔てる壁は低減され、国内外の、産業界を含めた医療を中心とする関連分野に多大な波及効果をもたらすことが期待される。今後もこの取組を継続することが強く望まれる。
 以上により、所期の計画以上の取組みであると評価できる。

<総合評価:A>

(2)個別評価

1.ミッションステートメントに対する達成度

目標1) 8~12程度の研究成果が医療現場で試験的に応用されている。
目標2) 2~3程度の研究成果が高度先進医療などの実践医療として応用されている。
目標3) 3~5程度の研究成果の技術移転が実現している。
目標4) 2~3程度の研究チームが研究成果からの知財を利用して、自立型研究チームとして活動する。
目標5) 医工学を学問分野として確立し、世界的な拠点となっている。
目標6) 医工学センターを設置し、研究及び医療の中心とする。
目標7) 医工学研究科を設置し、研究及び人材育成を行う。

 これらの目標について、目標1)については7タスクチームの成果が探索的臨床試験に供されている。目標2)については5タスクチームが評価結果に基づき研究を終了したとのことだが、必ずしも内容的には達成しているとはいえない。目標3)については、5タスクチームが共同研究の一部として企業と協力関係を築き、2タスクチームは大学発ベンチャーとして認められている。目標4)については、4名のタスクチームリーダーが医工学研究科に、3名のタスクチームリーダーが国際高等研究機構に移った。先進医工学研究機構の8つの研究テーマは、未来医工学治療開発センターに引き継がれた。目標5)については、医工学の研究成果について活発な広報・意見交換活動を行い、医工学の学問分野としての確立に貢献した。目標6)については、未来医工学治療開発センターが2008年2月に発足し、先進医工学研究機構で発展した8タスクも引き継がれた。目標7)については、5基幹講座(23分野), 5協力講座(8分野)から構成される大学院医工学研究科が2008年4月1日に発足した。
 特に目標1)~4)の臨床研究等に関する数値目標については、元来難度が高く、さらなる取組が必要であり、目標5)についても世界的な拠点として十分に海外から認知されているか不明確な点が残る。しかしながら、総合的には要求される水準を概ね達成していると言え、特に目標6)および7)の組織改革に関する目標について、大学院医工学研究科、未来医工学治療開発センターを発足させたことは医工学研究の推進において長期的に見ても意義深い成果である。今後は研究シーズを臨床研究・医療現場へ到達させるべくさらなる努力が期待される。
 以上により、全体として所期の計画は概ね達成していると評価できる。

2.組織改革の妥当性

 医工連携という課題をとりまく種々の困難な状況にあって、既存組織の改革に取組み、境界領域において新たに大学院医工学研究科、未来医工学治療開発センターを発足させたことは、極めて重要な成果であり高く評価できる。また、2機関発足にあたって総長のリーダーシップのもと、全学を挙げて取組んだことも、中間評価の指摘を真摯に受けとめた結果として評価できる。今後、先進医工学研究機構が目指した臨床応用を目指す実学的医工学研究をさらに推進し、優れた研究者を輩出するために、運営方法の検証・組織改革を継続させることが期待される。
 以上により、組織改革は優れた成果を上げたと評価できる。

3.運営改革の妥当性

 患者、研究者、医療従事者を対等な関係と位置づけ、医工連携に取り組む体制は、画期的で重要であり評価できる。また、限られた期間内に最大の効果をもたらすために組織運営を単純化し、プロジェクトファイルによる管理方法を取り入れたことにより、プログラム実施期間中の組織運営は概ね十分なレベルに達したと判断される。特に、中間評価以降、総長のリーダーシップによるトップダウン体制に顕著な改善が見られる。今後は、改革に向けてさらなる機動的な対応と抜本的な改革の試みが期待される。
 以上により、運営改革は概ね適切であったと評価できる。

4.実施期間終了後における継続性の見通し

 先進医工学研究機構の受け皿となる2機関を新規に発足させた。機構の成果を基に発足させた2機関の内、日本の国立大学法人で初めての独立した研究科である大学院医工学研究科では、先進医工学研究機構からの採用者も含み、もう一方の未来医工学治療開発センターでは、10タスク、15課題のうち8タスク、13課題が先進医工学研究機構の研究者から構成されており、今後の展開が大いに期待できる。今後は、医工学を中心とした各方面の連携を強化し、十分な研究資金を確保するとともに、医工臨床研究の業績評価システムに関する学内外の合意形成に十分な検討を加え、先進医工学研究機構の研究方針をさらに発展させ、臨床研究、さらには医療現場に展開することが望まれる。また、工学分野の学生を多く集めるとともに、プロジェクトの成果を広く社会に普及させ医工学研究の認知度を上げることで、学生の雇用の安定につなげることが期待される。
 以上により、取組の継続性は十分に期待されると評価できる。

5.中間評価の反映

 中間評価においては、医工連携という課題の重要性から本プロジェクトの成果が期待される中、総長を始めとした全学の支援体制および組織・制度改革の展望が不明確であることにより、実施期間終了後の継続性が懸念された。その後、中間評価の結果を真摯に受け止め、総長の強いリーダーシップのもとに、全学的に体制・運営方法を見直し大幅に改善した様子が伺え、大学院医工学研究科、未来医工学治療開発センターの発足を実現したことにより、全てのミッションステートメントを完全に達成したわけではないが、継続性についての懸念は払拭されたと言える。
 以上により、中間評価結果は十分反映されたと評価できる。

(3)評価結果

総合評価ミッションステートメントに
対する達成度
組織改革の
妥当性
運営改革の
妥当性
実施期間終了後に
おける継続性の見通し
中間評価の反映
Ababaa

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

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