3.統合化地下構造データベースの構築

(中間評価)

(実施期間:平成18~22年度)

代表機関:防災科学技術研究所(代表者:藤原 広行)
参画機関:
独立行政法人 産業技術総合研究所、独立行政法人 土木研究所、社団法人地盤工学会、東京工業大学、東京大学

課題の概要

 地下構造に関する情報は、国民共有の国家財産である。過去、我が国においては各種目的で膨大な地下構造調査が実施されてきたが、それらデータの中には十分活用されないまま死蔵の状態や散逸の危機にあるものもあり、現状では我が国には地下構造・地質情報を網羅した全国的なデータベースが存在しない。
 本研究は、データの散逸を防ぎ、誰もが利用可能なデータベースを構築することで、地下構造・地質情報に関する情報公開を促進し、これまでの調査による成果を広く社会に還元することを目的とする。具体的には、表層から地球内部構造に至る地下構造の地球物理学的情報、地質学的情報を統合的に収集・管理し、広くデータ利用可能な仕組みとして、統合化地下構造データベースを構築する。さらに、各機関で整備された基礎データベースをネットワークで結び、データの相互利用・公開が可能なシステムを構築するとともに、データの利活用・データベースの高度化に資する研究開発を行う。

(1)総合評価(所期の計画と同等の取組が行われている)

 放置すれば散逸する恐れのある地下情報を収集し、統合化することによる利活用を図るため、個別機関のデータベースを一元化したデータベースが着実に構築されている。個別のデータベースも詳細に検討され研究機関ごとに、詳細メッシュ上にデータが蓄積されている。しかしながら、現在提案されている分散型データベースで活用できるのはWeb公開されているものだけであるため、その他の膨大なデータに対する方策を検討すべきである。

<総合評価:B>

(2)今後の進め方(計画をさらに発展させるべきである)

 統合化地下構造データベースとして、研究者から実務者まで広範囲に利用でき、専門家の参画や協力を得にくい自治体の防災関係者でも利用しやすい活用例が提示されるものとなることが期待される。データの継続的追加に関しては、国、自治体の公共事業のみならず、エネルギー会社、道路・鉄道事業者などの公益企業のデータなども統合化することも将来的に意識して進められたい。本課題は、国家的・長期的課題の端緒であり、今後もさらに発展させるべきである。

<今後の進め方:A>

(3)個別評価

1.進捗状況(目標達成度)

 データベースを構築する各機関は、データを集める段階までは目標を達成しており順調にデータベースの構築がなされている。また、分散管理型システムにおいても各機関間をつなぐポータルサイトの構築が進み、試験運用を開始し、具体的運用方法の検証が行われている。しかしながら、統合化地下構造データベースの利活用に関しては、地震リスクマップがどのような形で完成され、具体的にどのような形でデータベースに反映するのかが不明確である。今後は、利活用の具体例の提示などに関する工夫も検討すべきである。

2.研究成果

 参画機関毎に基礎データの構築が進められつつあり、相互のデータベース連携のためのシステム開発および実証が進められている。また、深部地下構造モデルを機関毎に高い水準で構築するための標準的モデル化手法を確立している点は評価できる。しかしながら、利活用の点において、利用者のメリットを考慮した使いやすいシステムの構築が望まれる。

3.研究計画・実施体制

 分散して存在する地下構造データベースを、統合的に利用する環境を構築するため、地震防災に関わる中心組織が参画し、いたずらに細分化することなく、役割分担を明確にして、組織間協力を円滑に行う研究体制が構築されていると評価できる。また、関連する学会・協会との連携も十分計画に反映され、着実に成果が得られていることから、研究計画・実施体制ともに高く評価できる。

(4)評価結果

総合評価今後の進め方進捗状況
(目標達成度)
研究成果研究計画・
実施体制
BAbba

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

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