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熊本大学医学部附属病院所属教員による研究活動上の不正行為(捏造(ねつぞう))の認定について

【基本情報】

番号

2015-09

特定不正行為の種別

捏造

不正事案名

熊本大学医学部附属病院所属教員による研究活動上の不正行為(捏造(ねつぞう))の認定について

不正事案の研究分野

検査医学

調査委員会を設置した機関

熊本大学

特定不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名

熊本大学 医学部附属病院 助教

特定不正行為と認定された研究が行われた機関

熊本大学

特定不正行為と認定された研究が行われた研究期間

-

告発受理日

平成24年5月21日(自己申告による)

本調査の期間

平成24年5月21日~平成26年3月20日

不服申立てに対する再調査の期間

なし

報告受理日

平成27年5月21日

特定不正行為が行われた経費名称

科学研究費補助金

※捏造と直接的に因果関係が認められる経費の支出はなかった


【不正事案の概要等】

◆不正事案の概要

  1. 告発内容及び調査結果の概要
       本件は、熊本大学医学部附属病院助教(以下「助教」という。)から、自らが責任著者である平成17年4月に発刊された論文に不正疑義(実験データの流用)があるとの自己申告を受け、熊本大学調査委員会において、自己申告のあった論文を含め、助教が著者となっている全論文82報を対象に研究者への聞き取り調査及び書面調査により調査を行ったものである。
        調査の結果、自己申告のあった一報の論文において研究活動における特定不正行為である「捏造」が行われたものと認定した。
        なお、熊本大学では、平成24年3月に研究活動における不正行為を認定した事案に関して、科学研究費補助金との関係について調査を行うとともに、当該論文に関連する研究者に対して、他の不正行為の有無について調査を指示したが、その調査の過程で助教から自己申告があったものである。自己申告があった論文は、平成24年3月に不正行為に関与したと認定された元熊本大学助教授が筆頭著者となっており、助教は、元熊本大学助教授が熊本大学に所属していた当時は、同じ研究グループで研究を行っていた。

    【自己申告による研究不正の様態及び特定不正行為であるとする理由】
    (1)不正の様態
        助教が平成17年4月に発刊した元熊本大学助教授との共著論文に掲載した実験データのグラフを、過去に発刊した両者の共著論文から流用し、存在しないデータを作り上げた「捏造」の疑い
    (2)研究活動における特定不正行為であるとする理由
        助教が平成17年4月に発刊した元熊本大学助教授との共著論文に掲載した実験データ(低血圧症を引き起こす因子に関するデータ)のグラフに関して、過去に発刊した両者の共著による二つの論文(平成14年3月と平成17年3月に発刊)に掲載された異なる試薬を使用した実験データのグラフと同一ではないが、グラフの形状が類似しており、そのグラフを加工して存在しないデータを作り上げた可能性が高いこと。

  2. 熊本大学における本調査の体制、調査方法、調査結果等について
    (1)調査委員会における調査体制
       14名(内部委員12名、外部委員2名)
    (2)調査の方法等
       1)調査対象
         ア)対象研究者:医学部附属病院 助教
         イ)対象論文等:不正疑義があるとの自己申告を受けた論文を含む、助教が著者となっている全論文82報
       2)調査方法
        助教から自己申告があった不正疑義がある論文を含め、助教が著者となっている全論文82報を対象に助教から聞き取り調査を行うとともに、論文の書面調査により事実関係の調査を行った。
        なお、実験の生データ等は全て破棄されていたため、調査を行うことができなかった。

    (3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論
       助教から自己申告があった不正疑義がある論文を含め、助教が著者となっている全論文82報に関し、調査委員会による調査結果を踏まえた熊本大学の結論は以下のとおり。

    (結論)
        自己申告のあった論文一報において、掲載した実験データ(低血圧症を引き起こす因子に関するデータ)のグラフに関して、熊本大学における規則及びガイドラインで定義する研究活動の不正行為等である「捏造」(存在しないデータ、研究結果等を作成すること)が行われたものと認定した。
        なお、不正認定した論文は、不正行為が行われたと認定したデータを含め、筆頭著者である元熊本大学助教授が大部分を作成したものであり、助教に対する事情聴取の結果から元熊本大学助教授に直接的な責任があると判定したものの、調査開始時において異動した機関を既に退職しており、元熊本大学助教授の代理人であった弁護士事務所を介して調査への協力依頼を行ったが協力は得られず、連絡先等も不明であることから、調査を実施することができず、認定には至らなかった。しかしながら、助教は責任著者として実験の指導や論文のとりまとめなどの管理的な役割が主であったことから、助教の不正行為への関与は必ずしも認められないが、責任著者としての責任は免れないと判断した。


    (認定理由)
    (1)助教に対する聞き取り調査等の結果、不正疑義があると自己申告した平成17年4月に発刊した元熊本大学助教授との共著論文において、平成14年3月と平成17年3月に発刊した両者による共著論文における異なる試薬を使用した実験データのグラフを加工して存在しないデータを作り上げた「捏造」の疑義に対して、助教からの聴取を含め、調査委員会においても反証が見いだされなかったこと。
    (2)当該論文は、不正行為が行われたと認定したデータを含め、筆頭著者である元熊本大学助教授が大部分を作成したものであり、助教は責任著者として実験の指導や論文のとりまとめなどの管理的な役割が主であったことから、助教の不正行為への関与は必ずしも認められないが、論文のとりまとめを行う責任著者としての責任は免れないこと。

    ※国立大学法人熊本大学懲戒規則の公表基準において、公表する内容は「個人が識別されない内容のものとする」と規定されていることを踏まえ、論文名は非表示。

    (不正行為の論文における重み及び社会的、科学的影響)
        論文における不正行為の箇所は、特定の化合物が血圧降下にどう影響するかを研究する導入部分における実験データの「捏造」であり、論文の結論に影響する主実験データの箇所には不正行為の痕跡は認められなかったことから、研究成果の本質的な内容に関しては問題はなかったと判断している。また、不正認定した論文の研究は、ラットに対する試薬の反応をみた基礎研究であり、社会的影響は少ないと考えられる。


  3. 認定した不正行為に直接関連する経費の支出について
        「捏造」を認定した論文は、科学研究費補助金1件(基盤研究(C)、平成16年度~平成17年度)の実績報告書及び成果報告書に研究成果として引用されているが、この論文の作成過程において、当該補助金を含め、その他の経費においても、直接の因果関係が認められる経費の支出はなかった。

◆研究機関が行った措置

  1. 競争的資金等の執行停止等の措置
        科学研究費補助金1件(基盤研究(C)、平成16年度~平成17年度)の実績報告書及び成果報告書に研究成果として引用されているが、 直接の因果関係が認められる経費の支出はなかったことから、執行停止等の措置は講じていない。

  2. 不正行為を認定した者に対する熊本大学の対応(処分等)
        調査委員会による不正行為に関する調査報告書を受け、国立大学法人熊本大学職員就業規則に基づき、不正行為に関係した職員に対して、平成28年2月26日に処分の通知を行った。

    ※本事案は懲戒処分に該当しない処分内容であり、国立大学法人熊本大学懲戒規則における公表基準に該当しないことを踏まえ、処分内容は非表示。

  3. その他
       不正認定した論文については、助教から取り下げ申請を行い、取り下げ手続を行っていることを確認している。

◆発生要因及び再発防止策

   他の実験データを加工して存在しないデータを作り上げた行為は、研究者としての行動規範及び研究倫理に関する認識の甘さが原因と言わざるを得ない。一方、助教は責任著者として管理的な役割が主であったが、共著者の論文を取りまとめる責任者として、実験データの確認を怠るなど基本的な注意義務の欠如が要因であったと考えられる。

   熊本大学では、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(平成26年8月26日文部科学大臣決定)を踏まえ、全学的な体制の見直しを行い、責任体制の明確化及び研究倫理教育の強化を行った。その一環として、剽窃(ひょうせつ)検出ソフトの導入、また、本学の全構成員に対して適正な研究費の執行及び公正な研究活動に係る誓約書の提出の義務付け、さらに、本学において研究活動を行う者に対しては、eラーニングによる研究者行動規範教育教材であるCollaborative Institutional Training Initiative Japan (CITI Japan)の受講を義務づけた。
    今後も公正な研究活動及び研究費執行を推進する取組を実施し、教職員自らが自律的に行動規範を遵守する意識の向上を図るとともに、本学の健全な研究活動への信頼を確立するため、不正防止体制のさらなる強化を行っていく所存である。


◆配分機関が行った措置

 本件は、科学研究費補助金の成果として執筆された論文であるが、捏造と直接的に因果関係が認められる経費の支出はなかったため、返還を求めるものではない。
 また、当該助教の不正行為への関与は認められなかったこと、及び善良な管理者の注意義務を怠ったとまでは言えないことから、措置の対象者に該当せず、資金配分機関である日本学術振興会において、研究者に対する競争的資金への申請及び参加資格の制限は行わない。


お問合せ先

科学技術・学術政策局人材政策課

研究公正推進室
電話番号:03-6734-3874

(科学技術・学術政策局人材政策課研究公正推進室)

-- 登録:平成28年04月 --