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国産手術支援ロボットシステムを事業化-文部科学省START事業発のベンチャー企業の設立-

平成26年6月2日

東京工業大学
文部科学省

 東京工業大学精密工学研究所の只野耕太郎准教授、川嶋健嗣客員教授(東京医科歯科大学生体材料工学研究所・教授)らは、先端医療機器の開発・製造を行う「リバーフィールド株式会社」を設立しました。
 同社は、空気圧を用いて精密制御を実現する技術を基盤として研究開発した手術支援ロボットシステムなどを広く、早く市場に普及することを目指します。具体的には、執刀医の頭部動作により直感的に内視鏡を操作できる内視鏡操作システムおよび力覚提示機能を有する小型かつ高機能な次世代低侵襲手術支援ロボットシステムを事業化します。
 今年度は、まず、内視鏡操作システムの国内外への販売を開始し、その後、国産手術支援ロボットを製品化・事業化します。
 この成果は、文部科学省の大学発新産業創出拠点プロジェクト(START)におけるプロジェクト「気体の超精密制御技術を基盤とした低侵襲手術支援ロボットシステムの開発」(研究代表者:只野耕太郎)によって、事業プロモーターユニットの株式会社ジャフコ(代表事業プロモーター:伊藤毅投資部産学連携投資グループリーダー)の協力の下に得られました。

1.開発の背景

 近年、外科手術において、術後の回復が早い、傷口が小さいなどの利点から、開腹手術に代わって低侵襲手術が広く行われています。低侵襲手術は身体への侵襲度が低い医療機器を用いた診断・治療で、特に内視鏡外科手術が注目されています。
 そうした中で、術者の手の動きを的確に再現しつつ、人間の手首以上の可動域を有し、正確な手術がより簡便に行える手術支援ロボットの普及が国内外で進んでいます。しかし既存の製品は高価で、臓器を触った感触、手術糸を引っ張った感覚が伝わらないなどの課題があり、術者は視覚に頼った手術を行っていました。
 また、手術支援ロボットを利用しない内視鏡外科手術では、カメラ助手が内視鏡の操作を行う必要があり、術者との円滑な意思疎通が求められることや手振れなどが問題となっており、内視鏡操作を支援する新たな医療機器の需要が高まっていました。

2.研究開発の内容

 東工大では、約10年前から空気による計測制御技術を使い、手術支援ロボットの開発を進めてきました。研究開発の結果、力センサーを用いることなく、鉗子(かんし、用語1)先端での接触力を鉗子根元部の空気圧アクチュエーター(用語2)の差圧から推定する方法を確立しました。また、限られた手術室内の広さを考慮し、電動駆動ではなく空気圧駆動により鉗子や内視鏡を操作するロボットアームを開発し、従来品に比べ軽量でコンパクトかつ低価格化が可能な特徴を有する手術支援ロボット(図1)を開発しました。手術支援ロボットの特徴は以下のとおりです。

  • 鉗子駆動部分、制御部分がコンパクト
  • 空気圧駆動により、構造がシンプルで低価格化が可能
  • 鉗子先端の力覚を術者にフィードバックする安全性の高さ

 また、手術支援ロボットの内視鏡を把持するロボットアームを利用して、術者の頭部に装着したジャイロセンサーが、前後、上下、左右の動きを検出し、頭の動きで内視鏡カメラを操作する内視鏡操作システム(図2)をあわせて開発しました。内視鏡操作システムの特徴は以下のとおりです。

  • 術者の意図通りにカメラアングルを操作可能
  • 空気圧駆動によるロボットアームの柔らかさを実現
  • ヘッドマウントディスプレイによる術者への3次元画像の提示

 これにより、術者は両手が塞がった状態でも内視鏡カメラを動かすことができ、カメラ助手がいなくても術者自身で手術することが可能となります。内視鏡操作システムは、2012年11月に一般医療機器として薬事承認を受けており、現在大学病院にて臨床試験を実施し、改良した製品を開発しています。

3.今後の事業展開

 今後は、リバーフィールド株式会社において最初の製品である内視鏡操作システムを2014年度中に国内外への販売を開始し、その後手術支援ロボットの製品化を進めていきます(図3)。その他、リバーフィールド株式会社では、空気圧による超精密制御技術と東工大の知財を活用し、さまざまな医療機器開発を手掛けていく予定です。

<企業概要>

社名:リバーフィールド株式会社
設立日:平成26年5月20日(火曜日)
所在地:東京都新宿区西新宿七丁目3番4号
資本金:1,000万円
役員:代表取締役社長 川嶋健嗣 ほか
事業内容:手術支援ロボット等の医療機器研究開発および販売
事業形態:医療機器製造販売業
製品・事業展開例:内視鏡把持システム、手術支援ロボット
Riverfield Corporation(※リバーフィールド株式会社のウェブサイトへリンク)
URL:http://www.riverfieldinc.com/

<大学発新産業創出拠点プロジェクトについて>

 大学発ベンチャーは、一般的にリスクが高い上、実用化されるまでに時間を要するため、民間の投資が敬遠される傾向にあります。そこで、大学発新産業創出拠点プロジェクトでは、ベンチャーキャピタルなどの民間の事業化ノウハウを持った人材を「事業プロモーター」として活用し、リスクは高いがポテンシャルも高い大学・独立行政法人などの技術シーズに関して、起業前段階から、事業戦略・知的財産戦略を構築し、市場や出口を見据えて事業化を目指します。

【参考図】

 手術支援ロボット

内視鏡操作システム

事業化体制図

【用語解説】

用語1 鉗子:手術で用いられるはさみに似た形状の器具
用語2 アクチュエーター:ロボットなどを制御する駆動装置。本研究開発では、空気圧制御によりアクチュエーターを駆動している。従来の電動駆動方式と比べて、空気の圧縮性による受動的な柔らかさを有し、人間との親和性に優れている。

【問合せ先】

東京工業大学精密工学研究所
川嶋健嗣 客員教授(東京医科歯科大学生体材料工学研究所教授)
Email:kkawa.bmc@tmd.ac.jp
TEL:03-5280-8163
FAX:03-5280-8167

東京工業大学広報センター
加藤美和子
Email:media@jim.titech.ac.jp
TEL:03-5734-2975
FAX:03-5734-2975

株式会社ジャフコ投資部産学連携投資グループ
伊藤 毅、橋爪克弥
Email:GC090@jafco.co.jp
TEL:03-5223-7086
FAX:03-5223-7088

文部科学省科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課
中澤恵太、名倉 勝
Email:start@mext.go.jp
TEL:03-6734-4023
FAX:03-6734-4172

お問合せ先

文部科学省科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課

(科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課)

-- 登録:平成26年06月 --