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特定非営利活動法人 BEPPU PROJECT(ベップ プロジェクト)

何かと何かをつなぎ、その先の未来を描く

所在地…〒874-0933 大分県別府市野口元町2-35菅建材ビル2階
TEL…0977-22-3560 FAX…0977-75-7012
URL…http://www.BEPPU PROJECT.com/ E-Mail…info@BEPPU PROJECT.com

大分県別府市

1 団体の概要

代表者名…山出淳也
設立年月…2005年4月 認証日…2006年5月10日
有給スタッフ数…常勤/12名、非常勤/0名
事業規模(09年度決算収入)…62,574,000円
(内訳:事業収入(補助金等)62,414,000円、会費141,000円、その他19,000円)

活動の目的・趣旨

 大分県別府市を拠点として、人々に現代芸術を経験する機会、又はこれを創造することのできる環境を提供することにより、現代芸術の振興、芸術活動の促進、及び人材の育成を図り、心豊かで活力のある社会づくりに寄与することを目的とする。

団体の設立経緯

 代表の山出(やまいで)氏(大分出身)がパリ在住時、インターネットで「別府が面白くなっている」という記事を読んで「帰るなら今しかない!」と思ったことがきっかけである。
 別府で国際芸術フェスティバルを開催することをマニフェストに掲げ、2005年4月に発足した。以来、現代芸術の紹介や教育普及活動、人材育成講座や出版事業、市街地の空き店舗をリノベーションする事業など様々な事業を実施している。
 2009年には、複合型アートフェスティバル「別府現代芸術フェスティバル2009『混浴温泉世界』」を開催し、マニフェストを実現させた。その後も、より地域に根ざしたアートプロジェクトのかたちを模索し、幅広い年代を対象に多様な事業を企画・運営している。

主な活動内容

1.別府現代芸術フェスティバル2009「混浴温泉世界」

 市内全域を会場とした、市民主導による複合型国際芸術フェスティバル。
 (主催:別府現代芸術フェスティバル2009実行委員会/事務局:BEPPU PROJECT)

2.トヨタ・子どもとアーティストの出会いin大分

 アートに触れることにより「気付き」を得るワークショップ型授業を開催。
 (主催:トヨタ・子どもとアーティストの出会いin大分実行委員会/事務局:BEPPU PROJECT)

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 別府現代芸術フェスティバル2009「混浴温泉世界」

混浴温泉「人々が入って共有し出て行く場所」

 別府市内を歩けばすぐに公共温泉を見つけることができる。他の温泉地と大きく異なっているのは、それらの公共温泉、とりわけ別府のシンボル的な温泉施設さえも、観光客と地域住民が湯船を共にしていることである。さらに興味深いのは、公共温泉の多くは2階が地域の公民館になっていることである。温泉はこの町のコミュニティのよりどころであり、そこでは「よそ者」と以前はよそ者だったかもしれない「地域住民」が出会い、交流の場として独自の生活温泉文化が形成されている。

別府商店街で繰り広げられた“ダンサーを探せ!!”。風船を持つのは観客
別府商店街で繰り広げられた“ダンサーを探せ!!”。風船を持つのは観客 

「混浴温泉世界」

 このような町で活動するBEPPU PROJECTは、設立当初より市内全域を会場とした、市民主導による複合型国際芸術フェスティバルの開催を大きな目標として掲げてきた。この目標の到達点が「別府現代芸術フェスティバル2009『混浴温泉世界』」の開催である。
 「大地から湯が湧きだし、窪みに溜まる。それは誰のものでもない。人はそれを慈しみ、自発的に維持する。そして、ここに住む人も旅する人も、男も女も、服を脱ぎ、湯につかり、国籍も宗教も関係なく、武器も持たずに丸裸で、それぞれの人生のあるときを共有する。しかし、つかり続ければ頭がのぼせ、誰もそのままではいられない。入れ替わり湯から上がり、三々五々、ここを去っていく。人は必ずここを立ち去り、再び訪れる。ゆるやかな循環。」
 この文章をコンセプトに、様々なプログラムが展開された。別府のイメージに基づく作品を世界的に有名なアーティストに制作依頼し、その作品を市内の各地に展示した「アートゲート・クルーズ」。古い下宿アパートを使って国内若手アーティストの滞在制作を展示した「わくわく混浴アパートメント」。別府商店街全体をダンスという渦でそこに存在する人たちを巻き込んだ「ダンサーを探せ!!」や、4歳から60代の方まで車椅子のチームも入ってみんなでダンス作品を創る“オープン・ルーム”などの「ベップダンス」。移民文化の象徴の別府国際観光港と古来より人々の精神的なよりどころであり続けている八幡朝見神社でミュージシャンがパフォーマンスを展開した「ベップオンガク」。さらには各種ガイドツアー、国際レジデンスプログラム、「混浴温泉ラウンジ」、「タワーナイト」など、多様なプログラムを散りばめて、全体を「混浴温泉世界」としてまとめた。

事業名称 トヨタ・子どもとアーティストの出会いin大分

 この事業では、別府市立中部中学校の1年生を対象に、アーティストの岡山直之氏を迎え「虹」をテーマにしたワークショップを実施した。このワークショップの中で、アートが生徒や先生、アーティストという立場を超え、各々に深い感動を呼ぶ瞬間を体験。その感動は持続し、ワークショップ終了後も子どもたちと岡山氏との間では手紙のやりとりが行われているという。さらに、開校60周年の記念壁画に、ワークショップのテーマであった「虹」と岡山氏の姿が描き込まれることになった。
 アートの受けとめ方は一つではなく、決まった答えのない多面的なものである。学校の授業という子どもたちにとっての「日常」の中でアートに触れることは、子どもたちの感性を刺激し、また他者の存在を意識するきっかけになると考える。そして、その特別な体験を通じ、このプログラムにかかわるすべての人たちが「気付き」を得ることを願っている。
 BEPPU PROJECTは教育のプロではないが、日常の中で出会うアートの必要性を感じており、このプログラムでの経験は、アーティストや子どもたちはもちろん、関係者一人ひとりの成長にもつながるのである。そして、ここで得た体験を一人でも多くの人に伝えることが、個々の個性を柔軟に受け入れることのできる多様な社会へ変容するための一歩となると信じている。

体育館全体をしゃぼん玉で夢の世界に!「 虹の授業」
体育館全体をしゃぼん玉で夢の世界に!「 虹の授業」 

3 事業の成果と課題

来訪者9万人超!「混浴温泉世界」

 別府現代芸術フェスティバル2009「混浴温泉世界」の来訪者はなんと91,000人。来訪者の多くは、20~30代の比較的若い女性であった。また、別府市内や県内よりも県外からの来訪者が多く、なかでも福岡、京阪神、首都圏など、大都市圏からの来訪が目立った。
 また、アンケートによると、美術館やギャラリーに設置したチラシや、関係者・知人の紹介によってフェスティバルを知ったという回答が多かった。これらを総合すると、主な来訪者の層は、大都市圏のアートファンやアート関係者であった。また、遠方からの来訪者が多いことから、2泊以上のいわゆる連泊する人も少なくなかった。

地域への浸透が課題

 別府市内を含む県内からの来訪者が比較的少ない理由としては、周知不足が挙げられる。毎日のように新聞や雑誌に掲載したが、それでは足りないということである。また、現代アートに関心のある人が県外に多く、県内には少ないということが分かる。別府市内を含む県内の方々にBEPPU PROJECTの活動を知ってもらいたいので、今後は、これまでの前衛的な活動に加えて地域密着型の要素も加えて活動していきたい。
 また、「トヨタ・子どもとアーティストの出会いin大分」のような教育に関わる事業を、一部の学校ではなく、地域に広がりを持たせていきたい。

別府市民にどのように関わってもらうか

 別府市の特殊要因として、市の就業人口構成で第3次産業人口が8割以上を占めているということがある。その結果、土日祝日もなく夜も遅くまで仕事をしている市民が多いため、参加してもらうことの難しさがある。
 しかし、そこであきらめるのではなく、別府市民に他のかたちでフェスティバルや教育関係事業に関わってもらう方法はないか?また、別府市民にフェスティバルや教育関係プロジェクトへ参加してもらうだけでなく、県外のお客様へのおもてなしとしてのあり方も検討している。

子どもたちが自分たちで考えたダンスを図書室で披露
子どもたちが自分たちで考えたダンスを図書室で披露 

4 今後の展望

国際人養成の町、別府

 別府市内を走る路線バスの乗客には、ともすれば外国人が過半数を占め、運転手さんも片言の英語でコミュニケーションをとっている。別府は、いまや外国人留学生の人口比率が日本一の町である。これは立命館アジア太平洋大学(2000年開学)の学生総数6,000人の半分が70カ国からの留学生であるためである。別府市の人口が12万人であるから、その比率の高さは群を抜いている。
 別府はいわば国際人養成の町なのである。まさに活きた英語教育の現場。これから子育てをするならば、ぜひ国内留学先である別府に居を構えることをお勧めしたい。

アートを日常化する

 フェスティバル「混浴温泉世界」の開催を終えた今、BEPPU PROJECTが目指すものは「アートを日常化する」ということである。
 この町における必然性を持ったアートの実現を深化させるためには、町のあらゆる活動と関連性を持つ計画のあり方が求められる。各事業を展開するうえで発生していく多くの別府市民との連動が、少しずつ着実にアートを地域に根づかせていくだろう。そしてそれは、より多面的な視点で町を見る力を育み、自由な発想のもとに社会を創っていくことにつながっていく。それこそがこの小さな町から世界に向けて、より多くの可能性を秘めた社会の実現性を発信していくことであり、別府での活動が一地方での活動ではなく、「別・府」、つまり“オルタナティブ・ステート”へと移行していく第一歩となる。

何かと何かをつなぎ、その先の未来を描く

 BEPPU PROJECTでは、別府現代芸術フェスティバル2009「混浴温泉世界」とBEPPU PROJECTの軌跡を記したドキュメント本『混浴温泉世界――場所とアートの魔術性』(河出書房新社)を発刊する。
 その中には、姜尚中(カン・サンジュン)氏の次のような言葉がある。
 「湯の街に溶け込むアートは、何と祝祭的か。歌い、笑い、泣き、頬張り、そして分ち合う。湯煙の中にすべてが交じり合う世界が見える。湯の街、別府はまるで現代の「エルドラド」(黄金郷)のように輝いている。」
 BEPPU PROJECTにとってのアート。それは、何かと何かをつなぎ、その先の未来を描くこと。「アート」は、今始まったばかりだ。

(ヒアリング応対者:事務局坂本倫子氏)

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年03月 --