2.ロボットタウンの実証的研究

(事後評価)

(実施期間:平成17~19年度)

代表機関:九州大学(代表者:長谷川 勉)
参画機関:
財団法人九州システム情報技術研究所、株式会社安川電機、九州日本電気ソフトウェア株式会社

課題の概要

 ロボットが人間と共生して種々の作業を行なうことを可能にするためには、ロボット自身が人間や動作環境を認識し、行動を決定できなければならない。しかし、ロボット単体の高機能化を目指すだけでは、様々な環境に適応することが困難であることが次第に明らかになってきた。この問題を解決するためには、ロボットが環境に埋め込まれたセンサ等からの情報を活用し、動作できるような新しいフレームワークを構築しなければならない。同時にこの技術を社会全体で共有し、インフラとしての整備を図る必要がある。すなわち、(a)環境側にプログラムや情報、知識を埋め込んだ環境情報構造化プラットフォーム技術の確立、(b)人間・ロボット共生社会のインフラ基盤整備と開発技術のオープン化・共有化が必要である。そのため、(1)ロボットの活動を支援するための環境センシング技術及び(2) 環境情報とロボット間の情報流通制御を管理するタウンマネジメントシステムに関する研究開発を行う。

(1)総合評価(所期の計画と同等の取組が行われている)

 全体としては、計画どおりであり、想定されたミッションは達成されている。本研究は、環境側にロボット作業に必要な情報を分散させる環境構造化技術の先駆的検証研究として評価される。さらに、ロボット研究者・開発者が様々なロボットサービスを開発するためのテスト環境として、環境プラットフォームを構築し、公開したことは高く評価される。さらなる発展のために、定量的分析(システム開発のコストパフォーマンス、システムの信頼性確保と例外への対応、摘要領域の限界とハードウェア依存部分の一般化等)が期待される。また、TRONハウス他の関連する研究との情報共有を進め、環境がロボットに提供するサービスに関する標準化活動への積極的な参加を期待したい。現時点では、経済産業省を除けば、各省庁のロボット技術の共通プラットフォームとしての展開が不明であり、今後の環境プラットフォームの普及を期待したい。

<総合評価:B>

(2)個別評価

1.目標達成度

 想定されたミッションにしたがって、福岡アイランドシティに構築された環境プラットフォームや病院におけるロボットの実証実験を含めて、実証システムレベルまで踏み込んだ成果を上げている。移動ロボットによる三次元計測については、計測したデータの認識・分類までできているとより望ましい。研究遂行の中で問題になったこと、予測外のことに対する解決手段とその限界に関する情報がまとめられており、公開されれば、第三者による環境プラットフォーム技術の導入が促進されるものと期待される。

2.情報発信

 全体としては、情報発信は妥当である。論文発表や公開などは適切に行われている。ロボットタウンにおける情報処理の中心であるタウンマネジメントシステムをオープンソースで公開している点は非常に良い。今後の、海外発表や特許出願に期待する。

3.研究計画・実施体制

 研究計画・実施体制については、研究計画、実施体制ともに適切である。研究の方法も適切である。実施体制については、研究者の分野構成、産学官のバランスは整合しており、また、九州大を中心に、九州地域のメーカーの参加による実施体制は良好であったと思われる。今後の研究開発継続のための体制も納得できるものになっている。

4.実施期間終了後における取り組みの継続性・発展性

 ロボットタウンを活用して継続して研究が行われなければ、プロジェクトの意義が低下することになるが、経済産業省のプロジェクトに引き継がれるとのことであり、実施機関終了後における取組は妥当である。開発された技術の実用化も含めて、今後に期待したい。さらに、タウンマネジメントシステムの標準化やロボット上のセンサーデータの活用など様々な方向への発展が期待できる。そのためには標準化やオープン化へむけた取組が必要であると考えられる。なお、ロボットタウンの規模が大きくなると、タウンマネジメントシステムに全てが登録されているという状況の実現は困難になると考えられる。今後は、タウンマネジメントシステムの分散化や不完全な情報の取扱等を考慮した改良が期待される。また、現時点では、病院内のロボット利用には解決すべき課題が多い。今後、実際の場面に即した、環境構造化技術の適用の検討が必要と考えられる。

(3)評価結果

総合評価目標達成度情報発信研究計画・
実施体制
実施期間終了時に
おける取り組みの
継続性・発展性
Bbbbb

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

-- 登録:平成21年以前 --