2.道具使用の脳内表現

(事後評価)

(実施期間:平成15~19年度)

任期付研究員:山本 慎也(所属機関:独立行政法人 産業技術総合研究所)

(1)総評(所期の計画と同等の取組が行われている)

 これまで開発してきた時間順序判断の実験系をサルに適用し、行動実験・不活化実験・微小電気刺激実験・電気生理実験を行い、道具の先端に触知覚が移動する現象の脳内メカニズムの解明を目指した。さらにこの実験系をヒトに用い、道具使用時の触知覚が道具の先端に移動させるための様々な条件を調べることによって、触知覚の移動の脳内メカニズムを解明することを目指した。
 目標達成度については、ヒトでの心理実験では学術的に優れた成果が得られ、成果の論文発表も行われたが、サルでの動物実験では再現性を含めて所期の目標を達成できなかった。また触知覚の研究成果としては評価できる反面、所期の目標であった道具使用の脳内メカニズムの解明にまで言及できなかったので、総じて所期の目標をやや下回っていると評価される。
 研究成果については、ヒトを対象とした心理学的研究においては所期の計画以上の優れた成果が得られているが、サルを用いた神経科学的研究においては電気刺激実験、PET、ニューロン活動記録の成果がいずれも学会発表レベルもしくは予備的結果に留まり、所期の目標を達成できなかった。中間評価以降の研究成果等が十分でなく、所期の計画以下の研究成果と評価される。
 研究計画については、中間評価での指示通りに研究を遂行したが、研究計画に具体的なアイデアがなく、今後どのように研究を進めていくか、研究計画のグランドデザインが不明確であったと評価される。
 中間評価の反映については、中間評価の指摘を受けて、サルでの動物実験に注力し、PETによる測定を行ったことから、概ね反映されていると評価される。
 以上より、ヒトでの心理学的研究では学術的にすぐれた成果が得られ、成果の論文発表も行われたが、中間評価後に実施したサルでの神経科学的研究では質的レベルが下がり、所期の目標を達成できなかったことから、総じて所期の計画と同等の取組が行われたと評価される。

<総合評価:B>

(2)評価結果

総合評価目標達成度研究成果研究計画中間評価の反映
Bcbcb

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科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

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