「安全・安心な社会の構築に資する科学技術政策に関する懇談会」(第12回)議事要旨

1. 日   時: 平成15年   12月12日(金)10:00〜12:15
2. 場   所: 社会技術研究システム・第1会議室
3. 出席者:
(委   員) 中島尚正座長、高取健彦委員、竹内勤委員、村山裕三委員
(講   師) 三上俊治東洋大学教授、永井正夫東京農工大学教授
(事務局) 小田原子力安全監、舟橋科学技術・学術政策局企画官、倉持基盤政策課長、土橋調査調整課長、吉田原子力規制室長、内丸計画官付企画官、岡本地震・防災研究課長補佐

4. 議   題
(1) 各分野の現状と課題について
(2) その他

5. 議事概要
(1) 各分野の現状と課題について
a. 災害情報とメディアについて
   災害情報とメディアについて、三上俊治東洋大学教授からご講演いただいた。
   主な講演内容は以下のとおり。
【内容】
   ・ メディア・情報は、社会の情報システムに組み込まれている。社会情報システムを構成する要素(情報環境、情報源、送り手、メディア、受け手)が、平常時あるいは危機状況においても有効に連携、組み合わさることが大事。度々起こる災害情報上の問題は、これら要素の連携ができていなかったり、必要な情報が流れないことにより生じている。
平常時から危機状況である災害が起こり、それが終息するまでの時間的なプロセスおよび空間的な状況によって、必要とされる災害情報が異なるため、時期や状況に応じた災害情報を適切なメディアから流すことが重要。
メディアに災害時に災害情報を伝達する上で求められる特性として、耐災害性、地域性が重要。また情報特性から考えると、速報性、信頼性、個別性が重要。
災害情報にはプラスの情報(被害状況、安否情報等)とマイナスの情報(流言飛語、誤報等)がある。このプラス・マイナスの両面を考慮した上で、個別性、災害情報に求められる特性や状況に応じた、メディア・情報というものを考える必要がある。
新しいメディアや情報とともに、口コミや高齢者が持っている知恵・体験等の古いメディア、情報等を有効に活用することが必要。
   委員からでた主な意見は以下のとおり。
【委員】
   ・ 危機状況における情報に関しては、その情報主体が誰で、どのようなメディアで流すのかをある程度決めておくべき。
高齢者の体験と知恵の活用を、日ごろから掘り起こし、活用することをしなければならない。
様々なインフラ(携帯電話、デジタル防災無線等)が整備されているが、災害直後の何週間かは、基本的にコミュニティの力が重要であろう。しかし、日本ではコミュニティが崩壊している地域が多く問題である。
防災教育や災害リスクに関する教育を、小学校レベルから行う必要がある。
災害への対応は、一地域で行うには限界がある。被災地域と別の地域との連携システムが必要ではないか。

b. 交通事故対策について
   交通事故対策について、永井正夫東京農工大学教授からご講演いただいた。
   主な講演内容は以下のとおり。
【内容】
   ・ 交通事故は、右肩上がりに単調増加している。また、日本社会の超高齢化に向けて、増える可能性が高い。これは、国にとってもかなりの損失である。
交通事故対策に関しては、いろいろな省庁が個別に行っているが、大きな目標を決め、その達成に向けて連携を図りながら対策を行っていくことが必要ではないか。目標の一つとしては、小泉首相が談話で言った「今後10年間で交通事故死者数を半減」があげられる。
自動車技術会では、将来の交通と安全を広く検討する委員会を1年半前から発足している。また、交通安全というのは非常に広い社会の問題であり、学会として啓発活動を行っている。
交通事故の右肩上がりの増加傾向を止め、下向きにしたい。そのためには、ヒヤリ・ハットの原因の究明を行い、事故の予防安全の考え方や技術、インフラ整備、交通安全教育といったものへと結びつけていきたい。
   委員からでた主な意見は以下のとおり。
【委員】
   ・ 事故の裏側には、何十倍ものヒヤリ・ハットがある。それを究明し解決することができれば、交通事故が減るというのは一つの考え方である。
あまりに自動化を進めすぎると、人間の認識能力、判断能力がなくなり、何かあったときには、人間が何もできなくなってしまうという問題もある。
社会科学的な側面から、交通事故の抑止を考えてみるのが良いのではないか。
車両の汚損や軌跡等から事故の原因を解明する方法もあるが、法医学の観点から、死体の損傷状況から、事故の原因となった車の行動を解明する方法もあるのではないか。

(2) その他
次回開催は、1月9日(金)15時〜18時を予定。


(科学技術・学術政策局  計画官付)

-- 登録:平成21年以前 --