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6.アスベスト関連疾患への総括的取り組み

 (中間評価)

(実施期間:平成18~22年度)

代表機関:川崎医科大学(代表者:大槻 剛巳)
参画機関:
兵庫医科大学、広島大学、名古屋大学、愛知県がんセンター、国立がんセンター

課題の概要

 アスベスト問題は社会的にも注目され、アスベスト関連腫瘍発症例への臨床的な対応・治療法の改善、早期発見治療、既曝露者の発症予防などの対策が求められている。
 本課題の臨床系研究では、1.アスベスト起因性悪性中皮腫症例と既曝露未発癌症例の登録体制の基盤整備、2.悪性中皮腫の早期診断法の確立、3.標準的治療法確立に向けた臨床試験の実施、を通じて臨床的な対応・治療法の改善を目指す。また基礎系研究では、1.中皮腫細胞株での変化および免疫系への影響の解析による新規早期診断指標候補の同定、2.動物モデルを用いた発癌過程の検討、3.治療・予防に利用できる標的分子の同定、により早期発見と発病予防の糸口をつかむことを目指す。検体の共有による解析結果の検証、コホート研究に利用できる診断指標に向けたトランスレーショナル・リサーチも精力的に行い、国民の不安の払拭にむけた研究を行う。

(1) 総合評価(所期の計画と同等の取組が行われている)

 本課題における患者登録と臨床研究は、アスベスト関連疾患に対するオールジャパンの共同事業としての実施を目指すものであるが、実際にこれら事業を具体的に開始することができた点は、社会的意義が高く評価される。今後は、この基盤を生かして、登録数、臨床研究例を増やすことが急務であり、その成果に期待する。
 基礎研究においても一定の成果が認められた。これら成果を患者の治療や発症予防に早期に結びつけるための道筋と目標設定をより明確にして推進することが望まれる。
 以上のように概ね計画に沿ってプロジェクトが進められているが、本研究に対する期待の大きさを加味し、さらに迅速な対応が期待される部分も認められる。基盤整備が進んだ現在、これまでに得られた結果を有効に生かして、国民の不安を解消できる成果に結びつけるべく、研究の加速を期待する。

<総合評価:B>

(2) 今後の進め方(計画を継続又は一部見直しが必要である)

 十分な成果が期待される課題であり、さらなる展開に向けて、次の点に留意しつつプロジェクトを継続、推進されたい。
 開始された登録制度について、オールジャパンの取り組みとして、その意義を確かなものにするためには、登録症例数を増やすことが必須である。他の登録体制整備事業との連携をさらに強化するなどの方策を含め、登録強化に向けて検討を進められたい。
 臨床研究、早期診断法開発についても、臨床症例の迅速な集積が求められるところであり、そのための方策を検討されたい。目的に合わせて、共同研究施設の拡大も考慮し、成果を具体化されたい。さらに、早期診断法についてはその確立に向けて、先行の研究や他グループの研究との連携も視野に入れるなど、柔軟な取り組みを期待する。
 基礎系研究については、得られた知見がどのような道筋で臨床応用できるかを明らかにし、具体的な目標を設定しつつ、臨床応用に向けて加速して推進されたい。例えば、免疫学的影響の検討から得られた基礎的知見について、早期に臨床にて検証するなど、基礎と臨床の連携をさらに推進し、早期診断指標として絞って行くことが望まれる。

<今後の進め方:B>

(3)個別評価

1.進捗状況(目標達成度)

 登録制度の基盤整備では、症例登録と検体登録間の調整などに時間を要したが、現在円滑に稼動しており、将来的な研究基盤としてのフォローアップ体制が確立されたものとして評価される。
 標準的治療法確立に向けた臨床試験は、試験薬の保険認可を待つと共に、放射線治療による副作用等を考慮して集学的治療プロトコールの作製に慎重を期して、フィージビリティスタディとして本年度開始された。この臨床試験の成果に期待する。
 早期診断法、分子標的についても各サブテーマにおいて知見が得られている状況にある。診断、予防につながる指標として、早期にその実証を得る必要があるが、そのためのロードマップをより明確にし、検討を加速して推進することが望まれる。
 これらの点より総合的に、所期の目標と同等の達成度と評価される。

2.研究成果

 研究基盤として、患者登録制度を確立し、外科的治療を含めた集学的治療方針の標準化を行って、臨床研究を開始した意義は大きい。学会の議論を経るなど、慎重に登録システムの検討や臨床プロトコールの作製などが行われ、オールジャパンの体制を目指した活動が行われた。その結果として、多施設共同研究として症例登録、臨床試験の体制が確立された点が評価される。なお、症例登録が発症例に対してまだわずかであること、また労災病院が含まれていないことなど、解決されるべき課題もあり、今後、これら確立された基盤を円滑に活用して、登録、臨床例を早期に拡充して行く工夫が求められる。
 早期診断法は社会的にも関心の高いところであるが、本課題では血清診断においても欧米に先行したオリジナルな研究が行われた。現在、検討が進められている候補法について、充分なサンプルサイズによる診断確度の検定を急がれたい。特殊内視鏡による診断についても検討例数を増やし、従来の生検に対する優位性の早期検証が望まれる。
 また、基礎研究において、発癌機構の解明から新規の研究結果が複数得られている。これら成果がどこまで実際の疾患に適用できるか、臨床研究とのさらなる連携を推進して、早期の検証が求められる。
 研究成果の論文発表などについては、各サブテーマとも十分になされており、総合的に所期の計画と同等の成果が得られていると評価される。

3.研究計画・実施体制

 登録に関し、多方面の専門家の協力を得て、制度確立の段階に達していると評価される。また、臨床試験においても、多施設共同研究に向けたプロトコールの作製など、適切な体制で行われた。今後はこの基盤を有効に生かして、登録症例数を増やす工夫が必要であり、多施設共同研究機関の追加も必要である。他の臨床研究との連携等も含め、より広い視野で効果的な体制を模索しつつ、プロジェクトを推進されたい。
 また、早期診断指標・治療分子標的等に関しても、その社会的ニーズは高い。期間内にそのニーズに応えるために、研究計画・実施体制について十分考慮しつつ推進されたい。例えば、血清診断マーカーについては他グループの研究成果も加味して検討を進めることが望まれ、柔軟な対応を期待したい。

(4)評価結果

総合評価今後の進め方進捗状況
(目標達成度)
研究成果研究計画・
実施体制
BBbbb

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

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