1.平成19年(2007年)新潟県中越沖地震に関する緊急調査研究

(事後評価)

(実施期間:平成19年8月~平成20年3月)

代表機関:独立行政法人 産業技術総合研究所(代表者:杉山 雄一)
参画機関:
独立行政法人 海洋研究開発機構、東京大学、独立行政法人 防災科学技術研究所、北海道大学

課題の概要

 平成19年新潟県中越沖地震は、その約4ヶ月前に発生した能登半島地震と同様、調査観測データが殆ど蓄積されていない海陸境界域で発生した。また、両地震と平成16年新潟県中越地震は、日本海東縁の「ひずみ集中帯」と呼ばれる、活構造が顕著に発達する地域で発生した。海陸境界域やひずみ集中帯における地震防災・減災対策を効果的に推進するためには、これら地域の活構造と地下構造に関する高精度のデータを収集し、実際に地震波を放出する地下深部の震源断層の位置・規模等を適切に想定する必要がある。
 このため本緊急研究では、新潟県中越沖地震の震源域周辺で海底活構造調査、深部構造調査、津波の波源調査を行い、地震を引き起こした震源断層の実像を明らかにすることを目的とした。また、ひずみ集中帯に分布する活断層の評価手法を確立し、ひずみ集中帯で発生する地震の長期評価と強震動予測の高度化に資することを目指した。

(1)総合評価(所期の計画以上の取組が行われている)

 短期間(8ヶ月)の調査研究ではあったが、稠密な調査を実施し、種々の調査結果を総合化することにより、震源域周辺の活構造および地下構造、震源像の解明等を実施し、当初の目標を達成している。さらに、津波観測データも適切に収集し、各検潮データの補正を適切に行うことにより、津波波源推定法の妥当性を検証したことは高く評価できる。

<総合評価:A>

(2)個別評価

1.目標達成度

 震源域周辺での高分解能マルチチャンネル音波探査によって震源域のみならず余震域も確定し、津波観測データを適切に収集してインバージョン手法による津波波源推定法の妥当性を実証できたことから、目標を着実に達成したと評価される。

2.研究成果

 短期間で広範囲の海域反射法地震探査、稠密地震探査アレイによる地震探査を完了し、海域、陸域にわたる地下構造、地震波・速度構造等を調査・解析することにより、活背斜、南東傾斜逆断層の存在を明らかにし、ひずみ集中帯で発生する断層による地震の規模の予測、長期評価に貢献する成果を得ている。また、地表地盤の安定性評価などの効率化に資する震源モデルの構築手法も明確に示されており、今後の全国の危険地帯に於ける調査への貢献も期待できる。

3.研究計画・実施体制

 既往情報の分析、海底の調査、陸域の調査、速度構造の分析等、具体的かつ周到な計画のもとで、個々の課題について確実に調査・解析が実施されている。また、多数の専門家の協力を得て、短期間に効率的な調査を行うために必要な、強力な実施体制が構築されていることから、研究計画・実施体制は妥当であったと評価できる。

(3)評価結果

総合評価目標達成度研究成果研究計画・
実施体制
Abbb

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

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