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筑波大学人文社会系所属教員による研究活動上の不正行為(盗用)の認定について

【基本情報】

番号

2016-01

特定不正行為の種別

盗用

不正事案名

筑波大学人文社会系所属教員による研究活動上の不正行為(盗用)の認定について

不正事案の研究分野

政治学

調査委員会を設置した機関

筑波大学

特定不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名

筑波大学人文社会系 准教授(当時)

特定不正行為と認定された研究が行われた機関

筑波大学

特定不正行為と認定された研究が行われた研究期間

-

告発受理日

平成27年11月25日、平成28年1月13日、同1月21日、同2月3日

本調査の期間

平成28年2月3日~3月9日

不服申立てに対する再調査の期間

なし

報告受理日

平成28年4月14日

特定不正行為が行われた経費名称

なし


【不正事案の概要等】


◆不正事案の概要

  1. 告発内容及び調査結果の概要
       本件は、筑波大学人文社会系准教授(当時)が同大学在任中の平成26年に発表した論文2報(論文1、論文2)について、他者の論文を剽窃(ひょうせつ)している疑いがある旨の告発(日本政治学会への匿名の告発、同大学教員からの告発及び同大学窓口への匿名の告発)を受け、筑波大学研究公正規則に基づき、調査委員会を設置し、調査委員会において、指摘があった同准教授の論文と引用されたとする論文について照合し、対比表を作成するとともに、同准教授への事情聴取を行ったものである。
       調査の結果、研究活動における特定不正行為である「盗用」が行われたものと認定した。
    【告発者から告発のあった不正の態様及び特定不正行為であるとする理由】
    (1) 不正の態様
       同准教授が他者の論文を適切な引用なく剽窃(ひょうせつ)した疑い。
    (2) 研究活動における特定不正行為であるとする理由
       同准教授が発表した論文2報に、他者の論文とほぼ同一の文章が、段落を下げるなど引用文と本文の区別なく記載されていること。

  2. 筑波大学における本調査の体制、調査方法、調査結果等について
    (1) 調査委員会における調査体制
        5名 (内部委員2名、外部委員3名)
    (2) 調査の方法等
       1)調査対象
          ア)対象者 :人文社会系 准教授 (当時)
          イ)対象論文
            告発者から不正行為の疑いがあるとの指摘があった論文2報
            (同准教授が筑波大学在任期間(平成24年7月から平成28年3月)中に発表した全論文)
       2)調査方法
       告発において指摘のあった論文及び引用されたとする論文について照合し、調査委員会において対比表を作成し精査するとともに作成した対比表に基づき、同准教授から事情聴取を行った。
    (3) 本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論
        告発者から研究活動における不正行為の疑いがあると指摘があった、同准教授が発表した2論文に関し、調査委員会による調査結果を踏まえた筑波大学の結論は以下のとおり。

    (結論)
        文献照合、対比表による精査及び同准教授の弁明を総合的に検証し、筑波大学研究公正規則及び「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)で定義する研究活動における特定不正行為である「盗用」(他人のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を、了解若しくは適切な表示なく流用すること)が行われたものと認定した。

    (認定理由)
    (1) 論文1については、同准教授の弁明によれば、石橋湛山とチャールズ・テイラーを比較(引用)しながらそれを説明するということを繰り返して書いていたつもりであったが、文字数に制限があったため脚注は割愛してしまったとのことであった。しかしながら、チャールズ・テイラーに関して論じた部分(pp.134-136)150行中59行及び、石橋湛山に関して論じた部分(pp.136-140)120行中18行、更にチャールズ・テイラーに関して論じた部分(pp.140-141)82行中75行が、段落を下げるなど引用文と本文の区別なくほぼ同一の文章が記載されていること。
    (2) 論文2については、同准教授の弁明によれば、part1でテイラー研究の第一人者の論を引用した上で、part2の最後に、同氏とこれまで一緒に研究してきた経緯も含めて、引用したことを書こうと思っていたとのことであった(part2は未発表)。しかしながら、論文2の本文のほぼ全ての文章が、引用されたとする論文の文章とほぼ同一のものとなっていること。
      また、本文のみならず、脚注4)から10)までが、引用されたとする論文の脚注とほぼ同一であり、さらには、節の構成、引用文献及び引用箇所の表記についても、引用されたとする論文とほぼ同一であるにもかかわらず、引用文献に引用されたとする論文の記載がないこと。

  3. 認定した不正行為に直接関連する経費の支出について
       教員が日常行う活動に対する経費(運営費交付金)により実施された研究活動であるが、特定不正行為(盗用)と認定された論文の作成過程において直接的に関係する支出は認められなかった。

◆研究機関が行った措置

  1. 競争的資金等の執行停止等の措置
       競争的資金等の因果関係が認められる経費の支出はなかったことから、執行停止等の措置は講じていない。

  2. 同准教授に対する筑波大学の対応(処分等)
        准教授は、平成28年3月31日に任期満了により退職したが、在職していた場合の懲戒処分の該当性等について、懲戒審査委員会において審査を行った。審査結果に基づく処分等ついては、同人が既に退職していることから、懲戒審査委員会で検討した結果、非公表にすることと判断した。

  3. 論文の取下げ
       学長から同准教授に対し、平成28年4月6日付けで、当該論文の取下げの勧告を行った。

◆発生要因及び再発防止策

(発生要因)
    本件は、同准教授の研究者倫理の欠如により引き起こされた事態である。筑波大学では、平成19年1月に「筑波大学における研究の公正な推進のための行動規範」を策定し研究者倫理向上のための啓発活動を行うとともに、「筑波大学研究公正規則」を制定し、不正行為の申立窓口や調査体制の整備、調査の手順等を確立する他、パンフレットの作成、ホームページの開設、説明会の開催や、大学院学生に対しては共通科目「研究倫理」の開設など、全教員及び全大学院生に対し継続的に研究者倫理の向上や不正行為防止対策に努めてきたが、同准教授が論文を発表した時点では、上記の啓発活動について極力受講するよう推奨していたものの、受講の義務付けや厳格な出欠管理まではしていなかった。
また、紀要については、筑波大学大学院人文社会科学研究科文芸・言語専攻において査読体制をとっていたものの、当該研究内容の専門家が専攻内にはおらず、外部の専門家の査読までは行われていなかった。


(再発防止策)
    筑波大学ではガイドラインを踏まえ、平成27年5月に「筑波大学研究公正規則」を一部改正し、研究者の責務として、「研究者等は、研究者倫理及び研究活動に係る法令等に関する研修又は科目等を受講しなければならない」旨の受講の義務付けを規程上明確化したところであり、この規程に基づき、研究者等に対して、以下の研修等の受講を徹底する。
   ・CITI Japanなどのe-ラーニングの定期的な受講を徹底する。
   ・「研究倫理に関する研修会」を開催し、研究者倫理の向上及び不正行為防止について周知徹底する。
   ・新任教員に対しては、新任教員研修において、新入生に対しては、新入生オリエンテーション等において、引き続き研究者倫理の向上及び不正行為防止について周知徹底する。
   加えて、各部局においても、研究倫理教育責任者が、平成28年度内に研究不正行為の防止について部局内の全研究者等に対して啓発を行うことを義務付け、大学本部においてその実施状況を確認するとともに、査読体制を強化する。
   これらの研修等について、大学本部が実施主体となる研修については、総括管理者が履修状況(出欠)を管理するとともに、部局において実施する啓発については、研究倫理教育責任者が実施状況及び履修状況(出欠)を管理し、部局責任者を通して、その状況を総括管理者に報告することにより、総括管理者が全体を把握することとする。


◆配分機関が行った措置

   本件は競争的資金による経費の支出がなく、かつ平成26年に不正が行われた事案であることから、研究機関及び研究者に対する競争的資金の返還並びに研究者に対する競争的資金への申請及び参加資格の制限は行わない。


お問合せ先

科学技術・学術政策局人材政策課

研究公正推進室
電話番号:03-6734-3874

(科学技術・学術政策局人材政策課研究公正推進室)

-- 登録:平成28年05月 --