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12.犯罪、行動異常、犯罪被害等の現象、原因と、治療、予防の研究

(事後評価)

(実施期間:平成17~19年度)

代表機関:東京医科歯科大学(代表者:野田 政樹)
参画機関:国立精神神経医療センター、東京都精神医学総合研究所

課題の概要

 凶悪な犯罪が多発する中で、犯罪者の治療や再犯予防、犯罪被害者への治療的支援など、司法精神保健学の領域には重要な研究課題が山積している。本研究は、これら重要課題のうち、特に対応に急を要する問題について研究を進めるとともに、研究体制を整備して司法精神保健学の総合的な研究・教育拠点形成を目指した。
 具体的には、1.触法精神障害者(法に触れる行為を行った精神障害者)の精神鑑定とリスクの客観的な評価に関する研究を行う、2.性犯罪者のリスクに適応した治療プログラムを開発・実施しながら、矯正・保護機関の処遇向上に協力し連携した治療をすすめる、3.被害者のPTSD(Post-Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)治療を大学付属病院に開設する専門外来の場を用いて進める、等を目指した。

(1)総合評価(総じて所期の計画以下の取組である)

 犯罪、行動異常、犯罪被害等の現象・原因の解析、また治療、予防に関わる基盤研究が、我が国には関連研究も含めて乏しく、これら解析と予防に向けた研究を、我が国に導入し立ち上げたこと、そしてPTSD被害者の治療に向けた研究を立ち上げたことは、一定の評価に値する。しかしながら、データ収集が社会的に難しい分野であること、初めての試みとなった部分が多く、そのシステム立ち上げに時間を要したことなどの困難を考慮しても、研究費に見合う成果は得られていない。
 より広く関係機関の参加を求め、研究体制を充実・整備して研究を実施する必要があることが、当初から指摘され、求められていたにもかかわらず、代表機関1機関を主体とする研究体制にて実施され、展開において広がりに欠ける結果となったことは否めない。特に、性犯罪者の治療、また予防に向けた研究において、展開が困難な経過が見られている。この研究体制の不備は目標遂行の上で大きな問題であった。これらの点より、総じて所期の計画以下の取組であったと判断された。
 なお、課題実施の難しさに比べて、当初の目標設定が高かったとも考えられる。本分野自体は我が国にとってますます重要な問題となってきているので、新たな取組を期待する。

<総合評価:D>

(2)個別評価

1.目標達成度

 トラウマ焦点化認知行動療法の長時間暴露法について予備研究、そしてランダム化比較試験を実施し、我が国のPTSD患者に対しても本法が有効であることを示唆したこと、また法務省の協力により心神喪失者等医療観察法対象事例に関するデータベースを構築したことなど評価される点も認められるものの、データ収集の難しさ、そして実施体制の不十分さもあって、総じて目標に達していない。特に、性犯罪者の治療に関する研究では、事例数の不足のために性犯罪者の評価・分類法の確立という目標が達成できなかった。性犯罪者の再犯予防プログラムにおいても参加者が少なく、その有効性評価に結びついていない。また本研究において、全体として纏めた一本の大きな流れが見えないこともあり、所期の目標を大幅に下回っていると判断された。

2.情報発信

 原著論文の数は少ないが、学会などでの発表がなされ、専門家向けの情報発信はある程度なされた状況にある。また、このような社会性の高い問題については、専門家以外にも理解を広めるため、積極的な活動が求められることから、本分野研究を国内に広めるべく、積極的に実施された講演、また国際シンポジウム等の開催による情報発信は評価され、概ね適切に行われたものと判断された。
 公開シンポジウムの開催等、必ずしも容易でないテーマであるが、この分野の取組が社会的に受け入れられるために、さらなる情報発信が期待される。

3.研究計画・実施体制

 研究体制に関して、採択時において、触法精神障害者などを扱う各省庁(法務省、厚生労働省、警察等)、大学および民間等と連携することにより、研究成果を社会に還元できる体制の構築が求められていた。しかし、この面で十分な体制には結びついていない。また、最終的に成果の報告に困難が生じた点は問題であり、体制上の問題と考えられる。
 代表機関1機関を主体ととした実施体制にて、その共同研究体制に広がりが欠ける結果となった。広く共同研究機関を求め、協力を必要とする他機関を十分に体制内に取りこんで課題が実施された場合には、より円滑な研究遂行と、社会に対してより大きな成果還元が可能になったものと考えられる。このような点より、研究計画・実施体制は不適切であったと判断された。
 なお、研究チームに対する代表機関としての支援体制が十分でなかった点も、反省が望まれる。

4.実施期間終了後における取り組みの継続性・発展性

 社会的にきわめて重要な分野であり、本分野の研究が社会に受け入れられる土壌を作ること、また本分野の専門家を育成してゆくことは急務と考えられる。当課題において、その先鞭をつける活動が行われた。
 しかし、課題終了とともに課題遂行時の研究実施体制は消失しており、個々の研究者の努力にて、それぞれ分担の研究を継続しつつある状況にある。課題の重要性を考えると、研究の継続、発展が必要であり、新たな枠組みでの取組が望まれる。

(3)評価結果

総合評価目標達成度情報発信研究計画・
実施体制
実施期間終了時に
おける取り組みの
継続性・発展性
Ddbdc

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

-- 登録:平成21年以前 --