安全・安心な社会の構築に資する科学技術政策に関する懇談会(第2回)議事要旨

1. 日   時: 平成15年  5月13日(火)   15:00〜18:00
2. 場   所: 社会技術研究システム・第1会議室
3. 出席者:
(委   員) 中島尚正座長、井上孝太郎委員、大野浩之委員、河田恵昭委員、
高久田博委員、たか取健彦委員、竹内勤委員、柘植綾夫委員、中西寛委員、堀井秀之委員、御厨貴委員、村山裕三委員
(事務局) 市川惇信社会技術フォーラム顧問、
林科学技術・学術政策局長、井上次長、広瀬審議官/原子力安全監、
坂田大臣官房審議官、伊藤計画官、倉持基盤政策課長、
土橋科学技術振興調整費室長
4. 議   題
(1)  ITセキュリティの現状と課題について
(2)  安全・安心の概念整理について
(3)  その他

5. 議事概要
(1) ITセキュリティの現状と課題について
ITセキュリティの現状と課題について、委員からプレゼンテーション。
各委員からの主な意見は以下のとおり。
【委員】
サイバーアタック、例えば交通システムを乱して交通事故が起こるとか、病院のシステムに入り込んで治療の面でおかしくしてしまうとか、そういう複合的なサイバーアタック対策について、暗号化やバイオメトリックスでパスワードのかわりができないかというようなことを進めているが、残念ながら抜本的に完全な対策はない。
危機管理教育が非常に重要。高等教育で危機管理講座など学問として成熟させるというようなシステムが必要では。
セキュリティ、危機管理の意識は強烈な事故の事例がないと浸透しないというのが現状。また、倫理が浸透しても犯罪は減らないのでは。技術でどこまで防げるかということも課題。
一般的な危機管理の中で、準備、対応、復旧、防止のサイクルが日本人は非常に不得手、それをどういうふうにしたら機能させることができるかというのが関心の的。
アメリカのNPISP(National Plans for Infrastructure Security Protection:国家重要インフラに対する国家計画)のような、セキュリティのナショナルプランが必要。
NIRT(National Incident Response Team:緊急対応支援チーム)ような機能は、産業界自身にも必要。
冷戦時代の脅威技術はすべて軍事技術であり管理できたが、コンピュータのようにだれでも簡単に手に入り脅威となり得えるものは、それをいかに管理するかというのは非常に大変な問題、以前の管理でき得た時代とは全く違う発想での対処要。
開発途上国とのデジタル・ディバイドは、いまでも非常に大きな問題。

(2) 安全・安心の概念整理について
・各委員から試案いただいたリスク(ハザード)マッピング等の整理法および社会技術研究システムのミッションプログラムで開発している方法論とそれを用いた政策課題・技術開発課題の抽出法について説明。
・今後、本議論を踏まえ、整理手法として、トップダウン方式とボトムアップ方式の両手法をベースに更に検討を進めていくこととした。
   委員からの主な意見は以下のとおり。
【委 員】
○整理方法について
リスクマッピングには、トップダウン、ボトムアップの片側だけでは漏れや誤判断の可能性があるため、両方で整理するのがよい。
情報可視化には幾つか手法があるが人間はやはり二次元が一番ハンドルしやすい。
○政策課題の考え方について
社会技術として、単なる安全工学的なリスク低減だけでなく、それをアセンブルして、一般人が全体をうまくハンドルできるようなものになっているかチェックが必要で、そのためのシミュレーションや技術が必要。
ゼロリスクは不合理である。(防災でインフラ整備をやってもゼロは不可能なように)被害があっても被害を最小限にする、リスクを社会的に受容できる一定レベル以下に抑えるようなリスクを包含したシステムの構築が必要。
人間がこの地球の上で生存してくための許容度と痛みに耐える許容度について、どこかで折り合いをつける必要がある。
共栄、局所化といった思想が必要。

(3) その他
平成16年度科学技術分野重点事項について
事務局より、文部科学省の平成16年度に新たに強化すべき取組の一つとして「安全・安心な社会を構築するための科学技術の推進」をあげており、科学技術による対応、社会的な対応について、本懇談会での議論を踏まえ16年度具体的施策を検討する旨説明。
今後のプレゼンテーションの予定について
事務局から提案を行い、了承された。
次回開催は、5月27日を予定。




(科学技術・学術政策局  計画官付)

-- 登録:平成21年以前 --