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6.電力貯蔵用リチウムイオン電池セルの標準化

(事後評価)

(実施期間:平成17~19年度)

代表機関:慶應義塾大学(代表者:吉田 博一)
参画機関:
エネサーブ株式会社(現大和ハウス工業株式会社)、大和ハウス工業株式会社、株式会社竹中工務店、KDDI株式会社、新電元工業株式会社

課題の概要

 従来、用途に応じて個別に開発されていた電力貯蔵用大型リチウムイオン電池は少量多品種生産となっているため、価格の低減が難しく、大量普及が困難である。そこで、大量普及のため、大型リチウムイオン電池の単位となるセル仕様の標準化を行うことにより、広い用途に共通して使える電池が実現すれば、大きな需要が発生する。その結果、電力貯蔵用途へのリチウムイオン電池の普及が実現し、省エネルギーと、災害時のエネルギーセキュリティの有効な対策が可能となる。本研究では、セルの仕様を標準化するために、本研究代表者のもとに複数の利用分野のニーズ側企業とシーズ側企業が結集して、ニーズとシーズの調査とこれに基づくセルの試作とこれを組み合わせた電池システムの試作とその評価を行い、双方が満足する仕様を策定することを目指した。

(1)総合評価(総じて所期の計画以下の取組である)

 大型リチウムイオン電池の主要ユーザーの一つである自動車メーカーやシーズ側企業である電池メーカーが参画しておらず、本研究により策定されたセルの標準仕様がそれらのメーカーや業界から評価を得ているとは言い難い。また、調査に基づく大型リチウムイオン電池の標準仕様の策定やその仕様を満たす電池の試作および評価は行われたが、本課題の目標である「標準化」にむけた成果はほとんど得られていないと判断された。マスコミなどを通じたアウトリーチ活動は行われているが、検証可能な形での成果発信(論文、学会発表など)が全く行われておらず、実施者内のみに成果がとどまっている。セル標準仕様など、本研究の成果の知的財産権取得に向けた取組みが全く行われていない。これらの点から国際標準化を狙う本研究の成果の優位性も不明である。
 以上のことから、総じて所期の計画以下の取組であると判断された。

<総合評価:D>

(2)個別評価

1.目標達成度

 調査に基づく標準仕様の策定や、その仕様を満たす電池の試作および性能評価が行われたが、通常の企業活動として行われる市場調査の結果を集約したニーズ側の要求仕様となっており、電池の性能や特性等を勘案した標準仕様となっていない。このため、広い用途に共通して利用できる電池の標準仕様としての妥当性が検証されていない。結果的に、本研究で目指したニーズ側とシーズ側の満足する大型リチウムイオン電池の標準仕様設定には至っていない。さらに、本研究で目指したリチウムイオン電池の標準化のためには、採択コメントにも示された通り、シーズ側企業である電池メーカー、電池材料メーカーなどの参画が必須であり、ニーズ側企業についても自動車メーカーなどより多くの企業の参画を得て、初期の段階から標準化に向けた取組みへの賛同者を増やして行く必要があった。本研究の本来の目的である標準化に向けてのさらなる努力が求められる。
 以上のことから、初期の目標を大幅に下回っていると判断される。

2.情報発信

 マスコミや政府機関への働きかけに努めた点は評価できるが、広い用途を意識した情報発信は不足している。また、ピアレビューを経た学術誌、講演会、学会など、研究成果としての情報発信が全くなされていない。このため、研究成果が実施者内にとどまっており、広い分野への普及が期待できない。さらに、本研究の成果として得られた電池の標準仕様に関する特許や実用新案、著作権など知的財産取得への取り組みが全くなされていない。研究成果の発表、知的財産権取得への取組みはリチウムイオン電池の標準化を目指す本研究の趣旨を鑑みると必須の活動と考えられる。今後、研究成果の公表、知的財産取得の取組みが求められる。
 以上のことから、情報発信は不十分であったと判断される。

3.研究計画・実施体制

 採択コメントにあった電池メーカー、自動車メーカーの参加が得られておらず、また、研究運営委員会にも参加していないため、本研究で目的とする研究内容に必要となるプロジェクトの実施体制が構築できておらず、研究計画に沿ったアクションが取れなかったと考えられる。従って、提案時に示された研究目的、研究計画を実行するために必要となる研究体制を構築する必要があったと判断される。
 以上のことから、研究計画・実施体制は不適切であったと判断された。

4.実施期間終了後における取り組みの継続性・発展性

 電池の標準化を目指す場合、本来複数のニーズ側企業ならびにシーズ側企業が参画し、標準仕様を策定し、標準仕様を広く普及させ、標準規格として国際的に認証されるような活動が継続的に進めることが求められる。本研究の成果は現段階では多くのニーズ側企業ならびにシーズ側企業の賛同を得たとは言えず、今後の継続的な標準化活動やより多くのニーズ側企業への展開が期待できない。また、標準化を進めるうえで、コアとなる部分の特許を持たずに業界で中心的な役割を果たせるとは考えにくい。先行特許の精査とライセンスを視野に入れての展開が必要である。研究参画者らにより電池製造企業を新たに設立したことは、継続性・発展性を確保したように思われるが、当該電池製造企業における活動はデファクトスタンダードを目指す一般的な企業活動であると考えられ、本研究で策定された標準化仕様の普及活動として継続的に取り組まれているとは判断できない。
 以上のことから、実施期間終了後における取り組みの継続性・発展性の確保は全く期待できないと判断される。

(3)評価結果

総合評価目標達成度情報発信研究計画・
実施体制
実施期間終了時に
おける取り組みの
継続性・発展性
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お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

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