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13.網羅的疾患分子病態データベースの構築

(事後評価)

(実施期間:平成17~19年度)

代表機関:東京医科歯科大学(代表者:田中 博)
参画機関:
独立行政法人理化学研究所、独立行政法人産業総合研究所、国立がんセンター、株式会社日立ソフトウェアエンジニアリング

課題の概要

 ゲノム情報に基づく「個の医療」の実現には、疾患理解・治癒に対して関連する情報を有する、網羅的な疾患分子病態データベースの整備が必須である。
 Data-Mining手法やシステム情報解析を通して、網羅的分子情報と臨床・病理・環境情報の関連性、臨床的意味を明らかにする。さらにそれをもとにして生活習慣、臨床・病理情報から分子情報までをネットワーク階層形式にて統合したデータベースを構築する。特に、消化器がん、口腔がん、食道がんなどを対象として、これらの疾病をシステムとして理解することを目指した。

(1)総合評価(所期の計画以下の取組であるが、一部で当初計画と同等又はそれ以上の取組もみられる)

 臨床情報と連携した疾患分子病態のデータベースに対する期待は高く、臨床情報と網羅的なゲノミックス情報を統合化したデータベースが初めて立ち上げられたその意義は大きい。また、本データベース運用に関連して、オミックス医療研究会が立ち上げられた点も評価される。
 しかし、ユーザーである臨床家が使いやすいデータベースをとの観点において、個人疾患情報の取り扱いと公開性のバランス、新規データ取得体制の整備、臨床グループとの緊密な協力体制などの検討課題が今後に残された。特に、データベースの価値を増すためには公開性と国際性の確保が重要であるが、公開対象がまだ研究者内に留まっており、重要課題の成果としては不充分である。これらの点より、所期の計画以下の取り組みと評価された。今後これら残された問題について検討し、汎用性を高めることが望まれる。

<総合評価:C>

(2)個別評価

1.目標達成度

 がん患者を対象として臨床データと分子情報を連携させ、課題終了時点において500件余のデータを含む多層的なデータベースが構築されたことは評価される。病気をシステムの乱れとして捉える新たなオントロジー構築を目指して、多層的データベースにて対応しようとする新たな方法論が検討された。また、Data-Mining手法により、がん患者の予後とAurora Kinase B活性の関連が見出され、加えて、がん進行のシミュレーションなど新規な試みも行われた。こうした点は評価されたが、データベースががん患者のみを対象とするものであり、まだ広く公開稼働するには至っていないため、その有用性、特に臨床現場での有用性の検証は今後に残された。こうした点より、計画とほぼ同等の目標達成と評価された。

2.情報発信

 シンポジウムの開催、原著論文の数など十分な情報発信が行われたものと評価された。中でもオミックス医療研究会を発足した意義は大きい。構築されたデータベース及びそのコンテンツについて、より広範に効果的に情報発信するためには、公開性を高めると共に、外部との連携によって登録数を増加させる工夫が必要である。臨床現場向けの情報発信を拡充することも望まれる。これらの点より、総合的に所期の計画と同等の取組と評価された。

3.研究計画・実施体制

 研究計画は概ね妥当なものであった。がん患者の分子病態データベース構築部分は明快な計画に基づき研究が実施された。しかし、東京医科歯科大学と国立がんセンターにそれぞれのシステムとしてデータベースが立ち上げられ、まずは国立がんセンターが有する二次データベース情報を東京医科歯科大学のデータベースに移す形で統合的に公開された。しかしながら、この点について当初からの統合に向けた検討が望まれ、機関間の連携にやや疑問が残る。
 また、外部機関の臨床家からのインプットを取り込むことができる仕組みも模索するなど、より汎用性が高く、臨床の場でより有効なデータベース構築が望まれるところであるが、有用性のある統合データベースを構築して疾病理解への波及効果を導くための研究計画が不充分であった。

4.実施期間終了後における取り組みの継続性・発展性

 データベースを継続して維持する準備は行われており、今後は、構築された疾患の分子動態データベースの活用について、その方向性を示して行くことが課題となる。実用性の高いデータベースとするためには、国際性、公開性を増し、より多くの機関と連携した体制を構築することが求められる。加えて、オミックス医療の有効性について広く認知を得るための戦略が望まれる。さらに、がん以外の疾患への拡充、他研究機関とのデータベースの互換性の向上、大規模データベース化への対応なども求められ、且つ期待される点も多い。その一方で、個人情報の取り扱い等に関する法整備や知財権の問題への配慮も必要である。これらの点について、まだその方向性に関する十分な示唆が得られていない点は、残念である。今後の対応を期待したい。

(3)評価結果

総合評価目標達成度情報発信研究計画・
実施体制
実施期間終了時に
おける取り組みの
継続性・発展性
Cbbcc

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

-- 登録:平成21年以前 --