安全・安心な社会の構築に資する科学技術政策に関する懇談会(第3回)議事要旨

1. 日   時: 平成15年  5月27日(火)   16:00〜19:00
2. 場   所: 社会技術研究システム・第1会議室
3. 出席者:
(委   員) 中島尚正座長、井上孝太郎委員、吉川肇子委員、高久田博委員、 たか取健彦委員、竹内勤委員、堀井秀之委員、御厨貴委員、村山裕三委員
(事務局) 市川惇信社会技術フォーラム顧問、 林科学技術・学術政策局長、広瀬審議官/原子力安全監、坂田大臣官房審議官、伊藤計画官、倉持基盤政策課長、土橋科学技術振興調整費室長
4. 議   題
(1)  各分野の現状と課題について
(2)  安全・安心の概念整理について
(3)  その他

5. 議事概要
(1) 各分野の現状と課題について
a. フィジカルセキュリティソリューション
   フィジカルセキュリティの現状と課題について、委員からプレゼンテーション。
   委員からの主な意見は以下のとおり。
【委員】
日本が国際競争力を持つ技術として質量分析を使用したトレース探知技術があるが、セキュリティ技術では、コンテナ検査やEDSなど、かなり国防費を使用している米国が先行。
トータルセキュリティの面から、内部の人間の破壊行為も念頭においた対策要。

b. 微生物によるテロを含む感染症の現況と問題点
   新たな脅威となっている新興・再興感染症のグローバルな現況および日本における取組みの状況と課題、バイオテロのオーバービューについて、委員からプレゼンテーション。委員からの主な意見は以下のとおり。
【委員】
感染症、寄生虫対策はこれからの重要な課題であるが、これまで糖尿病、がん、高血圧等の病気に95%以上のリソースを割いてきた結果、専門教育欠如、人材不足、研究レベルの低下により対応の困難化、国際性の不足が大きな課題。
エイズ、結核、マラリアによりもたらされている経済的負荷は膨大なものである。
HIV/AIDSも結核もマラリアも根絶は困難であり、共存・共栄、共生が目標。
サリン事件発生の際、アメリカは自国の問題として対処したが、日本では自国の問題としての認識が薄かったようで、政治、行政に事件の教訓が活かされていない。

c. 安全・安全保障のための科学技術の位置付け:経済安全保障の視点から
   経済安全保障の視点からの安全・安心技術の国のビジョン、科学技術の位置付けについて、委員からプレゼンテーション。
   委員からの主な意見は以下のとおり。
【委員】
安全安心技術の分野の市場性・成長性について、当面は政府の関与が必要だが、中長期的には成長分野となる可能性はある。
グローバルな医療、災害対策について、国際公共財としてのスコープで議論必要。

(2) 安全・安心の概念整理について
   事務局から、科学技術政策上の課題を抽出に向けた全体的なフレームワークおよび安全・安心な社会の構築に必要とされる要素について説明。議論の結果、事務局提案をベースにさらに具体的な調査・検討方法について検討を進めることとした。
   委員からの主な意見は以下のとおり。
【委員】
技術的対策と社会的対策という整理の他、行動を起こしにくくする環境段階、悪意を持った人の行動(被害)防止、災害が発生した後の被害を最小にする3段階のフェーズで対策を整理するのもわかりやすいのでは。
施策の説明付け、優先順位付けをしっかりやることが重要で、その優先順位付けする価値の軸となる安全・安心な社会のイメージや課題抽出のための検討軸の議論をしっかりやることが重要。
課題抽出のための指標として、日本の保有技術の国際競争力、国際性が必要。
国際性を判断するには文化人類学的な視点が必要。
リスクに対する対策を考える上で、安全・安心の他、信頼が心理学的に重要なキーワード。
制度的枠組みの課題検討にあたっては、法制度も含めスコープを広げて問題点を分析しておく。

(3) その他
平成16年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針(案)について
事務局より、総合科学技術会議で現在検討中の平成16年度資源配分方針の案の概略について説明。
SARSの診断及び検査手法等に関する緊急調査研究について
今後のプレゼンテーションの予定について
事務局から次回以降の懇談会におけるプレゼンテーションについて提案を行い、了承された。
次回開催は、6月10日を予定。




(科学技術・学術政策局  計画官付)

-- 登録:平成21年以前 --