「安全・安心な社会の構築に資する科学技術政策に関する懇談会」(第13回)議事要旨

1. 日   時: 平成16年1月9日(金)15:30〜17:30
2. 場   所: 社会技術研究システム・第1会議室
3. 出席者:
(委   員) 中島尚正座長、井上孝太郎委員、小野芳郎委員、吉川肇子委員、高取健彦委員、竹内勤委員、堀井秀之委員、村山裕三委員
(講   師) 栗田暢之   特定非営利活動法人レスキューストックヤード事務局長
唐川伸幸   ホームアイランズセキュリティ協議会理事代表
(事務局) 有本科学技術・学術政策局長、井上科学技術・学術政策局次長、土橋調査調整課長、中村防災科学技術推進室長、内丸計画官付企画官

4. 議   題
(1) 各分野の現状と課題について
(2) その他

5. 議事概要
(1) 各分野の現状と課題について
a. 防災分野におけるNPO(民間非営利団体)活動について
   防災分野におけるNPO活動について、栗田暢之特定非営利活動法人レスキューストックヤード事務局長からご講演いただいた。
   主な講演内容は以下のとおり。
【内容】
   ・ 阪神淡路大震災等における被災者の方々が、どのような原因で亡くなったのか、どのように助け出されたのか、また何を備えておけば良かったと感じたのか、といった情報を整理し、世間に伝えていくことが重要である。
「災害に強いまちづくり」において、「自分の命は自分で守る」ということが言われているが、それができない人々(高齢者、重度障害者等)もいる。「自分たちの地域は自分たちで守る」という考えでないといけない。血縁・地縁・知縁(共通の問題意識などに基づく活動を通して知り合うことによって生まれる縁、ボランティア縁)で、自助や共助を深めていくことが、平常時において大切である。また、行政による公助にも限界があることを認識し、これまでの「行政任せ」の意識を変えていかなければならない。
参加してわくわくするような防災訓練のメニューを開発する必要がある。また、地域住民が自ら問題を設定し、その解決策を考え、実行するような訓練にしなければ、形ばかりの訓練となり、意味がないものになってしまう。
災害シミュレーション等、科学技術の向上によって災害のリアル感をだし、防災に役立てていくことが必要(ただし、被災者への配慮は必要)。また、研究者は住民の考えや気持ち、行動等を理解して研究開発を行わなければ、科学技術が絵に描いた餅になってしまう恐れがある。
   委員からの主な意見は以下のとおり。
【委員】
   ・ 防災は半永久的に続く問題である。小・中学生から防災に関する教育を実施していくことが重要であり、学校とNPOが協力して行っていく必要がある。また、子供が家に情報を持ち帰ることにより、周囲のコミュニティの防災意識も向上される。コミュニティにおける防災意識をいかに向上させるかがキーポイントであろう。
災害による被害の形態は、人間の行動パターンやいつ災害が起こるかによって異なる。それを想定しながら防災訓練を行うようにしなければならない。
防災への意識は、被災者を除き一般の人は疎遠な状況にある。行政や科学技術はNPOと協力しながら、人々の防災意識が向上するよう努めなければいけない。
NPOの活動が盛んなオランダでは、NPOを厳しく評価し認証する団体(Centraal Bureau Fondsenwerving:募金中央委員会)がある。その評価・認証を受けたNPOが、オランダの国全体で募金によって集められた資金の大半を受けており、間接的にNPOを支援するシステムが機能している。日本においても、健全なNPOが育成されることにより必要な資金が集まり、かつ、活動が社会的に評価されるNPOが選ばれていくような基盤作りが必要である。また、そのようなNPOの活動を支援する企業が、社会の中で認知されることも必要である。

b. ITセキュリティ分野におけるNPO活動について
   ITセキュリティ分野におけるNPO活動について、唐川伸幸ホームアイランズセキュリティ協議会理事代表からご講演いただいた。
   主な講演内容は以下のとおり。
【内容】
   ・ 9.11テロ以降、社会の安全をどのようにして守るかがトピックになっている。今後20年くらいは今のリスクを回避するソリューションはITに落ちるであろう。
「安心できる基盤の整備」が必要。「安全な基盤」を作ると非常にもろいものになり、必ず壊す人間が出てくる。キーワードは相互接続性(インターオペラビリティ)である。
標準化は、社会を結ぶための規律。標準化は、Object Management Group(OMG)等の技術の標準化を目的とした国際的な非営利団体において協議を行い、スペックを決定する。その決定事項をガイドライン化して標準と名づけ、各社、各組織が持ち帰って、導入することになる。
ガイドライン化の際には、競合関係にある組織同士をわざとぶつけ、より良い標準ができる。

(2) その他
次回開催は、1月20日(火)16時〜19時を予定。


(科学技術・学術政策局  計画官付)

-- 登録:平成21年以前 --