6.地圏環境インフォマティクスのシステム構築と全国展開

(事後評価)

(実施期間:平成17~19年度)

代表機関:東北大学(代表者:土屋 範芳)
共同研究機関:DOWAエコシステム株式会社

課題の概要

 東北大学は、鉱物あるいは土壌含有物質の評価技術を長年培ってきており、一方、DOWAエコシステム株式会社は、今後の環境事業展開として鉱染マップをベースに全国的な土壌汚染情報マップの作成とそれに基づく地圏環境評価による土壌環境の総合的な修復を行おうとしている。
 そこで本研究はこのようなニーズを踏まえ、全国の河川流域データを中心に作成された地化学マップを有する産業技術総合研究所とも連携し、それぞれの機関が有する地圏環境情報を地理情報システム(GIS)上に有機的に統合化することを目指した。また、東北大学が持つ形態・起源分析技術を駆使した土壌・地質の自然汚染と人為汚染の相互評価および地化学詳細評価を行い、環境管理、土壌汚染対策、産業立地、環境リスクの長期管理が可能なデータベースシステムを開発し、地圏環境インフォマティクスシステムとしてパッケージ化することを目指した。

(1)総合評価(所期の計画と同等の取組が行われている)

 本研究では、地圏環境情報の長期管理が可能なデータベースシステムを開発し、これらを地理情報システム(GIS)上に統合化し、パッケージとして提供可能な形にしている。また、開発したデータベースの関係自治体への配布も進めている。昨今、建設事業により発生する掘削土砂の重金属汚染問題がクローズアップされており、適用される基準も関連省庁で見直される機運にある。特に、重金属については、自然由来か人為起源のものかによって扱いが異なるため、本研究はこれまで薄弱であった判断根拠を整備する新しい活動として高く評価でき、臨海部の埋立地の汚染対策検討等への貢献が期待できる。
 しかしながら、本研究は「全国展開」を目指しているものの実質的には東北地方が中心となっており、今後、全国展開への道筋を明確にして、全国規模に発展させることが望まれる。

<総合評価:B>

(2)個別評価

1.目標達成度

 当初予定していた調査・分析内容についてはほぼ完了し、地圏環境インフォマティクスシステムとしてのパッケージ化を実施し、その成果物である「GENIUS」の普及にも努めている。また、現状の対象地域は限られているものの、地化学評価の基本的手法とその検証はなされている。以上により、所期の目標に達していると評価できる。今後はさらに、ホームページ上の公開等も検討することが望まれる。

2.研究成果

 汚染元素の状態分析を行うなど、科学的バックグラウンドについても十分な検討がなされている。また、重金属の由来が推定できることから、土壌汚染対策の方向性の明確化にも貢献することも期待できる。発表論文数、招待講演数も妥当であり、毎年シンポジウムを開催し、この分野の最新情報を提供したことから、情報発信も十分と判断できる。全国的な展開をする上で、地域によって汚染メカニズムが異なる場合は新たな検討が必要になると思われ、今後さらなる工夫とデータの集積が望まれる。

3.研究計画・実施体制

 産学官で個別に整備された土壌・地質データベースが適切に統合され、その成果が「GENIUS」としてパッケージ化されていることから、研究成果の継続性、利便性が期待できる。地質汚染の解析法が整備され、個別の活用も期待でき、当初の計画と実施体制は妥当であると評価できる。今後は、構築されたデータベースが継続的に当該分野の研究に貢献できるような適切な維持管理体制を確立することが望まれる。

(3)評価結果

総合評価目標達成度研究成果研究計画・実施体制
Bbab

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

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