6.生命科学データベース統合に関する調査研究

(事後評価)

(実施期間:平成17~19年度)

代表機関:情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所(代表者:大久保 公策)
参画機関:国立がんセンター、独立行政法人農業生物資源研究所、独立行政法人産業技術総合研究所、東京大学

課題の概要

 国内外の主要な生命科学データベース(DB)について内容等の調査を行い、データ及び機能の両面から分類整理した上で有効かつ可能なDB統合を検討し、また、技術的並びに制度的問題点を検討するため、少数のDB統合による実現性の検証を行う。そして、我が国の主要生命科学DBを中心にこれらフィージビリティースタディを通じ、「生命科学統合化DB」に関する実現性検証結果の提示及び制度設計やロードマップ作成に資する試案作成を目的とした。

(1)総合評価(所期の計画と同等の取組が行われている)

 本課題は、科学技術連携施策群の課題で、これまでに例のない各省連携の取組であって、その中の補完的課題として研究代表者が関係府省の同意をとった上での、納得のいく形での報告とならなかったことは残念である。しかし、その中で研究代表者が掌握し、遂行しうる範囲の調査研究に関しては、十分に行われており、問題点が明確となったことは評価できる。
 統合データベースの構築は、国の施策として極めて重要であるため、研究代表者の今後の調査に機動性を持たせるとともに、今回の調査が各省庁の今後の施策に大いに生かされることを期待する。特に、総合科学技術会議でのフォローを強く期待する。

<総合評価:B>

(2)個別評価

1.目標達成度

 研究代表者が掌握できる範疇の調査研究である「技術的調査」、「データベースの調査」に関しては、従来実施されていなかった国内データベースの包括的調査や、既存データベース統合に関する技術的側面の調査が行われ、総じて初期の目標以上に達しているものと評価できる。
 ミッションステートメントのうち、制度設計に関する試案の提示に関して私案でとどまったこと、並びにロードマップに資する試案が明確には提示されなかったことは、研究代表者のコントロールを超えた政策レベルの案件であった影響が大きい。何れも現在の状況を鑑みると時期尚早であったと考えられる。

2.情報発信

 この調査研究で得られた成果は、特許取得や原著論文を著す性質のものではなく、政策提言とも言えるものである。そのため一般国民や研究者に対して成果が見えにくい中で、シンポジウムを開催するなど多様な観点からのアウトリーチ活動を行ったことは評価できる。

3.研究計画・実施体制

 一研究者が、関係省庁の同意を取りながら、制度設計やロードマップ作成に資する試案を作成するのは極めて困難と言える。本課題は、そのような試みとしては初めてのケースであるが、結果として時期尚早であったと考えられる。そのため、それに向けた実施体制を組むべきであったことを強く指摘する。
 当初の実施体制は、研究代表者を含めデータベースの専門家集団であり、今まで実施されていなかった国内データベースの包括的調査や、既存データベース統合に関する技術的側面の調査が行われたことは評価できる。しかし、制度的問題点を検討することの必要性が明らかになった以降もその側面を俯瞰的に調査する体制が欠けていたため、制度面の調査が遅れた原因となった。以上により、やや不適切な研究計画と実施体制であった。

4.実施期間終了後における取り組みの継続性・発展性

 統合データベースに関わる課題は、これまで客観的な調査がなかったが、本調査研究の結果、技術面の問題よりもむしろ制度面の問題の大きさが客観的に提示された。本調査活動の成果を活かすべく、明らかとなった課題に対する高いレベルでの取組の継続を真に期待する。

(3)評価結果

総合評価目標達成度情報発信研究計画・
実施体制
実施期間終了時に
おける取り組みの
継続性・発展性
Bbbcb

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

-- 登録:平成21年以前 --