7.名大高等研究院研究者育成特別プログラム

(中間評価)

(実施期間:平成18~22年度)

実施機関:名古屋大学(代表者:平野 眞一)

課題の概要

 高等研究院に研究者育成特別プログラム(テニュア・トラック制度)を導入する。高等研究院が候補者を国際公募・選考する。採用された若手研究者へは、本プログラムにより人件費、研究費、研究員雇用費等を支給し、高等研究院が管理・運営する「高等総合研究館」に研究室および実験室を貸与し、独立した研究室運営を支援する。教育者としての育成は、対応する推薦部局が支援する。任期終了時には高等研究院が評価し、推薦部局に対してテニュア付与の推薦を行う。充実した研究評価体制を有する高等研究院は、優れたテニュア候補者を客観的に選考すると共に、個々の研究活動の支援および高等研究院での活動を通して高度で広い視野と高い研究者倫理を有する若手研究者を育成する。本プログラムの効果が認められれば、各部局で採用する教員の一部を常にこのプログラムで運用することになる。そのための経過措置として全学からの定員移動・資金の手当て、等を計画している。  

(1)総合評価(所期の計画と同等の取組が行われている)

 当初計画に即した取組が進められており、国際公募により多数の応募者を集め、優れた人材の獲得に成功しており、また若手研究者全員のテニュア枠が確保されている点も評価できる。採用者の自校関係者率が高いことは懸念されるが、公募、審査、採用は概ね適切であり、コモン・ルームを設置するなど若手研究者の自立環境が整備されており、比較的バランスがとれている。ただ、高等研究院と部局との関係の調整が難しい体制となっており部局まかせとなる可能性が危惧されるため、今後さらなる検討、対策が求められる。更に、定着化に向けた自己資金計画を明確にするなど、制度の定着化に向けた運営が期待される。

<総合評価:B>

(2)今後の進め方(計画を継続又は一部見直しが必要である)

 当初の計画をさらに明確化し、高等研究院としての具体的な施策を工夫することが必要である。また、国際リーダーの育成を目指す上から外国人採用者への支援策などを明確にすることが望まれる。今後は、部局の自主性を尊重するとともに、部局一任に終わらないよう高等研究院との関係を調整し、学長のリーダーシップのもと、自主的取組を拡大しつつ、全学的なシステム改革の取組とすることが期待される。

<今後の進め方:B> 

(3)個別評価 

1.進捗状況 

 既に、多くの応募者から国際的に高い水準にある人材を採用したこともあり、高い研究成果をあげていると思われ、概ね計画通り進捗しているといえる。ただ、大学全体のシステム改革につなげる取組については、自主的取組を拡大するなど、一層の改善に向けた努力が必要である。

2.国際公募・審査・業績評価

 公募・審査の透明性・公平性は概ね妥当であり、広く国際公募を実施し外国人も含め多数の応募の結果採用を行い、研究者の高い成果を得るに至っている点は評価できる。しかし、今後も研究分野を特定しない募集形態を実施することの戦略的意義を明らかにすることが望まれる。また、結果として自校関係者の割合が高く女性採用者が無かったことから、多様性のある幅広い人材を確保するための公募のあり方や審査の方法などの取組について一層の改善が必要である。

3.人材養成システム改革(上記2.以外の制度設計に基づく実施内容・実績)

 十分な研究環境が与えられており、若手研究者の独立性は概ね確保されているといえる。若手研究者のコモン・ルームの設置、異分野交流の機会など、研究倫理向上も含め人材育成に配慮されていると思われる。今後、教育能力向上にも配慮しつつ、一層若手研究者育成の具体的施策を工夫することが望まれる。また、部局への依存性の高さが懸念されるため、高等研究院と部局との関係、および部局間の関係などについての全学のイニシアティブについて十分な配慮のなされることが求められる。  

4.人材養成システム改革(上記2.以外の制度設計に対するマネジメント)

 若手人材支援を目的とした既設の高等研究院を母体としたシステムであり、人文・社会系へのテニュア・トラック制度導入の取組を行うなど、システム改革に向けた大学全体の意欲は高く評価される。なお、部局の自主性に任せすぎることなく、学長のリーダーシップを発揮して全学的にシステム改革を定着させる必要がある。優秀な人材が転出した事実については、本課題が提供する研究環境、キャリアパスの見通しの牽引力などが十分であったか分析が必要であり、若手研究者へのアンケート結果と併せて、PDCAサイクルを活用してマネージメントシステムを充実させることが求められる。  

5.実施期間終了後の継続性

 プログラム終了後も、自然科学系および人文、社会系で継続的に人材を採用する計画となっており、本プログラムの継続、発展について期待できる。今後は、既存の人事システム改革との整合性をとり、本課題で構築しようとする制度、全学へ展開する仕組み、更には自己資金計画など定着に向けた継続性の担保をさらに明確にしていく努力を期待したい。  

(4)評価結果

総合評価今後の進め方進捗状況 国際公募・
審査・
業績評価
人材養成
システム改革
(実施内容・実績)
人材養成システム
改革
(マネジメント)
実施期間終了後の
継続性
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お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

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