安全・安心な社会の構築に資する科学技術政策に関する懇談会(第5回)議事要旨

1. 日   時: 平成15年   6月23日(月)   10:00〜12:45
2. 場   所: 社会技術研究システム・第1会議室
3. 出席者:
(委   員) 中島尚正座長、井上孝太郎委員、河田恵昭委員、吉川肇子委員、たか取健彦委員、竹内勤委員、中西寛委員、御厨貴委員
(事務局) 市川惇信社会技術フォーラム顧問
林科学技術・学術政策局長、井上次長、有本大臣官房審議官、坂田大臣官房審議官、倉持基盤政策課長、伊藤計画官、内丸計画官付企画官、土橋科学技術振興調整費室長

4. 議   題
(1) 各分野における現状と課題について
(2) リスク・ハザードの整理・対策課題抽出について
(3) その他

5. 議事概要
(1) 各分野における現状と課題について
a. 巨大災害対策技術の現状と課題について
   巨大災害対策技術の現状と課題について、委員からプレゼンテーション。
   委員からの主な意見は以下のとおり。
【委員】
アジア地域等での巨大災害に対する日本の貢献は、感染症の防止など二次災害のケアがスコープとなるのでは。
グローバリゼーションの進展により、感染症の問題のように、日本の安全安心といっても国際的取組みが必要な(自国と他国を切り分けて考えられない)課題がある。
日本における二次災害の発生状況は?→阪神大震災のときの二次災害は火災だけ。
阪神の場合、火災による死者は全体の1割だったが、発生時の風の状況による。
防災には自助、共助、公助のレベルがあるが、日本人は自助の意識が薄い。
防災対策についてコスト検討は行われているのか。→これまでは被害をシャットアウトするための対策が検討されてきたが、技術だけで被害をゼロ(ゼロリスク)にできないということを前提とし、技術によってどこまで防ぐかについて受容リスクをきちんと設定して、評価することが必要。
アメリカが求めている防災関連技術は何か?→例えば耐震技術が日本に比べ遅れており、耐震補強をやり始めたところなので求められる技術ではないか。
防災関係でアメリカに学ぶ点は何か。→事後の被害拡大防止、復旧・復興対策のマニュアルや考え方。
市民レベルへの情報コミュニケーションが重要。
日本の医療体制は都心型で一極集中、大学病院も全部集中しているため、そこが壊滅したら、下町の病院は残ったとしても、そこに行く医者いないという状況も想定。
東京はローカル放送もなく、コミュニティができにくい。

b. 安全安心史観
   日本人が特に近代の明治前後から安全・安心観をどういうふうにつくってきたかという歴史的変遷等について、委員からプレゼンテーション。
   委員からの主な意見は以下のとおり。
【委員】
NGO等のボランティア行動は阪神・淡路大震災やナホトカ号油流出事故以前はあまり見られなかったように思う。情報により意識が変わった。
安全・安心観に歴史的継続性はあるのか。→昔の日本人は生活規律が秩序、安全安心感をもたらしていたが、近代化に伴い急速に崩壊。家族制度の崩壊により、安心感も変貌。

(2) リスク・ハザードの整理・対策課題抽出について
   リスク・ハザードの整理と対策課題抽出のための基礎資料作成の作業の進め方とそのアウトプットのイメージについて、事務局から説明。各委員の意見を踏まえ、今後の調査等に反映していくこととした。
   委員からの主な意見は以下のとおり。
【委員】
アウトプットで技術的対策と社会的対策が分けられているが、どう組み合せるかが実効あるものにするかが今日の問題であり、一体的に検討する必要がある。
→【事務局】技術的対策、社会的対策について、議論としては分離していない。最終的なアウトプットの整理として分類したもの。
リスク対策を考える場合、(結果的に技術的な対策や社会的対策に後づけで分けるとしても、)1予防段階、2直接的な防御段階、3普及も含めた事後対策、というフェーズで分けてみるとわかり易いのでは(例:アメリカの生物兵器テロ対策—社会技術も科学技術も含め、Surveillance、Preparedness、Awarenessの3段階の概念)。
対策については、難易性やコストの評価、対策の実施者(国、NGO・企業、個人等のレベル)を明確化する必要がある。

(3) その他
今後の懇談会の予定と議題について、事務局から説明。
次回開催は、7月1日を予定。




(科学技術・学術政策局  計画官付)

-- 登録:平成21年以前 --