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地域科学技術振興施策

カーボンナノチューブ発祥の地からベンチャー企業が誕生

2005年4月25日
愛知県・名古屋市同時発表

財団法人科学技術交流財団
知的クラスター創成事業本部



 名城大学理工学部材料機能工学科の安藤義則教授らが開発した、高結晶性単層カーボンナノチューブ製造技術をもとに、大学発ベンチャー「有限会社名城ナノカーボン」が4月25日に設立され、安藤教授が取締役に就任しました。これは、「愛知・名古屋地域知的クラスター創成事業」の成果による大学発ベンチャーとして3社目の設立になります。
 有限会社名城ナノカーボンは、カーボンナノチューブの量産化開発・用途開発を行う名城大学発のナノテクベンチャーで、高結晶性カーボンナノチューブをグラム単位で生産する技術を有しています。
 安藤教授は、カーボンナノチューブの発見者として著名な同大飯島澄男教授にその発見につながる試料を提供した経緯があり、長年カーボンナノチューブの研究に携わってきました。その意味で、カーボンナノチューブ発祥の地からナノテクベンチャー企業が誕生したこととなります。

 この件に関するお問合せは、下記までお願いいたします。

〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内2-4-7
財団法人科学技術交流財団 知的クラスター創成事業本部
科学技術コーディネータ 野田 正治、野々村 元男
電話:052-231-1656 FAX:052-231-1640



1.  名城ナノカーボンについて
 従来、結晶性が高く高品質なカーボンナノチューブを作製しようとすると、レーザー法などが使用されてきましたが、収量が低い(1日あたり数十ミリグラム程度と作製できる量が少ない)という問題点がありました。それを安藤教授らはアーク放電法を利用することにより、結晶性の高さを維持しつつ、1日あたり数グラムと100倍以上の収量を確保することに成功しました。
 図1に、一本の単層カーボンナノチューブの壁面にシリカガラスがナノコーティングされた状況を示しています。
 調査会社によると、カーボンナノチューブは2010年には約600億円の市場があるとの報告もあるように、高機能材料として非常に有望な素材です。しかしながら、結晶性の高いカーボンナノチュ-ブをまとまった量で入手するのが困難な状況であり、それを用いた応用商品の研究・開発を行いたくてもなかなか手を出せないという現状になっています。
 有限会社名城ナノカーボンはそういった要請に答えるべく、これら応用研究・開発を進めている大学や企業の研究所を対象に、結晶性の高いカーボンナノチューブの製造・販売を行っていきます。また、カーボンナノチューブの販売を進めていく中で、ユーザーニーズを汲み上げ、市場が要求するカーボンナノチューブを開発し、タイムリーに提供していくことを行っていきます。大量需要先には技術供与も視野に入れた装置販売も行っていく予定です。

(1)  所在地
名古屋市中区丸の内三丁目4-10
(2)  資本金
300万円
(3)  役員
代表取締役 橋本 剛
取締役 安藤義則(名城大学教授)
(4)  設立日
平成17年4月25日
(5)  事業内容
1. カーボンナノチューブの製造販売
2. カーボンナノチューブ製造装置の販売
3. カーボンナノチューブの受託研究・開発・コンサルティング
4. カーボンナノチューブの量産化開発
5. カーボンナノチューブの用途開発
(6)  売上げ目標
5年後 1億円毎
(7)  基本となる技術と特許
 名城大学安藤教授が開発した、単層カーボンナノチューブの製造方法及び装置とそれらに関連する技術と特許。
(8)  名城ナノカーボンの単層カーボンナノチューブの特徴・優位性
1. 単層カーボンナノチューブの結晶性が高く、高品質である。
2. 1日あたり数グラムとレーザー法に比べて100倍以上の効率で単層カーボンナノチューブが製造できる。
3. 単層カーボンナノチューブが巨大ネットとして作製される。
4. 単層カーボンナノチューブの精製が容易に行える。
(9)  用途について
 アーク放電法で作製されるカーボンナノチューブは図1にみられるように、巨大なネット状(30センチメートル程度)にできるのが特徴で、非常に軽く、図2にみられるように、1リットル容器にいれても質量は1グラム程度にしかなりません。
 一般的な粉状と違い、単層カーボンナノチューブの集合体として製造できるため、単体としては、束状になった糸としての利用が期待されます。
 また、複合材としては、高導電性あるいは高機械的強度を持った材料が作製できることが期待されています。その他、単層カーボンナノチューブの持つ電気的・機械的・化学的・熱的性質などを活用できる用途はこれからさらに拡がっていくことが期待されます。

図1 図2
図1 30センチメートル以上のネット 図2 1リットル容器で1グラムの様子


2.  カーボンナノチューブと名城大学
 カーボンナノチューブは、1991年に当時NECに所属し、現在は名城大学の教授である飯島澄男博士によって世界で初めて発見されました。その飯島教授のカーボンナノチューブ発見のもとになった試料は、同大学の安藤義則教授によって作製されました。名城大学はいわば、カーボンナノチューブの“発祥の地”です。
 カーボンナノチューブはカーボン(炭素:原子記号C)でできた直径がナノメートル(1ナノメートルは百万分の1ミリメートル)オーダーのチューブ(管)です。6角網目状に配列したグラフェンシート(黒鉛と同じ構造)が筒状に巻いたチューブ状結晶で、高い電気伝導度を示すほか、炭素という軽い物質であるにもかかわらず機械的強度も強いので、電界放出電子源として有用であり、壁掛けテレビの電子源あるいは、小型のX線源として開発できれば、人体の中に挿入できる超小型のX線源として、有望であると言えます。このように、カーボンナノチューブはいわゆるナノテクノロジーの草分けであり、種々の応用が期待されています。

3.  アーク放電法による単層カーボンナノチューブの製造方法
 図3のような真空容器中に適当なガスを流し込み、直流アーク放電を行い、プラズマを発生させ、陽極側の触媒入りカーボン電極を蒸発させることにより、煤を発生させます。その煤の中に、高結晶性単層カーボンナノチューブが含まれています。ガスの種類と触媒の最適な組み合わせと蒸発時の製造条件により、結晶性の高い単層カーボンナノチューブをグラム単位で製造することが可能になりました。

図3

図3 カーボンナノチューブ製造装置の模式図


4.  高結晶性について
 電子顕微鏡で見てみると、精製前でも不純物が非常に少なく、ラマンスペクトルから結晶性が良いことが確認できました。精製すると不純物はほぼ除去できています。

 電子顕微鏡写真
図4
図4. (a)、(b)精製前 (c)、(d)精製後

-- 登録:平成21年以前 --