理数学生応援プロジェクト(平成20年度採択大学)事後評価について

 理数学生応援プロジェクトでは、委託期間を終了した大学について、事業の成果等を確認するとともに、事業終了後の取組について適切な助言や改善点の指摘を行うことにより、事業成果の普及や事業の継続・発展を図ることを目的として、事後評価を行うこととしています。
 この度、平成20年度に採択された5大学を対象として事後評価を行い、以下のとおり評価結果を取りまとめました。

1. 事後評価方法

 「優秀な理系学生の養成に関する事業」企画評価委員会において、事後評価対象大学(平成20年度採択5大学)から提出のあった最終報告書および追加提出資料に基づき面接審査を実施し、以下の4区分における評価(絶対評価)を行いました。

〔評価の区分〕

A 優れた成果をあげているとともに、委託期間終了後の事業の継続性・発展性も高く、今後も非常に期待ができる。
B 事業の成果又は事業の発展性・継続性に一部課題があるが、総合的には評価できる事業である。
C 事業の成果や継続性に問題が見られるため、今後の改善を期待する。
D 事業の成果や継続性に問題が大きく、期待していた事業とはなっていない。

2. 事後評価結果

事後評価の結果は下表のとおり。

 

大学数

総数

5

A評価

4

B評価

1

C評価

0

D評価

0

中間評価結果詳細

実施大学

評価

企画評価委員会からの所見

総評

 各大学の取組は、一部改善が望まれる部分があるものの、概ね適切に実施されたものと判断される。また、委託期間終了後も、一部事業実施のための経費確保の問題があるものの概ね事業は継続されているものと判断される。

鹿児島大学

B

  • 学生の意欲を引き出し、主体的な学習を奨励するインテンシブ・サイエンスクラブなど、有効な企画を継続して実施していこうとする姿勢は評価でき、引き続き大学としての支援に期待したい。
  • ただし、事業の成果等を判断するための定量的分析が不十分であり、今後、他大学の大学院への進学も含めた大学院進学率の推移等のデータをそろえながら、検証を深めていくことが必要であると考えられる。
  • 選抜段階での学生の確保については、一定の工夫がなされつつあるが、学年が進んでからも学生が継続的に参加しやすいよう、履修負担の軽減等の工夫が望まれる。

愛媛大学

A

  • 従前からの取組を基盤としつつ、学部横断型の全学的な特別コースを効果的に充実させ、成果と課題の把握・検証がしっかり行われており、事業終了後も継続が期待できる体制が整えられていると評価できる。
  • 特に、大学院進学者の大幅増や適切な進学先の選択に伴う進学地域の全国化という点で、本プロジェクトによる目立った成果が上がっている。
  • AO入試については、全体としては募集人数になお届かないという状況が続いているものの、理科実験で課題を課す方法は大変独自性があるとともに、出身高校の多様化・広域化が進んでいる点などは評価でき、今後の更なる取組に期待したい。
  • 自律学習プログラムや既存の海外語学研修との組合せも効果的であり、引き続き実施できるように取り組むことを期待する。

東京農工大学

A

  • SAIL入試が積極的な高大連携を通して効果を上げているとともに、質疑応答の重視、定量的評価基準の明示と自己評価等、育成方針や方法論が明確かつ独自性があり、成果や課題もよく分析されていると評価できる。
  • 取組の制度化も進み、他大学のモデル的な存在となっており、今後、工学部全体に着実に拡大されていくことを期待する。
  • 一方で、当初目標の一つとして掲げていた大学院早期進学や、中間評価時に指摘した国際性の涵養については、代替する一定の成果は上がっているものの、今後の更なる取組に期待したい。

東北大学

A

  • 全体として先進的かつ意欲的に取り組まれており、大学院進学率などの成果を上げつつ、制度化も進んでおり、今後の継続性・発展性についても期待できると評価できる。
  • 一方で、今後、自主性を育む観点についても、一層留意しながら取り組んでいただきたい。
  • 英語力や大学院飛び入学については、数値目標を下回っているが、海外大学との交流などを通じ、実質的に相応の成果が上がっていると判断できる。ただし、達成目標には一定の意味があると考えられるので、今後その達成に向けた取組に期待したい。

北海道大学

A

  • 入試・選抜方法について、高大連携も積極的に進めながら、様々な検討がなされているとともに、学内インターンシップなど早く専門分野を学びたい意欲的な者に適したプログラムとなっており、個々の取組の成果も着実に上がりつつあると評価できる。
  • 一方で、本プログラム全体として育っている学生像が必ずしも明確ではないと思われる。
  • 今後については、総合入試の導入や経費上の制約を踏まえながら、有効な企画を継続・発展させていくため、大学としての更なる工夫・支援を期待したい。

「優秀な理系学生の養成に関する事業」企画評価委員会委員

(座長)

坂口 謙吾

東京理科大学総合研究機構教授

 

今井 勝

明治大学農学部農学科教授

 

植田 利久

慶應義塾大学理工学部機械工学科教授

 

大澤 寛

木更津工業高等専門学校電気電子工学科教授

 

田口 哲男

高崎市立高崎経済大学附属高等学校校長

 

立川 仁典

横浜市立大学大学院生命ナノシステム科学研究科教授

 

中村 健蔵

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構特任教授

 

東島 清

大阪大学理事・副学長

 

森田 康夫

東北大学教養教育院総長特命教授

 

渡邉 賢一

一般社団法人元気ジャパン代表理事

 

渡辺 美代子

株式会社東芝イノベーション推進本部イノベーション推進部参事

(敬称略)

お問合せ先

科学技術・学術政策局基盤政策課

(科学技術・学術政策局基盤政策課)

-- 登録:平成24年11月 --