1.総論

平成20年度 科学技術振興調整費による中間・事後評価結果等について

平成20年12月11日
科学技術・学術審議会
研究評価部会

1.はじめに

 平成20年度の科学技術振興調整費による実施課題の中間・事後評価については、総合科学技術会議の定める「国の研究開発評価に関する大綱的指針」、「科学技術振興調整費の活用に関する基本方針」、また、文部科学省が定めた「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」等を十分に踏まえた評価を実施するため、平成20年7月31日に開催された本部会において、「平成20年度科学技術振興調整費による実施課題等の評価の実施について」を決定したところである。
 当該事項に基づき、評価対象課題等の専門分野・領域等を勘案して、当該分野・領域の専門家及び有識者から構成される14の評価作業部会を設置し、これらの評価作業部会において、1.中間評価(18年度にスタートしたプログラムの課題及び18年度に開始した重要課題解決型研究の課題)及び、2.19年度に終了した課題の事後評価を実施した。
 具体的には、「戦略的研究拠点育成」、「新興分野人材養成」、「産学官共同研究の効果的な推進」、「若手任期付研究員支援」、「重要課題解決型研究」、「科学技術連携施策群の効果的・効率的な推進」、「若手研究者の自立的研究環境整備促進」、「地域再生人材創出拠点の形成」、「アジア科学技術協力の戦略的推進(機動的国際交流)」及び「重要政策課題への機動的対応の推進(緊急研究)」の10プログラムにより実施した課題(中間評価26課題、事後評価56課題の計82課題)について、書面評価・ヒアリング評価を行う等、調査・検討を行った。
 また、このうち「戦略的研究拠点育成」については、国際的に魅力のある卓越した研究拠点の創出を目指した取組みを評価するため、昨年度に引き続き、外国人評価者を評価作業部会に加えた。
 更に、昨年度に引き続きプログラムオフィサー(PO)が主査補佐として評価作業部会に参画し、評価作業部会運営に際して主査を補佐するとともに、課題管理等で把握した状況等の説明を行った。

2.平成20年度中間・事後評価の実施経緯

  各作業部会の開催経緯は別紙1のとおり。

3.評価結果

  プログラムごとの評価結果は以下のとおり(詳細:別紙2)
 なお、下記標記中の評価項目の内容については次のとおり。
【総合評価】
 A.所期の計画以上の取組が行われている
 B.所期の計画と同等の取組が行われている
 C.所期の計画以下の取組であるが、一部で当初計画と同等又はそれ以上の取組もみられる
 D.総じて所期の計画以下の取組である

評価結果

4.「C評価」、「D評価」について

  82課題中、「C評価」もしくは「D評価」となった課題は19課題(23%)。

  (参考) 昨年は、67課題中8課題(12%)

5.追跡評価

 「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」(平成17年9月26日 文部科学大臣決定)の中で、研究開発施策、研究開発課題等においては、終了後、一定の時間を経過してから、副次的効果を含め、研究開発の直接の成果(アウトプット)から生み出された効果・効用(アウトカム)や波及効果(インパクト)を確認することも、評価のあり方や制度運用の見直しに当たって有用であるとの観点から、追跡評価の一層の定着・充実を図ることが求められている。
 本年度は、生活者の立場を重視した科学技術や生活の場としての地域の活性化に向けた「生活者ニーズ対応研究」(平成12年度~平成16年度に終了した7課題)と「地域先導研究」(平成11年度~平成14年度に終了した14課題)の二つのプログラムを対象とし実施され、課題から生み出されたアウトカムやインパクトについて、一定の知見が得られている。
 具体的には、

  1. 「生活者ニーズ対応研究」プログラムでは、当該課題にかかる講座の新設や新規プロジェクトへの継承による成果の発展などが見られた。また、これまで研究対象として取り組まれてこなかった睡眠や疲労等の分野に総合的に取り組む切っ掛けを作るなど、新たな研究分野・課題の創生・創出につながっている。
  2. 「地域先導研究」プログラムでは、多くの課題の成果がその後発展型の地域振興プログラムのプロジェクトに展開されるなど、地域のサポートを得つつ実用化を目指して応用研究に展開し、また、そのうちのいくつかにおいては実用化に結びつくなど、地域活動振興への貢献が認められている。

等が追跡評価の結果として整理されたところである。

6.評価結果の反映

 今回実施した評価の結果については、以下のとおり今後の科学技術振興調整費の運用に反映させていくこととする。

○ 中間評価において「C評価」を受けた課題については、次年度以降の予算の削減も含め対応を検討。
○ また、評価を実施する上で評価作業部会委員等から寄せられた意見・コメントについては、今後の審査、課題管理及び評価のプロセスに適切に反映させていく予定。

(平成21年度公募要領に記載する事項)

  1. 「若手研究者の自立的研究環境整備促進」
  • 過度の内部登用を避けるための自校出身者の上限(例えば50%)設定
  • 時間をかけた国際公募などにより、広く優れた人材を募集
  • 外国人や女性の若手研究者を積極的に採用する

    等、公募要領において明確に記載する。

  1. 「地域再生人材創出拠点の形成」
  • 連携する自治体が申請する地域再生計画との具体的な関係性を明記することを公募の要件とし、審査の際にも重視する。
  • 選定に当たっては、新産業の創出や地域の活性化に資するのみならず、防災、環境、地域医療、少子・高齢化等の地域固有の社会ニーズの解決に資する取組を重視する。

    等、公募要領において明確に記載する。

 (その他)

  • 成果報告書の様式の工夫(採択時のミッションステートメントや採択条件と成果との対比の明確化、様式の簡略化)

7.評価結果の取扱

○ 評価結果のとりまとめに当たっては、被評価者に意見提出の機会を与え、評価プロセスにおける評価者と被評価者のコミュニケーションの確保を図ることとする。なお、被評価者から提出された意見は、事実誤認等の確認や、今後の評価方法等に反映する。

○ また、評価結果については、今後、総合科学技術会議の確認を得た後、インターネットでの公表・プレス公表を行う。

8.今後に向けて

 科学技術振興調整費に係る評価制度のさらなる向上のため、以下の事項について検討・改善を図るよう努めることとする。

 ○ 4段階評価をA、B、C、Dでは、目標どおり取り組んだ課題においても「B」評価となり、受け取り側においては、取組が悪かったのではないかとの印象を受けてしまうとの意見もある。S、A、B、Cとすることについて検討する。

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

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