8.化学剤・生物毒素の一斉現場検知法の開発

(事後評価)

(実施期間:平成17~19年度)

代表機関:警察庁科学警察研究所(代表者:瀬戸 康雄)
共同研究機関:株式会社日立製作所、理研計器株式会社
関連研究期間:熊本大学、産業技術総合研究所

課題の概要

 化学剤・生物毒素の標品、取扱施設を有し、機器分析で最先端の科学警察研究所、有害物質のセンサー技術で最先端の熊本大学工学部、バイオセンサー技術で最先端の産業技術総合研究所、独創的な計測技術と製品実用化実績を有する株式会社日立製作所と理研計器株式会社が、急性作用の猛毒な化学剤・生物毒素を、現場で即応的に、高感度、迅速、正確、自動的に検知する手法、装置を開発し、統合して漏れなく検知できるシステムの構築を目指した。

(1)総合評価(所期の計画と同等の取組が行われている)

 我が国として遅れている本分野において、短期間で意欲的に取り組んだ課題であった。産学官の連携強化による国産の独創的な研究で化学剤および生物毒素の検知可能な技術を確立し、製品化を実現しており、一定の成果を得たと評価できる。但し、意欲的かつチャレンジングな生物毒素検知に関しては技術が芽生えた段階であり、研究手法にまだ改善の余地があるものと考えられる。プログラム終了後も企業と継続的な研究が積極的に進められており、さらなる改善による実用化の成果が期待される。

<総合評価:B>

(2)個別評価

1.目標達成度

 ガス性化学剤検知および揮発性化学剤の設置型検知に関して、産学官連携で製品化に結びついた点については評価できる。一方で、生物毒素に関しては一部検知が達成されたが他の剤は検討されておらず、さらに、ガス性化学剤を除いて携帯型検知に関しては実用・製品化には至らなかった。したがって、広範囲な対象物質をある程度網羅しているものの、個別の装置開発に止まっており、統合的検知システムの構築の観点ではなお改善の余地があったものと考えられる。総合的に所期の目標をやや下回っていると判断される。

2.研究成果

 国産の独創的な研究により原著論文の作成や特許出願が積極的に行われ、化学剤および生物毒素の検知可能な技術を確立した。その結果、国内技術によりテープ光電光度法装置、逆流型大気圧化学イオン化質量分析装置の商品化を実現した点は高く評価でき、所期の目標を達成していると判断される。しかし、統合的検知システムの構築は、まだ限定的なレベルである。既存装置との統合的運用によって、より現実的・有効的な運用体系を確立していくこと、さらには現場での運用方法の視点も考慮した実用性の高い製品が実現されることを期待する。

3.研究計画・実施体制

 代表機関が主体となり、サブテーマと研究担当機関を明確化した効率的かつ適切な産学官の研究体制が築かれた。その結果、独創的な研究発表が共同機関との多数の共著に結びついたものと判断される。一方で、生物毒素検知の完成度にはまだ改善の余地があることから、期間を考慮し、生物毒素検知にもっと重点的に取り組むような体制もあり得たと考えられる。
 全体的には、本研究は我が国発の独創的な技術開発によるもので、プログラム終了後も企業との継続研究が進められており、今後の発展が大いに期待できる。

(3)評価結果

総合評価目標達成度研究成果研究計画・実施体制
Bcbb

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

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