「安全・安心な社会の構築に資する科学技術政策に関する懇談会」(第11回)議事要旨



1. 日   時: 平成15年   11月28日(金)13:00〜16:00
2. 場   所: 社会技術研究システム・第1会議室
3. 出席者:
(委   員) 中島尚正座長、井上孝太郎委員、河田恵昭委員、吉川肇子委員、堀井秀之委員、御厨貴委員、村山裕三委員
(講   師) 前田雅英東京都立大学教授、小野芳朗岡山大学教授
(事務局) 林科学技術・学術政策局長、井上科学技術・学術政策局次長、河村政策課長、川端計画官、土橋調査調整課長、倉持基盤政策課長、内丸計画官付企画官

4. 議   題
(1) 各分野の現状と課題について
(2) その他

5. 議事概要
(1) 各分野の現状と課題について
  a. 防犯カメラとプライバシー問題について
   防犯カメラとプライバシー問題について、前田雅英東京都立大学法学部教授からご講演いただいた。
   主な講演内容は以下のとおり。
【内容】
最近10年間で、重い犯罪がものすごい勢いで増加している。また、検挙率が、非常に落ちている(約6割→2割を切った)。このことを国民が肌で感じるようになってきたため、防犯カメラに対する拒否反応が減少していると思われる。
最近では、防犯カメラの設置に関し、特に一定の正しい目的があれば、憲法上の肖像権侵害等の問題も、ある程度甘受せざるを得ないという、バランス論になっている。
防犯カメラ設置のガイドラインは、善良な設置管理者を置き、利用管理の規則の管理を定めることがポイントとなってくる。
現在、自治体レベルでの防犯カメラの規制の話が進んでいるが、今後、国レベルでの規制の議論がでてくるであろう。
犯罪が増加傾向にある現状では、防犯カメラは増加し続けていくであろう。最近では、地域の安全のためにボランティアで資金を集め、防犯カメラを設置している地域が増えてきている。
 委員からの主な意見は以下のとおり。
【委員】
何かの危険を感じた場合に、防犯ベル的なものを押すと防犯カメラが監視してくれるような、自分から積極的に監視を受けるようなシステムにすれば、プライバシーと監視の両立ができるのではないか。
地域において、NPOやNGOで自警的な組織を編成して機能させるには、自警的な活動に対して法的な根拠を与えることが必要になる。そうしなければ、予防的な措置ができなくなってしまう。

b. 環境中の化学物質の安全性評価について
   環境中の化学物質の安全性評価について、小野芳朗岡山大学環境理工学部教授からご講演いただいた。
   主な講演内容は以下のとおり。
【内容】
化学物質の安全性は、数値データだけでなく、メダカ等の生物的指標を用いた評価結果を用いて説明した方が、一般の方々にも理解されやすい。
日本は、改正化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(新規化学物質の規制:平成16年4月施行)やPRTR法(有害物質の排出規制)といった法律を整備し世界に先んじているが、どのような化学物質が製品中に含まれているかの情報がほとんどないのが現状。
化学物質は、非常に種類が多いため、生物の体内に入ってきやすい化学物質から対応していくのが合理的。
従来のリスクアセスメントでは非常に時間がかかる。そこで、人間に到達するまでの生態系のヒエラルキーの各段階において生物試験評価を行うことにより、有害な化学物質に対する早期警戒システムの構築が必要。
一方で、有害化学物質の除去・処理技術の開発も進めなければならない。PCBの処理がようやくはじまったばかりである。これから日本は60,70年代のつけを払わなければならない。
   委員か主な意見は以下のとおり。
【委員】
都市災害が発生した際に、工業地帯が被害を受け様々な化学物質が流出した際の影響評価は行われていない。様々な化学物質が複合的な反応することによって生じるリスク評価を行わなければならない。
今後、化学物質の実態調査、生態系の影響評価、除去・処理技術の開発を進めなければならない。特に、生態系の影響評価において、長期にわたる影響をできる限り短期間に評価するためには、そのメカニズムの解明が大切。メカニズムを解明しモデル化できれば、未知の物質に対しても生態系に対しどのような影響が出るかある程度評価できるのではないか。
周辺国から出された有害化学物質は、大気や海流にのって日本にも影響を及ぼす可能性がある。日本国内だけで有害化学物質を規制しても不十分であり、国際的な取組みを行なう必要があるのではないか。

(2) その他
次回開催は、12月12日(金)10時〜12時を予定。


(科学技術・学術政策局  計画官付)

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