1.革新機能ガラスフォトニック素子の創製

(事後評価)

(実施期間:平成17~19年度)

代表機関:東北大学(代表者:藤原 巧)
共同研究機関:旭硝子株式会社

課題の概要

 現用されているガラス光ファイバネットワークに対して、簡便・容易な接続性など、導入整合性に優れるガラスベース光波制御材料/素子の開発を目的とした。独自に開発された「レーザー原子加熱法」などの基盤技術を駆使して、ガラスでありながら本来結晶固有の高い機能性を有する光導波路型/光ファイバ型デバイスを創製し、電気信号への変換を要しない線路内全光化情報通信システムの実現に寄与することを目指した。

(1)総合評価(所期の計画と同等の取組が行われている)

 ガラスファイバで結晶材料的なEO(電気光学)効果を発現させ、電界印加型のデバイス開発に挑戦し、光ファイバ型VOA(光減衰器)の試作と動作試験に成功した。この種のデバイスは世界初であり、本技術分野に新しい潮流をもたらした基礎研究の成果として評価できる。また、デバイスの製作に際して旭硝子の高い技術の寄与も十分にあったと判断される。欧州光通信会議(ECOC2008)においてPDP採択(post-deadline paper)という国際的に高い評価も得ている。デバイス特性において消費電力が十分に低く、大量に使用される場合のメリットが期待できることから、将来の実用化にむけて、VOAの散乱損失が大きい、印加電圧が非常に高いなどの問題点を改善するための共同研究の継続が望まれる。これらのことから総合的に所期の計画と同等の取組が行われていると判断できる。

<総合評価:B>

(2)個別評価

1.目標達成度

 EO効果により動作するガラスベース光ファイバ型デバイスとして、VOAプロトタイプの開発に成功したことは所期の目標を達成していると判断できる。研究シーズの産業化という視点から競争力の見込める技術が見えてきており評価できる。実用化にむけてはVOAの性能不足、応答速度が不明などという問題点が残ることから今後の改善が望まれる。

2.研究成果

 ファイバ型デバイスに適した新規高機能結晶化ガラスの創製およびレーザーパターニング法による空間選択的な機能化法の導入は高く評価できる。VOAを試作して革新的な低エネルギー消費を実際に達成し、アクティブなガラスファイバ型素子の具現化に道を開いたことは独創的な研究成果として評価できる。ただしデバイス構造の最適化および外部への情報発信等についてなお改善の余地がある。

3.研究計画・実施体制

 デバイス化の際に問題となる重点課題を解決する目標を設定して、産学が連携して開発を推進したことは評価できる。ガラスファイバ結晶化技術を大学がサポートし、旭硝子がデバイス化を担当する役割分担も明確であることから実施体制も妥当であると判断できる。しかしながら、VOAの実用化には未だ多くの課題が残されており、高い散乱損失や印加電圧等のデバイス特性の改善に向けた相互の取り組みには改善の余地がある。

(3)評価結果

総合評価目標達成度研究成果研究計画・実施体制
Bbbb

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

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