研究活動上の不適切行為(二重投稿)の認定について

【基本情報】

番号

2018-04

不正行為の種別

二重投稿

不正事案名

研究活動上の不適切行為(二重投稿)の認定について

不正事案の研究分野

工学

調査委員会を設置した機関

大学

不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名

准教授

不正行為と認定された研究が行われた機関

大学

不正行為と認定された研究が行われた研究期間

告発受理日

平成29年11月22日

本調査の期間

平成30年1月15日~平成30年7月30日

不服申立てに対する再調査の期間

報告受理日

平成30年10月1日

不正行為が行われた経費名称

学術研究助成基金助成金

 

 

【不正事案の概要等】

◆不正事案の概要

1.告発内容及び調査結果の概要
  本件は、平成29年11月に学会より准教授が発表及び投稿した論文が二重投稿との報告を受け、大学では、これを不正行為の告発として受け付け、研究活動上の不正行為に関する取扱規則に基づき、予備調査及び本調査を実施した。
  調査の結果、研究活動における不適切行為である「二重投稿」が行われたものと認定した。
 

2.本調査の体制、調査方法、調査結果、不正行為と認定した理由
(1)調査委員会による調査体制
   10名(内部委員5名、外部委員5名)


(2)調査の方法
 1)調査対象
  ア)対象者:准教授
  イ)対象論文:学会から報告を受けた論文2編及び学会調査対象論文4編、准教授が発表した同様のキーワードを有する論文2編

 2)調査方法
・調査方法及び調査範囲の決定
  ・調査対象論文8編に対する各委員の精読による学術的成果の検証
  ・准教授への事情聴取
  ・関係者への書面による質問

(3)結論
   調査対象論文8編のうち2編について、研究活動における不適切行為である「二重投稿」が行われたものと認定した。

  (認定理由)
   准教授は、研究者としてわきまえるべき基本的注意義務を怠り、大学紀要へ投稿した論文に、学会誌投稿時までの研究活動を加えまとめ直し、引用を記載せず学会誌に学術的成果が本質的に同じ論文を投稿したため、二重投稿と認定した。
 

3.不正行為に直接関連する経費の支出
  二重投稿を認定した論文2編について以下の不適切な支出があった。
   ・日本学術振興会からの科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金) 56,748円(論文掲載料、論文抜刷料)

◆研究機関が行った措置

 二重投稿と認定された論文について、既に、削除措置を受けている論文1編を除き、准教授へ論文取下げの勧告を行った。
 また、准教授には、大学関係規則に基づく適切な措置及び、不正行為に直接関連する支出の返還を求める措置を行った。

◆発生要因及び再発防止策

1.発生要因

 大学では、研究者行動規範を制定し、自らが生み出す専門知識や技術の質を担保する責任を持つ者として、社会からの信頼と負託に誠実に応えるべき責務を負っていることを自覚した上で、日々の研究活動に取り組むこととしている。
 これまで、教職員に対して、研究者倫理の向上及び不正行為防止に関する説明会を開催するとともに、CITI Japanの受講による研究倫理教育を行ってきたところであり、准教授もCITI Japanの研究倫理教育を修了しているところではあるが、このたび、二重投稿の行為は、研究者としての行動規範及び研究倫理に関する認識の甘さが原因と言わざるを得ない。
 

2.再発防止策

・従前より、研究者倫理の向上及び不正行為防止に関する説明会等を実施しているが、新たに教職員及び学生に対して、研究活動における不正行為の再発を防止するため、注意喚起文を配布し不正行為防止を改めて徹底する。また、併せて教員に対し、関係する研究活動について再点検を促し、問題があった場合には、修正等、迅速に対処するよう指導する。

・研究者倫理の向上及び不正行為防止に関する説明会等の未受講者に対し、ウェブやDVD 等による受講を、今年度中に受講するよう積極的に促し、教職員のさらなる意識向上を図る。

 

◆配分機関が行った措置

 特定不正行為は認定されていないため、研究者に対する競争的資金への申請及び参加資格の制限は行わない。なお、科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)について、二重投稿と直接的に因果関係が認められる経費の支出があったため、資金配分機関である日本学術振興会において、経費の返還手続を行った。

 

お問合せ先

科学技術・学術政策局研究環境課

研究公正推進室
電話番号:03-6734-3874
メールアドレス:jinken@mext.go.jp

(科学技術・学術政策局研究環境課研究公正推進室)