4.需要家用水素ガス計量システムの研究開発

(事後評価)

(実施期間:平成17~19年度)

代表機関:九州大学(代表者:古川 雅人)
参画機関:愛知時計電機株式会社

課題の概要

 社会における水素エネルギーの広範な利用に備えて、配管等で純水素を個別に需要家に供給する上で不可欠な利便性・安全性・経済性を兼ね備えた水素ガスの計量システムを開発する。具体的には、水素ガス特有の性質を考慮して、それらを測定原理や構成材料に対して織り込むための基礎研究を行い、併せて工業的に適用可能な水素ガス計量器を試作して、諸性能の確認を行うとともに、その安全な運用方法を検討する。さらにこれらの成果をもとにして、認証や規制対応を検討する。

<総合評価:B>

(1)総合評価(所期の計画と同等の取組が行われている)

 低圧・小流量の水素ガスを対象とする流量計に超音波式を採用し、シミュレーション及び代用ガスを用いた実験で解析することにより、流路形状設計法の確立及び流量計の試作が成されている。本技術は水素利用社会を支える重要技術の一つであり、今後の実使用環境での実証プロジェクトへの展開に向けた第一歩を踏み出したと判断される。今後はコストダウン及び信頼性の向上に努めることが望まれる。

(2)個別評価

1.目標達成度

見積販売価格が当初設定した目標価格より上回っているものの、性能は所期の目標を満足しており、総じて目標は達成されたと判断される。特に、流路形状設計において、シミュレーション及び代用ガスを用いた実験で最適化する本手法は、水素流量計の更なる高精度化に対しても有効であると認められる。ただし、目標設定及び採用した手法の妥当性検証、並びに安全性の検討については、なお改善の余地があったものと判断される。

2.情報発信

 特許出願は行われているものの、すべて参画した民間企業からの出願であり、デバイス構造に関する大学からの出願がない。また、学会発表は行われているが、現状では論文発表が不十分であると判断される。今後は特許出願及び論文発表に努めることが望まれる。

3.研究計画・実施体制

 参加機関がそれぞれの強みを活かした、サブテーマの目標及び計画が設定されており、また研究成果を有機的に組み合わせることでシステムの提示ができており、産学官共同研究の意義が大いに認められる。ただし、材料検討に関し、これまでの様々な研究成果の蓄積を活用する点においてなお改善の余地があったものと考えられる。また、他の原理に基づく、より安価で信頼性の期待できるシステムの可能性の検討があっても良かったものと判断される。

4.実施期間終了後における取り組みの継続性・発展性

 流量計の試作も行われ、今後の継続性・発展性の確保が期待できる。水素利用社会実現を支える技術として重要であるため、参画企業において引き続き信頼性の向上及びコストダウンに取り組むことにより、本研究で構築されたシステムを実用化レベルまで高めることが大いに望まれる。また、認証や規制対応のための取組に努めることが望まれる。

(3)評価結果

総合評価目標達成度情報発信研究計画・
実施体制
実施期間終了時に
おける取り組みの
継続性・発展性
Bbcbb

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

-- 登録:平成21年以前 --