6.知財創出人材の実践的養成

(事後評価)

(実施期間:平成15~19年度)

実施機関:東北大学(代表者:中島 一郎)

課題の概要

 知的財産の創造から活用までの活動を活性化する視点から、日本では「知的財産関連専門人材の養成」が急務となっている。このようなニーズの認識に基づき、大学院工学研究科技術社会システム専攻(MOST)が母体となって設置された本人材養成ユニットは、東北大学の強みである実用化指向の研究現場と市場との近接性をフルに活用し、知的財産の創造を、その活用までも視野に入れた上で実践していく「知的創出人材の実践的養成」を目標とするものであり、次の3コースにより構成される。

1.実践的学術コース(博士課程)

 研究開発マネジメント、知的財産法、技術戦略、経営戦略等の知的財産の保護・活用に関して世界的に通用する実践型博士を養成する。

2.学際複合コース(修士課程・ダブルメジャー)

 研究開発、製品開発の場での知的財産の保護・活用に関する高度な専門知識とその実践的応用力を身につけた人材を養成する。

3.エクステンション・コース

 企業の生産現場、研究開発現場に従事する者で知的財産の保護・活用に関する実践的応用能力を身につけた人材を養成する。

(1)総合評価(所期の計画と同等の取組が行われている)

 知財を創出できる人材の養成は、非常に重要かつ政策的に急務である分野に対するチャレンジングな取組である。「工学系の学生に知財に関する知識を、持つべき教養として備えさせ、知財をにらんで開発ができる人材を養成する」という観点から、養成人材像を明確にしてプログラムを推進しており評価できる。しかし、本プログラムの特色と思われる実践的応用能力を身につけた人材の養成を目的とする学際複合コースは、養成目標人数を大幅に下回っており、ダブルメジャー制度も含めた本プログラムにおける人材養成手法が必ずしも妥当であったとは言えない。今後はダブルメジャー制度の再整備も含め、継続・発展に向けて更なる改善が望まれる。

<総合評価:B>

(2)個別評価

1.目標達成度

 実践的学術コースとエクステンションコースにおいて養成目標人数を大幅に上回っており、全体としては養成目標人数を達成している点は評価できる。しかし、本プログラムにおいて最も重点的に養成すべき学際複合コースの修了者が、養成目標人数を大幅に下回っている点が惜しまれる。

2.人材養成手法の妥当性

 ダブルメジャー制度に代表される、工学系の学生に対し知財教育を行う学際複合コースは、本プログラムの最大の特長であると思われるが、その学際複合コースで養成目標人数を大幅に下回っているため、必ずしも養成手法が妥当であったとは言えず、改善の余地が残されていると思われる。また、PBLについても、知財創出には研究・開発段階から携わることが重要であるという観点では一定の評価はできるものの、費用対効果や実施内容が不明瞭であり、やはり今後の改善が必要とされる。

3.人材養成の有効性

 被養成者及び養成者による論文等の情報発信を多く行い、さらに被養成者の成果物が国家資格(知的財産管理技能検定)に発展している点で、人材養成の有効性に対して一定の評価を与えることができる。しかし、知財“創出"人材の実践的養成であることを考えると、被養成者が獲得したスキルの有効性について、“知財創出"という観点からの評価も必要であったと思われる。

4.実施計画・実施体制及び継続性・発展性の見通し

 学際複合コース内に設けられているダブルメジャー制度について、今後の見通しが不透明であることや、またPBLに関する費用について組織としてのバックアップ体制が取れていないなど、継続・発展に向けて、今後改善する余地がある。しかし、学内に知的財産・産業政策分野を創設し、教員ポストを確保するなど、学内の協力体制を得ていることは評価できる。

5.中間評価の反映

 中間評価時における指摘事項については、シンポジウムの開催等の情報発信も行われており概ね反映されている。しかし、学際複合コースについては、未だにダブルメジャー制度が整備不十分であることもあり、更なる改善が望まれる。  

(3)評価結果

総合評価目標達成度人材養成手法の
妥当性
人材養成の
有効性
実施計画・
実施体制及び継続性・
発展性の見通し
中間評価の反映
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お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

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