2.近江環人地域再生学座

(中間評価)

(実施期間:平成18~22年度)

実施機関:滋賀県立大学(代表者:曽我 直弘)
連携自治体:滋賀県

課題の概要

 湖国近江の風土、歴史、文化を継承し、自然と共生した美しい居住環境、循環型地域社会を形成するために、地域診断からまちづくり(コミュニティ活性化、環境改善、市街地再生等)への展開を総合的にオーガナイズできる人材「近江環人=コミュニティ・アーキテクト」を育成することを目指している。行政、企業、NPOなどの立場で地域再生のリーダーとなる人材として活用し、地域のニーズに応えることを目的としている。大学院研究科一般及び社会人枠並びに科目等履修生制度を活用し、学生、行政担当者、民間企業従事者、NPO構成員等を対象とした人材養成を行う。そのための非常勤講師等を積極的に招聘するとともに、実習等カリキュラムとして、行政や企業が取り組むプロジェクトを教材化する「Problem Based Learning」の手法を導入し、理論と実践を統合する高いレベルのスキルを修得させることを目指している。

(1)総合評価(所期の計画と同等の取組が行われている)

 本課題の様なフレームワークで実施されてきた取組はこれまでに無くユニークなものであり、意義のある人材養成と評価される。養成人数を含め、当初の目標は達成しており順調に進捗している。カリキュラムも良く考えられたものになっており、大学を核とする諸連携も有効に機能している。これらを踏まえて総合的に、所期の計画と同等の取組が行われていると評価できる。ただし、新しい取組であるがゆえに、「コミュニティ・アーキテクト」はこうあるべきという定義について、偏ったものになってしまわないよう留意しながら慎重に取り組んでいく必要がある。

<総合評価:B>

(2)今後の進め方(計画を継続又は一部見直しが必要である)

 ユニークな新しい取組であるので今後のさらなる発展が期待されるが、「コミュニティ・アーキテクト」は新たな概念であるため、偏ったものになってしまわないよう、また称号を取ること自体が目的化してしまわないよう、地域や他者からの客観的な評価などを聞きながら地域再生という観点を踏まえて進めていく必要がある。また、人材養成が地域再生の即戦力であるとは限らないので、近江という地域の固有性をより明確化しつつ、地域における再生に将来的に繋がっていくような拠点形成、実施体制のあり方について工夫、検討を続けていただきたい。個々人のネットワークや大学とのパイプといったこれまでの実績に加えて、地域再生に繋げていくための自治体、地域団体、企業などと連携した展開の仕かけが望まれる。

<今後の進め方:B>

(3)個別評価

1.進捗状況

 養成人数は当初の目標を達成しており、また、目指す人材像がこれまでにない新しいものであることから質的な目標の実現は容易ではないと思われるものの、地域と連携しながら大学を核として組織的に成果を上げている。修了生が地域で具体的な活動を行っていることからも、概ね所期の計画通りに進捗しているものと評価できる。

2.拠点形成手法の妥当性

 核となる教員がシラバス改訂に努力を払っており、カリキュラムは良く考えられたものになっている。新しい取組ではあるが、独自の検定試験を実施し修了生の能力を測っている点も評価され、拠点形成手法は妥当であると判断できる。今後は、「コミュニティ・アーキテクト」の概念の明確化、単なる建築・まちづくり系のカリキュラムとの差異を明確にしたアーキテクトに相応しい内容の充実が望まれる。また、カリキュラムの中で、近江という地域の固有性がより明確になるよう留意が必要である。

3.拠点形成の有効性

 既に修了生が実際の現場で活躍しており、地元への定着率も含め拠点形成の有効性は概ね妥当であると判断できる。ただし、この人材養成が即戦力となり地域再生に直結するとは限らないので、ユニークな取組を活かして地域における再生に将来的に繋がっていくような拠点形成のあり方について検討を続けていただきたい。

4.実施体制の妥当性

 大学を核とする諸連携がなされており、当初目標どおり進捗していることから実施体制は妥当であると判断される。今後は、フォローアップ体制を強化し、修了者個々人の能力を高めるための体制作り、地域再生という視点での取組体制強化が望まれる。なお、本課題の実施機関は県立大学であり、連携自治体も県であることから、大学として付与している「コミュニティ・アーキテクト」の称号について、県が公的に取り扱うものであると外部から誤解などが生じないよう注意が必要である。

5.継続性・発展性の見通し

 既に継続についての具体的な検討が行われており、継続性・発展性は期待できる。取組の効果を地域社会に波及させ得る環人会の発展に期待したい。持続可能な地域づくりを構想し且つ実行し得るアーキテクトの養成のためのカリキュラムとして、より向上していくことが望まれる。また、地域再生の「場」の機能をさらに高めるために、「場」を個人の人的ネットワークだけではなく、支援して行くための仕組みと捉えていくことが必要である。

(4)評価結果

総合評価今後の進め方進捗状況拠点形成手法の
妥当性
拠点形成の
有効性
実施体制の
妥当性
継続性・
発展性の見通し
BBbbbbb

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

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